今月のおすすめワイン本【2021年12月】2冊まとめてご紹介。年末年始に読んでみてください!

今月のおすすめワイン本【2021年12月】2冊まとめてご紹介。年末年始に読んでみてください!

読むとワインを飲むのがもっと楽しくなる本をご紹介する『今月のおすすめワイン本』シリーズ。
第36回目となる今回は、フランスワインが歴史・ひと・食・サブカルチャーなど様々な分野と関わったエピソードをまとめたエッセイ集『フランスワイン33のエピソード』(白水社/須藤海芳子さん著 税込定価1,980円)を選びました。併せまして、ちょっと古い本ですがもう1冊僕の好きな本をおまけでご紹介したいと思います。
まとまった時間でゆっくり読書を出来るお休みの間に、じっくりお楽しみ頂ければと思います!

『フランスワイン33のエピソード』(白水社/須藤海芳子さん著 税込定価1,980円)

著者の須藤海芳子さんは、元メルシャンの社員で現在食文化やワインのジャーナリストとして執筆活動をされている方。
今回選んだこちらの本は、ワインの歴史的出来事をはじめ各地の食文化、文化とのクロスオーバーと多岐に渡るジャンルについて触れたエピソード集。

製法解説やラベルの読み方などが書いてあるかと思えばワインが登場する映画についての話になり、と良い意味で若干取っ散らかったような印象もありますが、その分色々な話題が出てくるので飽きずに読み進められるのではないかと思います。
ワイン好きなら誰もが興味を持つ「ロスチャイルド家」やシャンパーニュ有名メゾンの物語、果てはフランス留学していたころの岡本太郎のエピソードなど、どれも短いながら分かりやすくまとめられています。この本でワイン史の有名どころをざっくり把握して、その後面白かったところを深堀していくのが良さそうですね。

是非読んで頂きたいのが『クロ・モンマルトル』についての話。

キャプション:モンマルトル収穫祭の公式サイトより
https://www.comitedesfetesdemontmartre.com/?p=2

僕がこの本の中で特筆しておきたいのは、フランス・パリ市内の畑で栽培されたブドウで造られるワイン『クロ・モンマルトル』についての話が入っていること。

皆さん、パリ市内でワインが造られていることはご存じでしょうか??
パリ市内北部18区、モンマルトルの丘の麓にある僅か0.15ヘクタールの畑にはピノ・ノワール、ガメイ、リースリングなどの品種が植えられていまして、年間に1,000本(*500ml入りのボトルです)程だけワインが造られます。これが『クロ・モンマルトル』。この畑はパリ18区役所が所有しており、モンマルトルの丘で似顔絵画家などが集まっているテルトル広場の近くにあるワインショップで販売されます。その収益は全て18区地元の福祉施設等に寄付されるそう。
年産1,000本ちょっとですからそう簡単に入手することは出来ません…なんたって、ロマネ・コンティよりも少ないんですよ。勿論、恥ずかしながら僕自身も未体験、いつかは飲んでみたいワインのひとつです。このコラムを書くのにあたって日本のワイン通販サイトやオークションなどに出回ったことはあるのかな・・・と一応調べてみましたが、出品された形跡は無いようです。やはり、地元のショップで買うしかないようです。

本書ではこの『クロ・モンマルトル』の歴史などについても詳しく書かれていて、興味深く読みました。この畑でのブドウ収穫を描いた美術作品などについても(残念ながら白黒ですが)しっかりと紹介されています。

実は他にもあった、パリのワイン畑…ワインをはじめフランスの農業史が良く分かる1冊を併せてご紹介。

そしてこのエピソードを読んでいて思い出したのが、かつてパリには『クロ・モンマルトル』 以外にも畑があったということ。なかなかそのあたりについて触れられている書籍は少ないのですが、こちらの本にはしっかりと出ております。

『ワインをつくる人々』(新評論/マルセル・ラシヴェールさん著・幸田礼雅さん訳)
*Amazon他古書で簡単に入手できます。

出版された2001年に自分で購入して所有していた非常に古い本ですが、今も時折必要なところを開いて調べる愛読書。この中にパリにおけるワイン造りに関する記述があったよな、と思い出してもう一度読んでみました。
パリでいつからワイン造りが始まったのかは歴史的にも明らかになっていないものの、かつてはサン・ジェルマン・デ・プレ地区やシテ島(パリの中心、セーヌ川の小島)でもワインが造られていたとか・・・今やおしゃれなカフェや雑貨店が立ち並ぶ文化の中心エリアも、かつては修道士たちがブドウを栽培し、ワインを造る場所だったようです。こういう歴史を知ってからパリの街を歩くと、様々な風景が思い描けて本当に楽しいんですよね。

この本は「ワイン本」というよりは「農業の歴史についての本」なので、昔の農作業の様子や農家の生活などに興味のある方には非常におすすめですよ。特に、栽培醸造家の職人的な話などを読む/聞くのが好きな方には是非とも読んで頂きたいと思います。
なにぶん20年前の本ですので若干記述内容や表記方法が古いかな、と思う部分もありますが、表紙のデザインや装丁は今見ても凄くカッコよくて重厚、本棚に置いておくとすごく映えると思いますよ 笑

ということで今回はこのへんで。
次回はどんなワイン本をご紹介しようかな・・・おっと、またこんな面白そうな本を見つけてしまった・・・早速ポチっとな、と。早く届かないかなあ。。。

*本日ご紹介した2冊は、版元HPやAmazon他にて新品・古書等で購入できます!

『フランスワイン33のエピソード』(白水社/須藤海芳子さん著)
↓↓↓
https://www.hakusuisha.co.jp/book/b205887.html 

『ワインをつくる人々』(新評論/マルセル・ラシヴェールさん著・幸田礼雅さん訳)
↓↓↓
https://www.shinhyoron.co.jp/4-7948-0512-8.html 

CTA-IMAGE ワイン通販Firadis WINE CLUBは、全国のレストランやワインショップを顧客とするワイン専門商社株式会社フィラディスによるワイン直販ショップです。 これまで日本国内10,000件を超える飲食店様・販売店様にワインをお届けして参りました。 主なお取引先は洋風専門料理業態のお店様で、フランス料理店2,000店以上、イタリア料理店約1,800店と、ワインを数多く取り扱うお店様からの強い信頼を誇っています。 ミシュラン3つ星・2つ星を獲得されているレストラン様のなんと70%以上がフィラディスからのワイン仕入れご実績があり、その品質の高さはプロフェッショナルソムリエからもお墨付きを戴いています。 是非、プロ品質のワインをご自宅でお手軽にお楽しみください!
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