あ、せかんどおぴにおん 第34回「シャトー・カップ・ドール サン・ジョルジュ・サン・テミリオン」
『あ、せかんどおぴにおん』第34回
「シャトー・カップ・ドール サン・ジョルジュ・サン・テミリオン」
目次
このコラムについて(ここは毎回同じことが書いてあります。)
あなたが五感で捉える感覚と他人が感じる感覚は同じとは限りません。もしかすると、同じ言葉で表現される感覚でも人によって感じている実際の感覚は異なるのかもしれません。逆にたとえ同じ感覚を得ていたとしても、人によって別の言葉で表現することはよくあることです。
疑心暗鬼になりながらも、”自分はどう感じるか”、ワインをテイスティングする際の実際の感覚に最も適した言葉を必死に探す。相手にわかってもらえるようにワインの状態や魅力を伝えることが目的だとしても、どうしてもその人の個性が出てしまう。それもまた、ワインテイスティングの醍醐味であると思います。
このコラムは現在夜メルマガと『ワインと美術』のコラムを担当させていただいている、20代のFiradis WINE CLUBのスタッフ、篠原が当店のワインを飲み尽くしていくコラムです。
しかしただテイスティングをしていくだけでは面白くありません。そこで、すでにページに掲載されている店長による商品説明やテイスティングコメントを引用しながら、自分ならどう思うか。もう一つの意見を記していきます。当然店長に同意する場合も多いでしょうし、異議を申し立てることもあるでしょう。(あまりにも異議を申し立てるとFiradis WINE CLUBの信頼が揺らぎそうですが。。)また同じことを感じていたとしても、稚拙ながら別の表現で述べる場合もあります。そして時には商品ページの内容について、店長に質問することもあるかもしれません。
このコラムを読んでいただく物好きな方には、ぜひ同じワインを手元に置きながら、”自分はどう感じるか”を一緒に探ってほしいと思います。タイトルに「あ、」と不定冠詞「a」を付けたのはあくまで一つの意見にすぎないということです。皆様の意見についてはもしよろしければ、商品詳細ページのレビューにぜひご投稿ください。
それでは早速商品ページを見ていきましょう!
34回目にとりあげるのは、ボルドーワイン。「シャトー・カップ・ドール サン・ジョルジュ・サン・テミリオン」です。
ボルドー右岸
フィラディスワインクラブがボルドー右岸で熱く注目する「サン・ジョルジュ・サン・テミリオン」…ボルドーでも最小クラスのアペラシオンでありながら、素晴らしい土壌と完璧な日照を得られる南向き斜面のエリア。バイヤーチームで右岸のテイスティングをした際に、ひと口で上質さをしっかりと感じさせる実力派の1本に、全員の手が挙がりました!
さて今回のワインは、ボルドーワイン。そしてその中でもボルドー右岸のワインです。さてボルドー右岸ってなんでしたっけ。ここでボルドーの基本を改めて抑えておきましょう。
実はフィラディスワインクラブには、下記のようなボルドーの基本が説明された便利な特集があるのです。
ボルドーのワイン産地を大別すると、一般的に左岸(さがん)と右岸(うがん)に分かれます。 川の流れる方向に向かい、左側と右側ですね。(川は地図上、右から左に流れています)
まず超ザックリと、このように覚えましょう。
・左岸の赤ワインはカベルネ・ソーヴィニヨン主体のがっしりタイプ。
・右岸の赤ワインはメルロー主体のまろやかタイプ。
さて、こんな風に書いてありますが、今回のワインは右岸、つまりメルロ主体のまろやかタイプ、ということになりますね。
ちなみにこの特集では詳しく説明していないですが、右岸がメルロ主体になりやすいのは土壌が影響しています。左岸が水はけのいい砂質であることが多いのに対いて、右岸は水はけの悪い粘土質土壌が多く、メルロが適しているのです。
「サン・ジョルジュ・サン・テミリオン」
「サン・ジョルジュ・サン・テミリオン」は、サン・テミリオンの真北に位置する非常に小さな衛星地区です。生産者が20件ほどしかない、ボルドーでも最小クラスのアペラシオンでありながら、素晴らしい土壌と完璧な日照を得られる南向き斜面のエリア。正直かなりのマイナー地区ではありますが、ほとんど誰も注目していない分、サン・テミリオン中心地区よりもはるかに安い価格帯で素晴らしいワインを入手することのできる「次に“来る”隠れ名産地」でしょう。
もう一つのポイントは、右岸の中でもどの場所か、ということ。あの右岸で有名なサン・テミリオンに名前が近い、「サン・ジョルジュ・サン・テミリオン」という場所です。名前がは似ているけど異なる地区です。ただ注目度が低く、優れた産地条件を持っているということで、非常にお得だと書いてありますね。
サン・テミリオン周辺には、一般的にサン・テミリオン衛星地区と呼ばれるサン・テミリオンの北側に広がる地区があります。4つのアペラシオンが含まれていて、モンターニュ・サン・テミリオン、ピュイスガン・サン・テミリオン、リュサック・サン・テミリオン、そしてこのサン・ジョルジュ・サン・テミリオンです。サン・テミリオンと類似した土壌があるんですが、サン・テミリオンよりは少し標高が高いので、より堅牢になりがちです。
この4つの中でも、サン・ジョルジュ・サン・テミリオンが最もサン・テミリオンに近い味わいと言われています。実は物理的に最もサン・テミリオンに近く、気候が温暖なのです。だからこそサン・テミリオンだと高くなってしまうけど、ここならより低価格でコストパフォーマンスの高いワインを探せる、と考えて試飲を重ね、このシャトー・カップ・ドールをを採用したというわけです。
では、その選ばれたシャトー・カップ・ドールはどんな味わいなのか。いよいよテイスティングです。
テイスティング
この地域でイチ押しお勧めしたいのが、サン・テミリオン&ポムロールに7つものシャトーを所有するまさにメルロのスペシャリスト「ドメーヌ・ジャン・フィリップ・ジャノー」による『シャトー・カップ・ドール』。フィラディスのバイヤーチームで右岸のテイスティングをした際に、ひと口で上質さをしっかりと感じさせる実力派の1本に全員の手が挙がりました。メルロが織りなす重層的な果実味とシルキーなタンニン、カベルネ・フランから来るラズベリーなど赤い果実の心地良い酸、この2品種のブレンドでは理想形とでも言える調和を獲得していました。
店長のコメントはこんな感じです。
私が印象的に感じたのは、とても心地よい香りと柔らかくも飲みごたえのある味わいです。
まず香りは、赤系果実の爽やかな香りと綺麗なハーブ&スパイス。このバランスが絶妙です。ボルドーで未熟なワインに多い嫌な青っぽさは感じられず、見事にまとまっていて心地よい香りです。
そして味わいはアタックから柔らかくも力強い果実を感じます。私が飲んだのは2016年という暑いヴィンテージだったので、それもうまく作用してるのではないかと思います。酸も心地やく、飲み心地の柔らかさに一役買っています。そしてタンニンもきれいにほどているのですが、最後の余韻で結構な量のタンニンを感じて驚きます。こんなにもタンニンがあったのかと。ただ、このタンニンが適度な引き締めを生み、食事に合わせやすくなっていると思います。
執筆時は5点満点中4.13と、レビュー評価も結構高いこちらのワイン。私たちは普段ワインの選定試飲を重ね、特に数が多く当たり外れの多いボルドーのワインを試飲する機会が多いわけですが、これはかなりの当たりだと思います。店長も書いている通りいろんな料理に合わせやすく使い勝手も良いので、ぜひ皆さんも一度お試しください。
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