あ、せかんどおぴにおん 第27回「グランデス・ビノス・イ・ヴィニェドス アナヨン・カリニェナ 」
『あ、せかんどおぴにおん』第27回
「グランデス・ビノス・イ・ヴィニェドス アナヨン・カリニェナ」
目次
このコラムについて(ここは毎回同じことが書いてあります。)
あなたが五感で捉える感覚と他人が感じる感覚は同じとは限りません。もしかすると、同じ言葉で表現される感覚でも人によって感じている実際の感覚は異なるのかもしれません。逆にたとえ同じ感覚を得ていたとしても、人によって別の言葉で表現することはよくあることです。
疑心暗鬼になりながらも、”自分はどう感じるか”、ワインをテイスティングする際の実際の感覚に最も適した言葉を必死に探す。相手にわかってもらえるようにワインの状態や魅力を伝えることが目的だとしても、どうしてもその人の個性が出てしまう。それもまた、ワインテイスティングの醍醐味であると思います。
このコラムは現在夜メルマガと『ワインと美術』のコラムを担当させていただいている、Firadis WINE CLUBの新人(もう3年目ですが)、篠原が当店のワインを飲み尽くしていくコラムです。
しかしただテイスティングをしていくだけでは面白くありません。そこで、すでにページに掲載されている店長による商品説明やテイスティングコメントを引用しながら、自分ならどう思うか。もう一つの意見を記していきます。当然店長に同意する場合も多いでしょうし、異議を申し立てることもあるでしょう。(あまりにも異議を申し立てるとFiradis WINE CLUBの信頼が揺らぎそうですが。。)また同じことを感じていたとしても、稚拙ながら別の表現で述べる場合もあります。そして時には商品ページの内容について、店長に質問することもあるかもしれません。
このコラムを読んでいただく物好きな方には、ぜひ同じワインを手元に置きながら、”自分はどう感じるか”を一緒に探ってほしいと思います。タイトルに「あ、」と不定冠詞「a」を付けたのはあくまで一つの意見にすぎないということです。皆様の意見についてはもしよろしければ、商品詳細ページのレビューにぜひご投稿ください。
それでは早速商品ページを見ていきましょう!
27回目にとりあげるのは、スペインの赤ワイン。「グランデス・ビノス・イ・ヴィニェドス アナヨン・カリニェナ」です。
グランデス・ビノス・イ・ヴィニェドス
まずは動画をご覧ください。全部見なくてもちょっとだけでも良いと思います。スペインの壮大な風景を見ていただけると思います。こういった場所で栽培されたブドウがワインに変わって、自宅まで届くと思うとなかなか感慨深いものがあります。ちなみに、この動画は商品ページの「動画で見学」からも見ることができます。ちょっとしたワイナリー見学です。
一番最後にgrandes vinos, the legacy of carinenaという文字が出てきます。今回とりあげるワインを知るうえでしっておきたいテーマはこの二つ、「grandes vinos」と「carinena(カリニェナ)」です。順にみていきましょう。
グランデス・ビノス
まずは最初のキーワードです。ワイナリーの正式名称はグランデス・ビノス・イ・ヴィニェドス。英語にすると「great wines and vineyards」となります。ワイナリー名からも壮大な感じがします。それもそのはずで実はこのワイナリーが位置する、スペイン北東部アラゴン州のカリニェナという地域で最大の生産者なのです。この地域の総栽培面積のなんと3割、広さにして4300haという畑を所有しています!とてつもない広さです。
しかもこの広さは、どこか一部分というわけではなく、カリニェナの全地域に及んでいます。山間部から河岸、標高や日当たりの様々な区画を保有しています。だからこそブレンドによってさまざまな味わいを表現できるのが”最大”の強みです。
そして「アナヨン」とワイン名に入っているのは、これはちょっとわかりにくいのですが、ブランド名です。当店の白ワイン人気トップ5に必ず入っている「アナヨン シャルドネ」ももちろんこのシリーズです。実はこのアナヨンというシリーズはこのワイナリーの最上級ブランドなのです。
つまりはとてつもなく広大な、しかも様々な条件をもつ畑を所有したうえで、その中から厳選して最もよい品質のブドウを使っているのがこのアナヨンシリーズなのです。実際に使用しているのは、所有している畑の約0.003%の特に優れた区画。そりゃあ美味しいわ、って感じです。
ちなみに、このワイナリーは規模の大きさを利用して、細かく区画ごとにデータベースを作成して徹底的に栽培状況を管理するそうです。また、大規模農業らしく機械で栽培するのかと思いきや、このアナヨンシリーズに関しては100%手摘みで栽培するそうです。
