ナチュラルワイン、オーガニックワインってどんなワイン?

ナチュラルワイン、オーガニックワインってどんなワイン?

近年良く耳にする「ナチュラルワイン」や「ナチュールワイン」という言葉。雑誌やWebで特集が組まれたり、ナチュラルワイン専門の飲食店や酒販店を見かけたり。ちょっとしたブーム?トレンド?というよりは、一つの確立されたジャンルとなってきています。では「ナチュラルワイン」とはどんなワインなのでしょうか?オーガニックワインとは違うのでしょうか?

 オーガニックワインとは? 

「オーガニック」や「ビオ」といわれるワインは「有機農法」で育てられたブドウを使用して作られていますが、「有機」のブドウを使用しているという点にフォーカスしており、醸造に関しては含有量の制限はあるものの、酸化防止剤の添加は認められています。

 1.化学肥料や除草剤、殺虫剤などの農薬を使用しない。
 2.栽培方法を有機に替えてからの移行期間が定められている。
 3.酸化防止剤の含有量やブドウの病気を防ぐための薬剤の使用制限がある。

世界には「有機農法」であることを認証する機関がいくつかあり、機関によって多少の違いはありますが、認証を得るには主に上記のような規定があり、取得すると機関のマークをラベルなどに表記することができます。海外の代表的な認証機関は、Euro Leaf ユーロ・リーフ(EU)、Demeter デメター(ドイツ)、ECOCERT エコセール(フランス)、Agriculture Biologique アグリカルチュール・ビオロジック/AB(フランス)などがあります。日本では農林水産省が有機JASという認証規格を定めています。

しかし、認証を取得していなければオーガニックを名乗れないわけではありません。認証を受けていない生産者の中には「ずっと昔からこの方法で栽培、醸造をしているのに、なぜ今更認証を受ける必要があるのか?」という古参の生産者も少なくはなく、そうした人達の中に素晴らしいワインを作っている生産者がいたりもするのです。

 ナチュールワインとは? 

英語ではナチュラルワイン、フランス語ではヴァン・ナチュールといいます。ナチュラル=自然という言葉から漠然とイメージはつくものの、その定義は国によって異なり、曖昧なのが現状です。でも、ナチュラルワインを名乗るのであれば「ブドウ栽培」と「ワイン醸造」において最低限満たすべき基準があります。

 1.有機農法で栽培されたブドウを使用していること。
 2.自然酵母で発酵させていること。
 3.酸化防止剤(亜硫酸塩)無添加、もしくは最低限に抑えていること。

ナチュラルワインの生産者にフィロソフィーを聞くと、「できるだけ人間が介入しないこと」という回答が多く、オーガニックワインよりもさらに酸化防止剤を抑え、自然に任せて醸造しています。清澄や濾過をしないでボトリングする作り手が多いのも特徴の1つかもしれません。

【どんな味わい?】

生産者によってもちろん味わいは異なりますが、酸化防止剤を使用していないため、若いうちから熟成感や複雑味を感じる優しい味わいのものが多く、また、無濾過、無清澄で作られるため、ほのかに酵母の香りがしたり濁りが見られるものもあります。

【見分け方は?】

ナチュラルワインには認証機関がないため、ひと目でわかる見分け方はありません。しかし、オーガニック認証マークや添加物無添加を意味するNon souffle、No S02、No Additivesなどの表記があるとその可能性は高くなります。外観に濁りのあるワインも可能性があります。

【保管方法は?】

ナチュラルワインの保管には注意が必要です。まず、酸化防止剤を使用していないため熟成の進みが早く、過度な熟成は劣化につながります。そして無濾過、無清澄のためボトル内に酵母が存在し、再発酵してしまう可能性もあります。温度の高いところでは決して保管せずに、ワインセラーや冷蔵庫などで保管しましょう。
生産者のセラーでボトリングされた後から私達のグラスに注がれるまで、どのようにそのワインが変化していくかは管理に大きく左右されます。同じワインでもボトルによって香りや味わいが異なることもあります。

