今月のおすすめワイン本【2021年10月】世界史の大事件の裏には、いつもお酒があった。
- 2021.10.04
- 今月のおすすめワイン本
読むとワインを飲むのがもっと楽しくなる本をご紹介する『今月のおすすめワイン本』シリーズ、34冊目となる今回は2020年9月以来久々の歴史本。ただ今回は長い歴史を最初からずっと辿っていく、という形式ではなく誰もが知るような歴史上の大きな出来事・事件を21個ピックアップし、その背景にあったお酒の物語を紐解いていく短編集的な1冊です。なので歴史の本とかはちょっと苦手、という方でも小説みたいにスイスイ読めちゃいますよ。
ということで今回ご紹介するのは
『酔っ払いが変えた世界史』(原書房/ブノワ・フランクバルムさん著, 神田 順子さん・村上 尚子さん・田辺 希久子さん翻訳/税込定価2,200円)
です!
タイトルからも分かる通り、今回の本はワインだけに関する歴史ではありません。ビール、ウィスキー、コニャック、ラム、ウォッカなど様々なお酒が「鍵」となった21の出来事が時系列順に並べられています。メソポタミア文明でのビール誕生から、ヨーロッパ百年戦争、フランス革命、アメリカ独立戦争、近年ではリンカーン暗殺、JFK暗殺などどれも映画になるような有名な出来事ばかり。そしてその出来事や事件が起こる必然として「酒」があった、という、こちらも酔っ払いの読者にはたまらなく面白いエピソードが語られています。
革命や暗殺などドラマティックな出来事にどうお酒が絡んでいたのか、についてはネタバレを防ぐために是非物語を読んで戴くとしまして(特にJFK暗殺の項などは結構身につまされます)、今回はこの本の中から1か所非常に気になった部分があったのでそこをご紹介したいと思います。
それは、19世紀にヨーロッパで信じられていたという「二日酔いからの回復方法」についての記述。この3つの方法が取り上げられておりました。曰く、
① 酢を喉に流し込み、こめかみをマッサージする。
② 灰を混ぜた牛乳を飲む。
③ バケツ一杯の水を顔にぶちまける。
酢を流し込む、というのはなかなか効きそうじゃないですか。灰を混ぜた牛乳を飲む気はしませんが、お酢ならちょっと試してみようかな、という気にもなります。
ちなみにこれは本の中に書いてあったことではありませんが、現代でも、ポーランドでは二日酔いの特効薬としてピクルスをお酢・水・炭酸で割った「ピクルスジュース」を飲むのだとか。これも一度は試してみねばなりませんね。味的には「ガリ酎」みたいな感じ??普通にお酒で割ってもいけそうです。
そして僕がこの本で思わず「そうだそうだ!」と思ってしまったのは第3章「神泡の立つピラミッド」の1節。当時、悪質な醸造家は自分の造ったビールの中で溺死刑に処せられ、そして粗悪な酒を造ったり売ったりしたものは、死に至るまでその酒を飲まされ続けたそうです。
いるなあ、そうしてやりたい生産者やワイン業者!!いえ、誰かは言いませんけど 笑
Firadisが買い付ける生産者には一人としてそんな生産者はいませんし、売り手の我々自身もそうでないことを信じ、皆さんにもそう言って戴きたいものです(…だ、大丈夫ですよね???)。
これからも、もし皆さまに満足いただけないワインをご紹介してしまうようなことがあったらそのワインを死ぬまで飲むのだ、という覚悟でワイン選び・買付けに励んでいくぞ!と改めて決意致しました。
歴史を学ぶ、そして歴史から学ぶのは、本当に大事ですね。
ということで今回はこのへんで。
次回はどんなワイン本をご紹介しようかな・・・おっと、またこんな面白そうな本を見つけてしまった・・・早速ポチっとな、と。早く届かないかなあ。。。
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