ワインのイメージとして、どうしても小さな良い区画を孤独に丁寧に栽培していくのが良いイメージがありますが、逆に規模が大きいからこそたくさんのブドウからしっかりと厳選して、人数をかけて管理をして、とより良い面もあるのです。その長所を最大限生かしたのが最上級ブランド、アナヨンシリーズというわけです。
しかもコストパフォーマンスの高いスペインだからこそ、最上級ブランドなのに価格は思ったほど高くない。これぞスペインの長所が凝縮されたワインといってよいと思います。
カリニェナ
フィラディスワインクラブでは赤も白も常に人気ランキングのベスト5に入り続け、お陰様で名前もすっかり定着した「アナヨン」。シャルドネ、セレクシオンの2種の更に上に立つトップレンジが、こちらの『アナヨン・カリニェナ』。生産はブドウの作柄が本当に素晴らしかった良年のみ、しかもその年でも最大4,000本しか仕込まない、アナヨンの”理想・夢”を体現するトップ中のトップワインです。
上記は商品ページからの引用です。
もう一つのテーマ、カリニェナ。これはこのワイン名でもあり、品種名でもあり、なによりこのワイナリーが最大の生産者として君臨する、地域の名前でもあります。
このスペイン北東部の内陸に位置するカリニェナはスペインの中でも最も古いワイン産地の一つだそうです。古くから優れたブドウを栽培できる場所として知られていました。このカリニェナ原産の、カリニェナを代表する品種こそが、カリニェナです。(わかりにくいですが笑)
カリニェナ最大の生産者による、最上級ブランドアナヨンとして造る、最重要品種カリニェナ。そりゃ気合が入らないはずがありません。実際に最初の2011年ヴィンテージで、スペインの歴史あるワインガイド「ギア・グルメ」にて見事『スペイン最高のワイン』に選出されています。
そんなスペイン最高のワインは、4,000円以内で楽しめます。ぜひ皆様も一度お試しください!
このまま終わっても良いんですが、本当に美味しいかどうかを確かめたいと思います。いよいよテイスティングです。
いよいよテイスティング
『アナヨン』のトップレンジと聞くと、シリーズの他のワインを飲んだ経験のある方は「それはさぞかしパワフル・どっしりした味わいなのだろうな…」と想像されるかと思いますが、その思い描いた味は良い方向に思いっきり裏切られます。
カシスやダークチェリーなど黒系フルーツのジャム的なアロマにフローラル香、そこに挽き立て黒胡椒のアクセントが加わったような非常に力強い香りはイメージ通りですが、ひとくち口に含んでみると驚くほど優しくエレガントなタッチが。抜栓直後の段階から果実の甘さ・密度は十分過ぎるほど出ているのに、重さを全く感じさせず綺麗に、ジューシーに、長く味わいが続きます。
店長のテイスティングコメントはこんな感じでした。さてここまでカリニェナという品種の特徴については書いておらず、一般的なスペインのイメージや濃厚なシャルドネのイメージからさぞかしパワフルなワインかと思いきや、コメントにもある通り期待を裏切られるワインなのです。
私の印象も同じ。香りは力強いのに、味わいはむしろ爽やかささえ感じる。これを書いているのは夏ですが、夏こそむしろ楽しめるくらいかもしれない、と感じたほどです。
煮詰めたカシスやブルーベリーのジャム、すみれの香り、シナモンやクミンのようなスパイス、ちょっとしたグリーンノートまで、と香りはとにかく多彩。果実の香りの力強さが、明らかに味わいも力強いだろうという前振りをしてくれます。
そして期待は裏切られます。まさに優しくエレガント。タンニン量も結構あるはずなんですが、うまく解けているのと、果実の柔らかさ、酸の高さが軽やか。ただし余韻は長く、柔らかい果実が長く続く。これは結構びっくりすると思います。
改めて、カリニェナ最大の生産者による、最上級ブランドアナヨンとして造る、最重要品種カリニェナ。味わいの方向性としての期待は裏切りつつ、品質の期待は裏切らないワインです。ぜひ皆様もお試しいただき、また皆様の意見をレビューにてお待ちしております。
例によって、下記のコラムも是非ご参照ください。お料理パパが鶏肉を使ったベリーソースのコンフィと合わせています。
ここまでお読みいただきありがとうございました。
-
前の記事
あ、せかんどおぴにおん 第26回「トラミン ゲヴュルツトラミネール 」 2022.08.01
-
次の記事
あ、せかんどおぴにおん 第28回「ヴィノジア グレコ・ディ・トゥーフォ ラリエッラ」 2022.09.05
コメントを書く