 自然に優しいブドウ作り 

ワインの歴史は紀元前8000年頃に始まり、当時は甕に入れたブドウを自然発酵させた究極のナチュラルワインでした。そこから始まる長い歴史の中で、より多くのブドウを得るために畑に化学肥料を撒いたり、殺虫剤で虫を駆除したりと試行錯誤を経て、現在は原点回帰に向かっていると言っても過言ではないような気がします。生産者から良く聞くのは「サスティナブルSustainable(=持続可能な)」という言葉。環境に悪影響を与えることなく、自生する草花や動物、昆虫などの生命体と共存して行うブドウ栽培です。生産者が取り組んでいるサスティナブル農法は今まで挙げてきたもの以外にもあるので、主要なものをご紹介しておきます。

【ビオディナミ(Biodynamic)】

英語ではバイオダイナミクスといい、オーストリアのルドルフ・シュタイナー博士が提唱した有機農法です。地球上のすべての生命体は宇宙からの影響を受けており、調和しながら生きているという考え方をベースに、宇宙からのパワーを使って最大限に土壌やブドウの潜在能力を引き出すのを目的とする農法です。農作業を月暦に従って行い、プレパラシオンと呼ばれる肥料は独特で牛の角に牛糞を詰めたものや水晶の粉を詰めたものを数カ月間土壌に埋めたのち、水で薄めて畑にスプレーします。少しスピリチュアルな感じがしますが、土壌の有機物が増えたりブドウの抵抗力が高まったりとメリットは多く、銘醸ワインを生み出している生産者も取り入れているところが少なくはありません。

【リュット・レゾネ(Lutte Raisonnée)】

減農薬農法といわれるもので、必要な時には最低限の農薬は使用するというものです。完全に無農薬でブドウを栽培するということは病気や害虫被害などのリスクをかなり伴い、被害を受ければ収穫量が減少し、生産者は経済的なダメージを受けてしまいます。そこで、ブドウが病気にかかってしまった時にだけ必要最低限使用して病気の蔓延を防ぎ、健康なブドウを維持する農法です。自然環境がもたらす影響が問題視される今日、とても多くの生産者が取り入れています。

 Firadis WINE CLUBのおすすめワイン 

ワイン専門商社フィラディスの直販ショップ Firadis WINE CLUBよりおすすめワインをご紹介!「自然派!/ビオ!」が先行し、「おいしさ」は二の次でありません。「とにかくおいしい」重視した、品質の高いワインです。

 

モルカ ゴディナ

ソアーヴェ・クラッシコ

シャルトーニュ・タイエ キュヴェ・サンタンヌ・ブリュット N.V.

 

今回はナチュラルワインやオーガニックワインについて触れてみましたが、いかがでしたでしょうか?
ワインを選ぶとき、飲むとき、語るときにちょっと思い出していただけたら嬉しいです。楽しいワインライフをお過ごしください。

ライター紹介:新井田 由佳(Yuka Niida)

・J.S.A.認定 ソムリエ
・La Confrerie des Hospitaliers de Pomerol ボルドー ポムロル騎士団称号

大手総合商社在職中にワインに魅了され、退職して渡仏。ブルゴーニュを中心にフランス、イタリアの数多くの生産者を訪問し見聞を広める。知れば知るほど魅了されるワインの世界について、もっと知りたい!が現在進行形で継続中。

CTA-IMAGE ワイン通販Firadis WINE CLUBは、全国のレストランやワインショップを顧客とするワイン専門商社株式会社フィラディスによるワイン直販ショップです。 これまで日本国内10,000件を超える飲食店様・販売店様にワインをお届けして参りました。 主なお取引先は洋風専門料理業態のお店様で、フランス料理店2,000店以上、イタリア料理店約1,800店と、ワインを数多く取り扱うお店様からの強い信頼を誇っています。 ミシュラン3つ星・2つ星を獲得されているレストラン様のなんと70%以上がフィラディスからのワイン仕入れご実績があり、その品質の高さはプロフェッショナルソムリエからもお墨付きを戴いています。 是非、プロ品質のワインをご自宅でお手軽にお楽しみください!
Translate »