ワインボキャブラ天国【第55回】「ゼラニウムの花」英:geranium 仏:geranium
- 2020.10.10
- ワインボキャブラ天国
- コート・デュ・ローヌ, シラー, ピノ・ノワール, フランス, ブルゴーニュ, 生産者, 赤ワイン, 香り
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「ゼラニウムの花」
英:geranium
仏:geranium (*最初のeに右上がりのアクセント 男性名詞:発音は「ゼラニュム」)
「ゼラニウムの花」、まずは香りを嗅いだことの無い方は今すぐ花屋さんかホームセンターの園芸コーナーに行って、香りを嗅いでくることから始めると良いのでは、と思います。
フローラルなワイン、なんて書いてあるから一生懸命花の香りを探してみるけど、一体全体どこがどう花のイメージなのか・・・?
1本のワインの中に数多く感じ取れる要素から特定するのがとても難しいのが「花」各種、その中でも特に「どんな香りかすぐに想像できない」のがゼラニウムだと思います。
そもそも、実際にその花の香りを嗅いだことが無ければ、その表現は使うことはできないですもんね。
花屋さんの店頭でいきなり香りを嗅ぐのも憚られるでしょうから、鉢植えがいっぱい並んでいる大きなホームセンターに行って気軽に体験してきましょう。
余談ではありますが、僕は以前フランスに留学していた時に貧乏暮らしの部屋を少しでも華やかにするためにゼラニウムの鉢植えを置いていたことがあります。
見た目は華やかで綺麗なのにとても安くて、しかも実は後から聞いたのですが虫除け効果などもあるそう。街中の家や商店の前など、結構色々なところで植えられているのを見かけました。それで、香りのイメージがある程度身に付いたのかな、と今では思います。
さて、ゼラニウムには赤、ピンク、白など様々な色のものがありますが、ワインの香り表現として使われているのは赤い花です。
そしてゼラニウムの香りが表現として使用される代表的なワインは、やはりブルゴーニュのピノ・ノワールでしょうか。
赤ワインに対して使う花の表現はバラ、スミレが主流ですが、この2つはかなり主張が強く印象深い香りで、ワイン全体に紫・青のニュアンスがあるワインに多く見つかるかな、と思います。
例えば、コート・デュ・ローヌのシラーなどですね。
一方でゼラニウムの花はもう少し控えめで、赤い果実の香りの奥に微かに見つかる粉っぽい香り、と僕は個人的に定義しています。
鼻の奥までスッと抜けて一気に花のイメージが展開するようなバラの香りとは違い、花なのかスパイスなのか微妙なところ。
それがゼラニウム、でしょうか・・・・やっぱり分かりにくい 笑
だから香りを実際に嗅いできてください!
なお、ゼラニウムを想わせる香りはある種のオフ・フレーヴァー(劣化臭)であり、状態の良いワインには見つけられない・・・といった意見もあるようですが、僕はブルゴーニュの赤をはじめこの表現にふさわしい香りは確かにあると考えています。
バラでもスミレでもなく、赤ワインの中にあるフローラルな印象。
それをゼラニウムの香りと表現するのは間違いではない、と思います。
花やハーブ・スパイスなどの香り表現を理解し、的確に使いこなすには「現物の香りを把握する」ことが結局一番近道。日常からいろいろな香りを嗅いでみるクセを付けておくと、上達が早いと思います!
ということで本日はこのへんで。
今日、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!
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