ワインペアリング奮闘記 第169回 均整の取れたボルドー赤とライスバーガー / シャトー・ド・ブレイザック
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均整の取れたボルドー赤とライスバーガー
今回の課題はシャトー・ド・ブレイザック ボルドー・シュペリュールです。
ここでちょっとお勉強タイム。シュペリュールとは何でしょう?
シュペリュールという言葉は「上位の」「優れた」といった意味合いですが、シュペリュールを冠する赤ワインは、一般的なAOCボルドー赤ワインと具体的に何が違うのでしょう。違いは畑にあります。
シュペリュールの規定では、一般的なAOCボルドーよりもブドウの木を密集して植えることを求めています。
それによってブドウの樹は競争によって力強くなり、根は栄養を求め、地下深くまで伸びます。
収量についてもAOCボルドーよりも少なくなるよう設定されているのですが、密集により1本の木が葉を広げるスペースは限られているため自ずと収量が減るような仕組みになっています。
深く根を張ったブドウの木により少ない量の房がなるため、果汁に含まれる成分はより充実し果実味は強くなります。
ではこのシュペリュールを冠した今回のボルドー赤ワイン、シャトー・ド・ブレイザックを早速テイスティングしてみましょう。ヴィンテージは2016年です。
テイスティング
色調はクリアでやや紫を帯びていますが、落ち着きのあるルビー。
華やかで食欲をそそる香りです。熟したブルーベリーやカシス、ミントやアニス、湿った土。
口当たりは軽快で、するっと入ってくる感じ。穏やかな酸味と、甘い果実のバランスが取れています。
ミドルからはタバコや落ち葉のようなフレーヴァと苦味が現れます。タンニンはシルキーですね。
全体的にクセがなく主張はあまり強くないです。ミドルボディで、コンパクトにまとまった印象ですね。
落ち着いた雰囲気で少し熟成のニュアンスも感じられる、飲みやすい赤ワインだと思います。
カチッとしたストラクチャと、アフターに残る複雑味等、トータルでボルドーらしさが感じられるため、ボルドーの赤ワインってどんなものだろう?と思っている方のエントリーとしてお勧めできる赤ワインに仕上がっていると思います。
合わせる料理『きんぴらと牛肉のライスバーガー』
どちらかというと繊細さが持ち味のボルドー赤ワインなので、和食など、肉料理ではあってもインパクトの強すぎないものが良いと思います。醤油の味付けも合いそうですし、肉の付け合わせとしての根菜等も合いそうです。
というわけで今回は、ご飯のハンズで、きんぴらと牛肉を挟んだライスバーガーを作りたいと思います。
レシピ
予めトッピング用のきんぴらごぼうを作っておきます。早めに作り冷蔵庫に入れておいた方が美味しいので前日にでも。牛肉は、切り落としをフライパンで炒めて焼肉のたれでしっかり目に味をつけておきます。
ライスバンズって、あまり作らないですよね。ネットで調べながら作ってみましたが意外と簡単です。
米の量は2合炊いてバーガー4個分(バンズ8枚)くらい。
普通に炊いて、ボウルに移したらつなぎの片栗粉を適量混ぜこみ、1枚分ずつラップでくるみます。
これを適当なサイズの容器に押し込んで形を作ります。
雑穀入りにしてみました。
フライパンに油を敷きライスバンズの両面を焼きます。外側には酒、みりん、砂糖、醤油を合わせたタレを塗って焼き色を付けます。
このバンズでレタス、牛肉、きんぴらをライスバンズで挟んだら、出来上がりです。
ペアリングレポート
【総合評価】 星4つ:★★★★☆
【評価ポイント】
○香ばしい「おこげ」のフレーヴァが赤ワインのアフターの複雑味に重なって余韻を引き伸ばす
○タレの染みた牛肉の旨味が赤ワインの果実味と同調、旨味を引き出す
△ライスバーガーの素朴な風味に対して、赤ワインの華やかさは行き場のない感じ
こちらの赤ワインはお米や醤油、きんぴらといった和食とも喧嘩しませんでした。
三角はつきましたが、嫌な要素が目立つということはないので大きな問題ではないと思います。
今回の赤ワイン、飲みやすいだけでなく、合わせる料理にも懐の深さがあるボルドー赤だと思います。
難しく考えず、普段の食事のお供として、シャトー・ド・ブレイザックを是非お試し下さい。
(西岡)
今回のペアリングワイン:
シャトー・ド・ブレイザック
このコラムのライター
J.S.A.認定ワインエキスパート 西岡 卓哉
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