今月のおすすめワイン本【2020年4月】「ブドウ畑の「土壌」とワインの味わいの関係性」
- 2020.04.06
- 今月のおすすめワイン本
- ブルゴーニュ
毎月第1月曜日のワインコラムは、読むとワインを飲むのがもっと楽しくなる本を毎月1冊ご紹介する『今月のおすすめワイン本』コーナー。
今月のお薦め本は、ちょっとユニークな1冊をご紹介。
ブドウ畑の「土壌」とワインの味わいの関係性をテーマに書かれた本
『土とワイン The Dirty Guide to Wine』
(アリス・ファイアリング、パスカリーヌ・ルペルティエ著/村松静枝訳 エクスナレッジ 税抜2,400円)です。
先月ご紹介した『イギリス王立化学会の化学者が教えるワイン学入門』と同じ、エクスナレッジ社から出版されたまたもや理系的アプローチのワイン本。
相変わらず100%文系脳のですが、こういう本を読むのはなぜか大好きです 笑
この本が面白いのは、世界のワインを国や産地別ではなく「地質別」で分類し、その味わいスタイル・特徴を体系的に分析して解説しているところ。
- 火成岩」「第2章 堆積岩」「第3章 変成岩」・・・
なんて書いてある目次を読むと2ページで寝てしまう感じの本ですが、実際には非常に読みやすく(時には結構過激な発言も多く笑えます)、新たな問題提起も多い非常に面白い1冊にまとまっています。
地質毎に分類した章にはその土壌を持つ代表的な産地がリストアップしてあり、各地のワインのスタイルが丁寧に整理されているので、同じ地質で生まれたワインの共通項が分かりやすく理解できます。
また、その地質にどんなメリットがあるのか、についても明確に理解できます。
「石灰岩土壌=素晴らしい偉大なワインを産み出すことができる」
と漠然とは知っていても、ではなぜ石灰岩の土壌はブドウ栽培に適しているのか、を正確に説明できる人はそれほど多くないと思います。
ですがこの本を読めば「ブルゴーニュが石灰質土壌だから、それはつまり良い土壌」という認識から、一歩先に進むことができるはず。
ワイン片手におつまみ代わりに読むタイプの本ではありませんし、1冊を読み通すのは結構大変なほど厚みもありますが、家に持っておいて気の向いた時にちょっとずつ知識を入れていく、くらいの読み方が良いかも。
もしワインと土、農業としてのワイン造りに興味があったら、手に取ってみてくださいね。
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