ワインボキャブラ天国【第122回】「~元詰め」 英:bottled 仏:mis en bouteille
- 2022.04.10
- ワインボキャブラ天国
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「~元詰め」
英:bottled 仏:mis en bouteille (発音は「ミザン・ブテイユ」)
フランスワインのボトルやコルクに書いてある『mis en bouteille~』の意味とは?
今回取り上げるワイン用語は『mis en bouteille~』。フランス産のワインのラベル(大体下の方に小さく)に記載されていたり、抜いたコルクの側面に大きく書いてあったりするので、ワイン好きの方なら一度は見たことのあるフレーズだと思います。
これは実は単純に『~で瓶詰めされた』という意味です。
単語ごとに細かく説明しますと…『bouteille』 はフランス語で「瓶」の意味、『mis』はフランス語で「置く(英語だとputが近いですね)」を意味する動詞mettreの過去分詞形。合わせて文章としては「~でボトルに入れられました」ということを表記している文言になります。
「~」のパターンは色々ありまして、
『Mis en bouteille au domaine』(ドメーヌ元詰め)
『Mis en bouteille au chateau』(シャトー元詰め)
『Mis en bouteille a la propriete』(所有者元詰め)
『Mis en bouteille dans nos chais』(蔵元詰め)
・・・などなど。
これは、造ったワインを他に売り渡したりせず、自らの蔵元で瓶詰めをしているんですよ、という宣言をするための表記でもあります。ワインを仕込んで瓶詰めし、自分の銘柄のラベルを貼って売るまでには様々な設備が必要となりますので、非常に小規模の農家や醸造元などはワインを協同組合(cooperative)やネゴシアン(ワイン商)に販売し、そこで瓶詰めがされる場合もあります。
だから、これを表記するのには「ウチはちゃんと瓶詰めまで自分でやっているんだよ」という生産者のプライドも込められているのだと思います。
でも、最近は設備が無くても元詰めが出来るようになりました。
かつては大きな設備投資をしなければ蔵元での瓶詰めが出来なかったのですが、最近は「モバイルボトリング」というものも一般的になってきました。巨大なトラックのコンテナ部分に瓶詰めの機械が積んであり、ワインの仕込みが終わりボトリングをする時期になると蔵元を訪れ、そこで瓶詰めの作業をしてしまうという方法です。
こういったサーヴィスの出現により、これまで「本当は元詰めをしたいけど、資金が無いからワインを売却せざるを得ない」という小規模な生産者も堂々と「元詰め」ができるようになりました。
近年、小規模な栽培農家が元詰めまでする栽培醸造元に転身するケースが増えていますが、意欲のある若い栽培家の増加と合わせてこういったインフラ面の進化も下支えをしているわけですね。
皆さんも、ラベルやコルクに『mis en bouteille~』の表記を見つけたら、是非造り手のアピールを感じて戴きたいと思います!
トラックでの「モバイルボトリング」がどんなものかを知りたい方は、こちらの動画を観て戴くとその様子が分かると思います!
↓↓↓
https://www.youtube.com/watch?v=Fi3Q3QaW9uw
それでは今回はこのへんにしておきましょう。今日も、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!
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