ブドウ品種を知ると、ワイン選びが一歩進む④和食との相性抜群、ソーヴィニヨン・ブラン
- 2020.02.05
- なるほどのあるワインコラム
- カベルネ・ソーヴィニヨン, ジュラ, セミヨン, ソーヴィニヨン・ブラン, ソムリエ, フランス, ボルドー, マリアージュ, ワイナリー, 和食, 温度, 熟成, 発酵, 白ワイン, 赤ワイン, 香り
「ソーヴィニヨン・ブラン種」についてのあれこれ
さて、ワインのマメ知識コラム、ブドウ品種シリーズも4つ目となりました。
皆様から「知っているようで知らなかった!」とのご感想も多く戴いている、ブドウ品種についての話を続けます。
今回のテーマは・・・春から夏にかけていちばん美味しい白ブドウ品種「ソーヴィニヨン・ブラン」です。
ソーヴィニヨン・ブランというブドウ品種については、
実は以前のコラムでもその特徴についてお話をさせて戴いたのですが・・・覚えていらっしゃいますでしょうか。
「ワインの香り表現:グレープフルーツの香りを見つけよう」というテーマの時です。
その時のコラムでは、ソーヴィニヨン・ブラン種を100%使用したフレッシュなロワール産白ワインに、
「3MH」というグレープフルーツと全く同じ香り成分が発見された、という驚きのニュースをお伝えしました。
ブドウから造られるワインに、グレープフルーツの香り成分が含まれていた。
原料の状態のブドウ果汁には、その香り成分は一切含まれていない。
アルコール発酵をして熟成する過程で、2つの異なる果実の香りが重なると言う奇跡。
こんなことが起こるのも、ワインならではの神秘ですよね。
それでは、お話しを戻してソーヴィニヨン・ブランと言うブドウ品種に関する解説から。
「カベルネ・ソーヴィニヨン」の回で解説した通り、実はこの品種がカベルネ・ソーヴィニヨン種の原種の一つです。
この品種と黒ブドウのカベルネ・フラン種が交配することで生まれたのがカベルネ・ソーヴィニヨンです。
そして、最近はソーヴィニヨン・ブランも元はと言えば別の品種の子孫だと言う説が。
それは、主にフランスのジュラ地方などで栽培されるSavagnin(サヴァニャン)種。
Sauvignon(ソーヴィニヨン)という名前は仏語のSauvage(ソバージュ=野性的な)、
から来ているという説もあったのですが、どうも最近はサヴァニャン種とカルメネール種の系列じゃないか、
という説が濃厚のようです。
こういう学説は結構ひっくり返ることが多いので、現時点のものとして覚えておいてください。
ソーヴィニヨン・ブラン種の代表的な産地と言えば、
フランスならボルドーとロワール河の上流地域(サンセール、メヌトゥ・サロン、ヴァランセ)。
そして、現代では代表的な産地として忘れてはならないのがニュージーランドです。
気候的には海洋性や大陸性気候の、十分な日照・温度と寒暖差を好む品種のようです。
糖度と酸の絶妙な共存こそが、きりっと爽やかなソーヴィニヨン・ブラン白ワインの醍醐味ですからね。
では、ソーヴィニヨン・ブランで造られるワインについて
ボルドーでは他品種(主にセミヨン種)とのブレンドが中心でバランス重視の白ワインであるのに対し、
ロワールとニュージーランドは単一品種でソーヴィニヨン・ブランならではの、
グレープフルーツや夏草的な個性を思い切り前面に出したスタイル。
僕は個人的には、このスタイルのソーヴィニヨン・ブランが最も好きな白ワインです。
話は逸れますが、ロワール地方のサンセール村のワイナリーを訪れた時の出来事を少しだけ。
サンセール村は平らな山のてっぺんのようなところにあって、ホテルと店が数件の小さく辺鄙な村。
そんなところを一人寂しく訪れていた僕が、夕食を食べに行ったレストランのワインリスト・・・
それはなんと、サンセールとニュージーランドワインだけで構成されていたのです。
あのフランス人が、他国の、しかも新世界のワインをリストに堂々と載せるなんて、と驚愕しました 笑
その店のソムリエは、ソーヴィニヨン・ブラン100%で最高のワインを目指す、
という同じ理想を持つニュージーランドに対して、強いシンパシーを感じているのだ、と言っていました。
こういう生産地同士の交流って、なかなかいいですよね。
ソーヴィニヨン・ブランのマリアージュは?
ソーヴィニヨン・ブラン100%のワインは、日本料理との相性がとにかく抜群。
グレープフルーツの甘い香りを持ちながらも、
味わい的にはスダチやカボスのように生き生きとしてシャープな酸があり、ハーブの香りも色々。
CLUB30で「ヴァランセ」を紹介した時に書きましたが、
とにかくお寿司屋さんからの支持が高いのがソーヴィニヨン・ブラン100%のワインです。
シンプルにレモンを絞っただけの生牡蠣。
白身魚のお刺身にワサビ醤油や大葉、そして勿論スダチ。 そして、天ぷらに塩とレモンだけ・・・etc
しみじみ合うと言うよりは、シャキッと合う感じ。
僕が表現するなら、「粋な、いなせなマリアージュ」とでも言いましょうか。
和食とソーヴィニヨン・ブランのマリアージュには、
下町っ子のようなきっぷの良さ、潔さがあると思いますよ。
普段は赤ワインばかりであまり白ワインを飲まないという男性にも、
この春は是非、ソーヴィニヨン・ブランの白ワインをキリッと冷やして、粋に楽しんで欲しいと思います。
さて、今週も最後にブドウ品種飲み比べのセットをお勧めさせてください。
ワインスターターの方は、特にこのセットから飲み始められることをお薦めしますよ。
まず、代表的な品種の特徴をきちんと掴んでしまえば、
後はそれをベンチマークに1本1本自分の中で味わいの位置づけをしていくだけです。
その積み重ねが、ワインの味を識り、自分の好みを把握する第一歩になりますから。
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