あ、せかんどおぴにおん 第26回「トラミン ゲヴュルツトラミネール 」
『あ、せかんどおぴにおん』第26回
「トラミン ゲヴュルツトラミネール(伊アルト・アディジェ産白ワイン)」
目次
このコラムについて(ここは毎回同じことが書いてあります。)
あなたが五感で捉える感覚と他人が感じる感覚は同じとは限りません。もしかすると、同じ言葉で表現される感覚でも人によって感じている実際の感覚は異なるのかもしれません。逆にたとえ同じ感覚を得ていたとしても、人によって別の言葉で表現することはよくあることです。
疑心暗鬼になりながらも、”自分はどう感じるか”、ワインをテイスティングする際の実際の感覚に最も適した言葉を必死に探す。相手にわかってもらえるようにワインの状態や魅力を伝えることが目的だとしても、どうしてもその人の個性が出てしまう。それもまた、ワインテイスティングの醍醐味であると思います。
このコラムは現在夜メルマガと『ワインと美術』のコラムを担当させていただいている、Firadis WINE CLUBの新人(もう3年目ですが)、篠原が当店のワインを飲み尽くしていくコラムです。
しかしただテイスティングをしていくだけでは面白くありません。そこで、すでにページに掲載されている店長による商品説明やテイスティングコメントを引用しながら、自分ならどう思うか。もう一つの意見を記していきます。当然店長に同意する場合も多いでしょうし、異議を申し立てることもあるでしょう。(あまりにも異議を申し立てるとFiradis WINE CLUBの信頼が揺らぎそうですが。。)また同じことを感じていたとしても、稚拙ながら別の表現で述べる場合もあります。そして時には商品ページの内容について、店長に質問することもあるかもしれません。
このコラムを読んでいただく物好きな方には、ぜひ同じワインを手元に置きながら、”自分はどう感じるか”を一緒に探ってほしいと思います。タイトルに「あ、」と不定冠詞「a」を付けたのはあくまで一つの意見にすぎないということです。皆様の意見についてはもしよろしければ、商品詳細ページのレビューにぜひご投稿ください。
それでは早速商品ページを見ていきましょう!
26回目にとりあげるのは、フランス・ロワール地方の赤ワイン。「トラミン ゲヴュルツトラミネール」です。
北イタリアのトレンティーノ・アルト・アディジエ州
今回のワインは、北イタリアのアルト・アディジエ地方のワインです。上の地図をご覧ください。オーストリアとスイスと接するイタリア北東部の州の、そのまた北東部です。
第一次大戦前までのオーストリアのハプスブルク家の支配を受けていた地域なので、現在でもその影響が強く、なんと第一言語はドイツ語。道路標識もドイツ語とイタリア語が並列で書かれていたりするんです。
その影響は国民性にもあるようで、現地に何度も行っている先輩社員曰く、イタリア人特有の「陽気で人懐っこい」というイメージよりも、ドイツ的な「勤勉で頑固」というイメージのほうが当てはまるそうです。そしてこれがワイン造りにも現れているんだとか。
トラミンという協同組合
トラミンは、オーストリアの下院議員であったクリスチャン・スロット代議士によって1898年に設立された協同組合で、現在280もの加盟員がおり、230haの畑を管理している。
さて上の写真の人物は、2004年にイタリアで最も権威のあるグルメワイン雑誌『ガンベロ・ロッソ』にて年間最優秀醸造家賞を受賞した、セラー・マスターのウィリー・シュテュルツ氏 です。この方はあくまで醸造責任者。ワインの栽培を行うのは、じつは協同組合員なのです。
トラミンというのはトラミン村という村の名前であり、同時にこの生産者協同組合の名前です。280ほどいる組合員はそれぞれ家族単位などで自身の区画を持っています。お互いに協力し、時に競争をすることでより良いブドウを収穫することが可能になります。
ちなみにイタリア担当の先輩社員は、組合として協力しつつ統制が取れるのも、勤勉なドイツ人的気質があるからだと言っていました。ほんとでしょうか笑
