今月のおすすめワイン本【2020年3月】「ワイン造りにまつわる様々な要素を科学者の視点から紹介」
- 2020.03.09
- 今月のおすすめワイン本
- テロワール, 哲学, 生産者
毎月第1月曜日のワインコラムは、読むとワインを飲むのがもっと楽しくなる本を毎月1冊ご紹介する『今月のおすすめワイン本』コーナー。
今月のお薦め本は2月に続き、ワイン造りにまつわる様々な要素を科学者の視点から紹介し、でも決して難しくなく色々な知識を得ることができる本を選んでみました。
『イギリス王立化学会の化学者が教えるワイン学入門』
(ディヴィッド・バード著/佐藤 圭史・村松 静枝・伊藤 伸子 翻訳 エクスナレッジ 税抜2,700円)です。
昨年末に日本語版が出版されると告知されていたこの本。
100%文系の僕はタイトルを見ただけで「これは、買っても多分読み終えられないな」と思ってスルーしていましたが・・・・
書店で見かけてパラパラ立ち読みしてみたら、驚くほど分かりやすく面白いので、思わず買ってしまいました。
本のタイトルを見た限りでは「ワイン造りは化学なのだ」ということを書きたいのかな、と思わせますが、冒頭から「ワイン造りはある種の芸術で、それを手掛ける醸造家は芸術家だ」という宣言から始まり、その意外性のあるオープニングに惹き込まれました。
ワイン造りは芸術、でもだからこそワインを芸術の域まで高めるためには科学的なメカニズムを正しく理解する必要がある・・・
というアプローチには、僕がこれまでにお会いした数多くの素晴らしいワイン生産者たちの哲学・姿勢と共通するものを感じます。
自身の持つ畑の自然環境を科学的に分析・理解した上でこそ、ワイン造りに対する最良のアプローチがどれかを判断することができ、そして可能な限り余計な手を加えずに最良のアウトプット=テロワールの具現化ができる、と考えているからです。
そして僕がこの本で非常に参考にさせて戴いたのは「ワインの添加物」についての解説。
このワインレターでもこれまでに「酸化防止剤」や「安定剤」などの役割・功罪についてなどをご紹介してきましたが、それらについての最新のアップデートされた情報を獲得することもできました。
・・・やはり「これが入っているワインは出来れば選ばないほうが」という添加物も確実に存在するんですよね。
それらについても、いずれこのメールマガジンでご紹介していこうと思います。
税込2,970円と決して安くはありませんが、内容・ヴォリューム共に十分に満足できると思います。
ワインをおいしく飲むだけでは満足できなくなってきた方、自分の飲んでいるワインがどこでどうやって造られたものなのかを知りたくなったら是非この本を手に取ってみてください!
4月も第一月曜日に、おすすめしたいワイン・お酒に関連した1冊をご紹介させて戴きますね。
さて、次はどんなジャンルのワイン本を選びましょうか・・・?
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