今月のおすすめワイン本【2022年11月】ワインの本…というよりはお酒全般、特に「飲酒」に関する本
- 2022.11.07
- 今月のおすすめワイン本
読むとワインを飲むのがもっと楽しくなる本をご紹介する『今月のおすすめワイン本』シリーズ。
今回の45冊目に選んだのはワインの本…というよりはお酒全般、特に「飲酒」に関する本。忘年会やお正月の宴席、そして新年会とついつい暴飲暴食してしまいがちなシーズンに突入する前に是非読んでおいて戴きたい1冊。
『名医が教える飲酒の化学』(日経BP 葉石かおりさん著、浅部伸一さん監修 税込定価1,650円)をご紹介します!
目次
「お酒と健康」、永遠の深いテーマについての本が増えています。
僕はこれまでこのコーナーで取り上げる本を選ぶときに「ワインに対する知的好奇心に響いてくる本」を基本ポリシーにしてきました。ワインはやはり「知ることが楽しい、そして知るともっともっとおいしくなるお酒」なわけですから、その一助になるような本というのはある意味「ワインにピッタリ合うお料理」と同じ。そんな考え方でいるといくらでも面白い本に巡り会えてきたのですが…今回は初めて「お酒と健康」というこれまで30年近く見て見ぬふりをし続けてきたテーマの本を選んでみました。
そのきっかけになったのは、実はこんな本たち。ここ最近ベストセラーにもなっているいわゆる「断酒本」です。
『「そろそろ、お酒やめようかな」と思ったときに読む本』(青春出版社 垣渕 洋一さん著)、『飲まない生き方 ソバーキュリアス』(方丈社 ルビー・ウォリントンさん著, 永井 二菜さん訳)
コロナ禍による自宅待機期間、外食・飲み会などがままならない時期に「それならこの機会にいっそ・・・」と考えた方が多かったのでしょうね。書店にも山積みされておりまして、各メディアでも取り上げられておりました。
我々のようにお酒業界で働く人間にとっては「こんな本が売れたら商売あがったり、どんなツマラナイことが書いてあるのか読んでみてやろうじゃないの」と敵対心丸出しで2冊とも買って読んでみたのですが、いざ読んでみれば書いてあることはまさに正論中の正論、しかも結構面白かったり勉強になったりするものだから何とも困ったものです 笑(だから、この2冊については、お酒をやめるつもりのある無しに関わらず一度読んでみても良いのではと思いました。)
ですが、ワインを心から愛し続けてきたものとしてそう簡単にお別れを言うことはできません。それならば「健康に優しい、適正な飲み方」を提案してくれる本を読んでみよう、と思い手に取ったのが今回ご紹介の『名医が教える飲酒の化学』です。
「断酒本」系とは違い、元気に末永くお酒と付き合っていくための本、なんです。
本書の基本的な内容は、ざっくりと言えば「適正な飲酒とは」についてです。「酔っぱらう」とはどんな現象なのか、二日酔いとは何か、そしてその防止法は?はたまた、年を取るとお酒に弱くなるのは何故か、γ-GTP値の正しい読み方などなど、お酒好きなら誰もが気になり、一瞬ドキッとして、今のうちにちゃんと知っておこうかな。。。と思うテーマがほとんどです。
じゃあ、内容をちょっとだけ紹介しましょうか。
皆さんにクイズです。「すぐに酔わないためには、飲む前にどんなものを食べて/飲んでおくと良いでしょう?」
ここで「ウコン」や「ヘパリーゼ」と思った方は僕のお仲間ですが 笑、それは不正解。正解は「油分を含む食べ物」
です。油分を取ると消化ホルモンの働きで胃の出口が閉まり、アルコール分が胃に滞留する時間が長くなります。そのため、消化器官の中でアルコールを最も吸収しやすい小腸にアルコールが進むのを遅らせ、結果として酔いの進みがゆっくりになるそうです。
ただ、油ものと言っても飲む前から揚げ物を食べたりするのは脂肪分の取り過ぎになってしまいますので、例えばオリーブオイルをドレッシングに使ったサラダとか、チーズなどが良いのでは、との提案でした。
どうですか??なかなか面白そうでしょう。
そんな「お酒健康雑学」の中で僕が最も驚いたのは…「酒飲みは風邪を引きにくい」、本当なのか???
さすがにそれは嘘でしょ?と思いますよね。でも正式な研究結果とともに書いてあるんですよ。
1993年に英国で発表された研究結果だそうですが、「非喫煙者」条件のもとアルコールを飲む人、飲まない人に風邪のウイルスを投与したところ飲酒量が多い人の方がかかりにくかった、という結果が出たそうです。
なんと…我々が良く「アルコール消毒」なんて言っているのもまんざら嘘では無いのか??と思ってしまいますが、
勿論「飲めば飲む程風邪にかからない」などいうことは全く無くて、最大値でも1日ワイン2杯くらい、の人が対象ですよ。そこは勘違いをしないようにしなくてはいけません 笑
それに、この研究はもはや30年も前のものですから、今は別の研究結果が出ている可能性も高いですよね。そのあたりは調べてみようかと思います。
その他、ダイエットに向いたおつまみや飲酒と筋トレの関係などお酒を適正に飲みながら健康体を作っていく方法が色々紹介されている本書、ワインラヴァーの皆さまには是非とも読んでおいて戴きたいな、と思い紹介させて戴きました。さらっと短時間で読めちゃいますので、通勤や出張の移動時などにもおすすめです!
という訳で今回のワイン本紹介はこのへんで。さて、次回はどんなワイン本をご紹介しましょうか・・・おっと、またこんな面白そうな本を見つけてしまった・・・早速ポチっとな、と。早く届かないかなあ。。。
*本日ご紹介した書籍は、Amazon他にて新品・古書等で購入できます!
『名医が教える飲酒の化学』(日経BP 葉石かおりさん著、浅部伸一さん監修 税込定価1,650円)
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