そして、そうやって収穫されたブドウを年間最優秀醸造家賞を受賞した醸造家が醸造を行い、非常にクオリティの高いワインが出来上がるのです。実は今回の品種ゲヴュルツトラミネールを使ったこのトラミンのフラッグシップワイン「 ヌスバウマー」は、前述の『ガンベロ・ロッソ』誌において最高賞の三ツ星を毎年のように獲得しています。このウィリー氏はトラミン村の気候や土壌を知り尽くしていて、それぞれの品種に最適な醸造を行いクリーンで美しいワインを生み出しています。
ゲヴュルツ・トラミネールの魅力
是非とも選択肢に入れて欲しいのが、ゲヴュルツです。この個性的な香りを持った品種は、合わせる料理を限定すると考えられがちですが、実は非常に使いやすい品種。特に揚げ物などのおつまみ料理、大皿で作る炒め物など、手軽な料理とのマリアージュが可能なワインなのです。色々な料理に合わせられる白ワインを選ぶことは、簡単ではないですもんね。
さて、このトラミンを代表する品種であるゲヴュルツトラミネール。実は、このアルト・アディジエ地方のトラミン村こそが原産地という説が有力です。アルファベットだとGewurztraminerと書く通り、品種にも「tramin」という名前が入っているのです。
原産地であるということはつまり、その品種を育てるのに最適な場所だということです。北イタリアの冷涼なほど良い高地、また品種に適した土壌が存在します。
そもそもゲヴュルツトラミネールはどのような品種かご存知でしょうか。
よくソムリエ試験に出てくる知識で有名なのが、ライチのような独特な香りのするアロマティック品種であるということ。そのほかにもパッションフルーツや桃の濃厚で甘やかなアロマを感じることが多いです。
しかし、ただアロマティックな品種というだけでなく、あくまで冷涼な産地で栽培され、繊細な酸が同居しています。これがうまく全体のバランスをとることで、意外にもゲヴュルツトラミネールという品種は幅広くマリアージュに適した品種となるのです。
通常の和食から、より刺激の強いエスニック料理まで対応できます。特に揚げ物などのおつまみ料理、大皿で作る炒め物など、手軽な料理とのマリアージュが可能なワインとしておすすめです。しかしその懐の広さも強烈な香り・果実感と酸度のバランスをうまくとれる生産者に限ります。そういった意味でもトラミンは間違いない生産者です。
これらを踏まえて、いよいよテイスティングです。
いよいよテイスティング
ライチ&桃っぽい香り”、とにかく柔らかくフルーツ感たっぷりで飲みやすいと大人気の1本です。ゲヴュルツトラミネール種のルーツ、トラミン村で産まれたパーフェクトバランスの1本!!
店長のテイスティングコメントはこんな感じでした。このワインについては使い勝手の良さを詳しく書いている一方で、テイスティングコメントそのものはあまり詳しくは書かれていないですね。
私が感じた印象は、一言で言えばトロピカルで涼しげ、です。
香りはわかりやすくライチ、パイナップルなどトロピカルな果実がグラスに注いだ瞬間から立ち上ります。あとは白胡椒のような花をくすぐるスパイスの香りも感じました。香りを感じるだけで楽しくなるワインです。
そして味わい。香りに感じたトロピカルな果実感がとろみをもって感じられます。そこにしっかりとした酸とミネラルが存在し、とても涼しげ。切れ味があり、余韻がかなりさっぱりとしています。豊かな香りから始まり、心がリフレッシュされるような白ワインです。しっかりと冷やして飲むことでそのリフレッシュ感はさらに高まります。このワインも暑い時期にどんどん飲んでいきたい、期待を裏切らない盤石のワインです。
以上です。ここまでお読みいただきありがとうございました。皆様の意見をレビューにてお待ちしております。
例によって、下記のコラムも是非ご参照ください。お料理パパが果敢にもアンコウとのマリアージュに挑んでいます。
フィラディスの新人(もう三年目)、篠原魁太でした。
ワインペアリング奮闘記 第132回 アンコウとゲヴュルツ・トラミネールの関係 / トラミン ゲヴュルツトラミネール 2020年
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