あ、せかんどおぴにおん 第1回「カミーユ・エ・ローラン・シャレール シャブリ」
目次
『あ、せかんどおぴにおん』第1回
「カミーユ・エ・ローラン・シャレール シャブリ」
このコラムについて
あなたが五感で捉える感覚と他人が感じる感覚は同じとは限りません。もしかすると、同じ言葉で表現される感覚でも人によって感じている実際の感覚は異なるのかもしれません。逆にたとえ同じ感覚を得ていたとしても、人によって別の言葉で表現することはよくあることです。
疑心暗鬼になりながらも、”自分はどう感じるか”、ワインをテイスティングする際の実際の感覚に最も適した言葉を必死に探す。相手にわかってもらえるようにワインの状態や魅力を伝えることが目的だとしても、どうしてもその人の個性が出てしまう。それもまた、ワインテイスティングの醍醐味であると思います。
このコラムは現在夜メルマガと『ワインと美術』のコラムを担当させていただいている、Firadis WINE CLUBの新人、篠原が当店のワインを飲み尽くしていくコラムです。
しかしただテイスティングをしていくだけでは面白くありません。そこで、すでにページに掲載されている店長による商品説明やテイスティングコメントを引用しながら、自分ならどう思うか。もう一つの意見を記していきます。当然店長に同意する場合も多いでしょうし、異議を申し立てることもあるでしょう。(あまりにも異議を申し立てるとFiradis WINE CLUBの信頼が揺らぎそうですが。。)また同じことを感じていたとしても、稚拙ながら別の表現で述べる場合もあります。そして時には商品ページの内容について、店長に質問することもあるかもしれません。
このコラムを読んでいただく物好きな方には、ぜひ同じワインを手元に置きながら、”自分はどう感じるか”を一緒に探ってほしいと思います。タイトルに「あ、」と不定冠詞「a」を付けたのはあくまで一つの意見にすぎないということです。皆様の意見についてはもしよろしければ、商品詳細ページのレビューにぜひご投稿ください。
それでは早速商品ページを見ていきましょう!
第1回目にとりあげるのは、当店の人気商品。カミーユ・エ・ローラン・シャレールのシャブリです。
産地について
Firadis WINE CLUBが探し続けてきた有名人気産地のワイン・・・遂に発見したのがこの1本です。「今更シャブリ?」と言われがちな今だからこそ再発見して欲しい、モダンスタイルのシャブリ進化形!!
かつては日本でワインの代名詞のようにあちらこちらのお店で注文されていた超有名産地が「シャブリ」。仏ブルゴーニュ地方最北部で素晴らしい辛口ワインを産み出すこの場所は、その日本語に近く覚えやすい響きもあり・・・2-30年前までは大型ホテル内の飲食店を始め、さほどワインにこだわりや知識のない店はどこもかしこもこの銘柄をメニューに掲載していたものです。
ですが、2000年代になって「シャブリ」は有名産地として価格がどんどん高騰し、ネゴシアン物以外では2,000円台で買えること自体が希少に。そして「並ブルゴーニュ・シャルドネ」でも十分満足のいくブルゴーニュ南の産地が見出だされたことで、「シャブリ」はすっかり存在感が薄くなってしまった感じ。スーパーなどでは有名銘柄で1本は置いてありますが、ワイン専門店で目立って推されていることはまずないですよね。既に、ひと時代を超えて役割を終えてしまったワインなのでしょうか・・・。
2019年時点で、シャブリの輸入量は年間で約200万本。なんとブルゴーニュの白ワインの輸入量の50%近くがシャブリだそうです。確かにシャブリの存在感は薄くなってきていますが、それくらい広く浸透した、当たり前の存在になってきているということです。その分様々なシャブリが市場に氾濫し、クオリティも様々で本当に良いシャブリを見つけるのが難しくなってきているとも言えます。
いえ、決して、そんなことは、ありません。
僕はやっぱりこの「シャブリ」というワインには、日本で超有名・大人気になったふさわしい品質・味わいの根拠があると思っています。その繊細辛口で和食・日本の食生活に合う香味スタイルに分かりやすい名前、正しい「おいしく楽しめる飲み方」が伝えられれば、絶対に僕たちの食生活にフィットするはずです。
シャブリはブルゴーニュの最北、北海道の稚内よりも北に位置する冷涼な産地です。土壌はキンメリッジの泥灰岩と石灰。その中には牡蠣の化石が含まれ、塩味さえ連想させる独特のヨード香やミネラル感を特長とする、素晴らしいテロワールです。
実は歴史も古く、1114年にシトー派修道院が別の修道院から買い取った更地がシャブリでした。すっかり放置され荒廃したこの地を修道士たちが銘醸畑へと育て上げたことで、現在のブルゴーニュ生産の中心である南方のワイン産地に太刀打ちできなくなって周辺のブドウ栽培が消滅した後も、まるで飛び地のようにシャブリだけが生き残りました。この逸話もまた、土地の個性と品質の高さを物語っています。
生産者について
CLUB30の30本の中にいつか「税込み3,000円以内の、正統派ドメーヌ物シャブリ」を入れようと、開業時からずっと探し続けてきました。そして4年かけて見つけたのが今日の1本「カミーユ・エ・ローラン・シャレール」のシャブリ。まだ設立から10年も経たないこの新興のドメーヌは、所謂シャブリの古典派様式美も遵守しつつ、実に現代的で軽やか、エレガントなモードでワインを造る生産者です。
価格も実に良心的、日本では常時税込3,000円以下を実現したい、という僕の要望も、しっかりと受け入れてくれました。この素晴らしいシャブリを日本ではFiradis WINE CLUB限定で取り扱えるとは、本当に誇らしい!
