ワインボキャブラ天国【第151回】「テーブルワイン」 英:table wine 仏:vin de table
- 2022.11.27
- ワインボキャブラ天国
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「テーブルワイン」
英:table wine
仏:vin de table(発音は「ヴァン・ド・ターブル」)
目次
『テーブルワイン』とは?
よく耳にする『テーブルワイン』という言葉には、実は2通りの解釈があります。今回はそんな話を。
まず一つが、各国で定められているワイン法上の「格付」によって分類されるもの。
フランスでは「ヴァン・ド・ターブル」、イタリアでは「ヴィーノ・ダ・ターヴォラ」等と呼ばれます。
ワイン法は基本的に「産地を保証する法律」ですので、産地毎に使用できるブドウ品種や栽培法・収穫量から醸造法までを規定し、原料ブドウの産地(栽培・収穫された場所)をより詳細につまり狭いエリアまで限定して保証できるものが上位格付として扱われます。例としてフランスの格付ピラミッドを載せますので、参考にしてみてください。
その中で基本的に『テーブルワイン』は格付上ではピラミッドの一番下に位置します。
つまり、原産地にこだわらず様々なブドウ、ワインをブレンドして造ることが出来るものを指します。
例えば「フランス国内のブドウ/ワインだけで造った」というワインであれば「Vin de France(ヴァン・ド・フランス)」となりますが、実は国内産地どころか国を超えてブレンドすることだって可能、かなり自由度が高い格付ですね。その場合の表記が「Vin de Table」となるわけです。
(より詳しく知りたい方は、このページ下部にリンクを掲載しているコラム「ワインの格付けとラベルの読み方を知っておこう!ボルドーとブルゴーニュの基本知識」を読んでみてください。)
敢えて『テーブルワイン』を選ぶ生産者もいます。
近年は様々な産地で、敢えてこの原産地呼称制度の規定つまり「縛り」を超え、自由なワイン造りをする生産者も増えてきました。その産地を名乗るためには認められないブドウ品種や醸造法などを敢えて採用し、造り手としての哲学・理想・こだわりを優先する考え方です。
規定上はあくまでも『テーブルワイン』としての販売になってしまいますが、高いクオリティを実現した銘柄などは格付を超えて高値で取引がされることとなります。
例えば過去にイタリア トスカーナ州で『サッシカイア』等の有名ブランドがこの考え方でワイン造りを行い、ヴィーノ・ダ・ターヴォラながらずば抜けた品質を打ち出し「スーパータスカン」と呼ばれるムーブメントが起こりました。その他の地域でもこういった取り組みは増えており、ワイン法の規定をうち破った素晴らしい作品が次々と生まれています。
そして、もう一つの意味の『テーブルワイン』。
そして、『テーブルワイン』という言葉のもう一つの意味・・・というか、使われ方。
それは、単に「普段飲みにピッタリな。カジュアルなワイン」を意味するときの表現。日本のワイン売場などでよく見かける言葉で言えば「デイリーワイン」と近い意味合いでしょうか。手頃な価格で気軽に飲める、それでいて十分においしいワイン。時にはこういった意味合いで『テーブルワイン』が使われている場合もあります。
ワインの話をしている中でこの言葉を聞いた時には、どちらの意味で使われているのかな、と考えてみてくださいね。
それでは今回はこのへんで。今日も、あなたの表現するワイン世界が少し広がりました!
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