ワインボキャブラ天国【第87回】「菩提樹の花」 英:linden blossom 仏:fleur de tilleul
- 2021.07.10
- ワインボキャブラ天国
- ゲヴュルツトラミネール, テイスティング, フランス, 生産者, 香り
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「菩提樹の花」
英:linden blossom
仏:fleur de tilleul (発音は「フルール・ド・ティリュル」)
今回ご紹介するワイン表現ボキャブラリーは『菩提樹の花』。中国原産アオイ科シナノキ属の植物で、6-7月頃に少し緑がかったクリーム色の花を付けます。
今回ご紹介するワイン表現はこの花の香り、ということです。
ちなみに菩提樹の樹と言えば、ブッダがその木の下で悟りを開いた・・・というエピソードで名前が知られていますが、こちらは「インドボダイジュ」というクワ科イチジク属の少し種類の違う植物のようです。こんな区別、全く知りませんでした。やはりこのコラムシリーズは書いていて非常に勉強になります。ということで今回の「菩提樹マメ知識」は以上です。
さて、今回コラムを書くにあたって、菩提樹のニュアンスを再確認したいな…と思いまして、リンデンリーフ&ブロッサムのお茶を購入してテイスティングしてみました。お茶の葉はこんな感じです。
良かったら皆さんも買って試してみてください・・・僕は正直ハーブティーはあまり好んで飲まないのですが、リンデンティーはとてもリラックスできました。
このとても個性的で薫り高い菩提樹の花のアロマが見つかる代表的なブドウ品種は、リースリングです。リースリングにはテイスティング用語で「ペトロ―ル香」と呼ばれる石油、プラスティック的な香りがありますよね。僕は個人的にはこの香りを「夏のビーチサンダル香」と呼んでおりますが、実は菩提樹の花の香りはこのペトロ―ル香とほぼ同一の要素。ペトロ―ル香・・・というと何となく敬遠してしまいそうですが、そんな時にポジティヴに伝えられるように「菩提樹の香り」と言い換えるようなイメージです。
また、リースリングと同様にアルザスやドイツ、オーストリアなど冷涼地域のその他のブドウ品種、例えばゲヴュルツトラミネールやミュスカなどにも見つけることができますので、この表現が使用されることがあります。
ワインの表現にはこういった「そのまま表現するとややネガティヴに受け取られそうな表現を、耳障りの良い言葉に転換する」というちょっとズルいメソッドがあります。ワインプロフェッショナルというのはこういった転換表現に非常に長けている人種ですので、その点はご注意を戴いた方が良いかも・・・
あ、でもフィラディスワインクラブは表現を無理やりポジティヴに転換させないといけないようなワインはそもそも採用すらしませんのでご安心くださいね。僕のコメントはそのまま受け取って戴いて大丈夫ですし、もしそのワインに弱い要素、足りない点、こうあって欲しいと思うことなどがあったらそれはそれでちゃんとお伝えしようと思っていますから!
それでは今回はこのへんで。
今日、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!
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