遠い記憶の彼方に置き去りにしてきた「シャブリ」、もう一度、ここから復活大ブームを巻き起こせればいいな・・・と願っています!
生産者情報はこちらのページに詳しく載っています。
フィラディスでは販売にかかわる社員全員で試飲を行い、全員が納得したワインがようやく販売に至ります。ですので通販サイト開業当初からシャブリを扱いたいと思っていても、皆様に提供できる品質の納得のいくシャブリを見つけるまで4年もかかってしまったようです。
意外にもたどり着いたのは比較的新しい生産者でした。
評価は近年グングンと高まっています。
初ヴィンテージとなるChablis 2014が、フランスを代表するワイン雑誌ギド・アシェット2017年版でなんと1つ星に選出。
2017年5月には世界的権威とされるワイン専門誌DECANTERから非常に高い評価を受けました。 Chablis 2015 Vieilles Vignesは90/100、Chablis 2015は88/100をマークしています。
2018年6月、世界で最も有名なワイン雑誌の一つLA REVUE DU VIN DE FRANCEの「特別なヴィンテージ2017-今年購入するワイン」に、Chablis Premier Cru Vaucoupin 2017が選出。
2019年6月、LA REVUE DU VIN DE FRANCEの「特別なヴィンテージ2018-ヨンヌ県で見逃せない30本のボトル」に、Chablis Premier Cru Vaucoupin 2018が選出。
2019年のシャブリワインコンクールで、Chablis Premier Cru Vau de Vay 2017が銀メダルを獲得。 この時Chablis Premier Cru Vaucoupin2017もノミネートされています。
2019年ギド・アシェットにて、Chablis 2016が2つ星に選出。
さてここまでの評価を得ているシャブリはどんな味わいなのか?
いよいよテイスティングです。
いよいよテイスティング
≪店長のテイスティングコメント≫
昔懐かしいレモンドロップのような爽やかで甘い柑橘感に、ドライパイナップルを想わせる甘味がギュッと詰まったような香り。そこに、シャブリ特有のスモーキーな印象・・「これが火打石の香りか!」と思わず膝を打つような分かりやすい“シャブリらしさ”がしっかりと詰まっていました。
口に含むと最初は非常にドライな印象を受けますが、そこからシャキッとした酸と豊富なミネラルの存在感が前に出てきます。時間が経つにつれてフレッシュ感・切れ味が増していくような、実に鮮烈なワイン。シャブリの典型像と、現代的な解釈が混在した、まさに「今こそ提案したいシャブリ」でした。
早速私もテイスティング。
私の大まかな印象としては、柑橘の果実感を存分に感じながらも、最後にはしっかりと辛口。そして高い酸とミネラル感という”シャブリらしさ”がわかりやすく魅力的に感じられるワイン、ということです。
まず香りですが、まず最初にシャブリらしいスモーキーな、まさしく店長も言っているような火打石の香りが立ち上ってきます。それを追うようにレモン、グレープフルーツといった柑橘系の香りが一気に広がります。とても爽やかです。
そして口に含むと高い酸とミネラル感、香りの印象そのままの果実感が広がります。味わいの中心にある果実感がとてもすっきりして綺麗な印象です。ただ果実感といっても甘さではなく、グレープフルーツやシトラス系のフレッシュさと最後に残る苦み。これが魚介料理をうまく〆てくれそうな、、単体で飲んでいるとつい魚を食べたくなるワインです。。
シャブリらしい要素と共に、この爽快感は病みつきになりそうです。これが店長が言うところの「現代的な解釈」なのでしょう。
今回はあまり店長に盾突いて異議を申し立てることはできませんでしたね。残念です笑
商品ページには美味しく楽しめるおすすめの飲み方、ワインに合うレシピも載っております。こちらも参考にぜひ、レビューに皆様のご意見もお寄せください。
ペアリング料理については、こちらの西岡パパの記事も是非ご参考まで!
以上、Firadis WINE CLUBの新人、篠原がお送りいたしました。
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