ワインボキャブラ天国【第61回】「ハーブの印象がある」 英:herby 仏:herbace
- 2020.12.12
- ワインボキャブラ天国
- カベルネ・ソーヴィニヨン, グラス, グルナッシュ, シラー, ソーヴィニヨン・ブラン, テイスティング, フランス, ボルドー, 熟成, 生産者, 白ワイン, 赤ワイン, 香り
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「ハーブの印象がある」
英:herby
仏:herbace (*最後のeに右上がりアクセント 形容詞:発音は「エルバセ」)
ワインの香りや味わいをイメージ豊かに誰かに伝えるためには、果物だけでは正確に伝えきれない時もあります。
その時に使われるのが、香辛料やハーブ、花、時にはパンやお菓子などの「果物以外を使った表現」ですが、本日はその中で「ハーブ」を使う表現について整理してみようと思います。
例えば、フランス・ロワール産のソーヴィニヨン・ブランのようにとてもフレッシュできりっと辛口の白ワイン。
“グレープフルーツっぽい”だけじゃなくて、そこに“ミントのような鼻に抜ける爽やかさ”なんていう言葉を加えるだけで、想起する香りや味に、フレッシュ感とキレの良さが増してきます。
香辛料やハーブ、花の香りなどの所謂「ノンフルーツの表現」は、フルーツによる表現でそのワインの大まかなタイプを表現し、ノンフルーツの表現を付け加えてその表現を伝わりやすいように精緻化していく、というイメージ。
だから、プラスアルファ的な表現として使いこなせるようになると便利ですよ。
では、どんなハーブがワイン表現のボキャブラリーとして使われるのか、憶えておくと便利なのか、から始めてみましょうか。
一般的にテイスティング用語で出て来るものに加えて、僕が個人的にワインレヴューを書くときなどに使用するハーブ類を10個ほど紹介してみますね。
どれも、基本的には何となく香りのイメージが出来るものだと思います。
【ワイン表現に出て来る(*又は僕が個人的に使うことがある)ハーブをいくつかご紹介】
・ミント
・ローズマリー
・セージ
・カモミール
・フェンネル
・レモングラス
・ローリエ
・チャイブ
・ユーカリ(*ハーブとはちょっと違うかもしれませんが)
・シソ(*僕は赤紫蘇も含めて、結構良く使ってます)
・・・代表的なところでは、こんな感じでしょうか。
勿論これ以外のハーブの香りが存在しないわけでも、使ってはいけないわけでもありません。
是非、自分で想い起したハーブの印象を表現としてどんどん使ってみてくださいね。
さて、これらのハーブ、名前を一覧したイメージでは先程のソーヴィニヨン・ブランのようにフレッシュで若々しい爽やかな白ワインに使う表現なのかな?という印象ですが、特にそうとは限定されません。
例えば、ヴィンテージの若いボルドー赤ワインにミントのニュアンスを感じることはよくあります。
カベルネ・ソーヴィニヨンやカベルネ・フランに由来する特徴的な香りで鼻にスッと抜けるような印象があり、所謂「グリーンノート=未熟果に由来する青臭さ」とは違うポジティヴな香りとして捉えられます。
それ以外にもスパイシーな印象を持つシラーやグルナッシュ等のワインにローズマリーやセージなどの薫り高さを感じたり、熟成の進んだワインに乾燥させたハーブ、例えばローリエのような印象を感じることもありますね。
このような形で様々なワインに見つけられるハーブの印象、例えば上記のボルドーだったら『完熟した摘みたてブラックフルーツのパワフルな香りの中に、抜け感のあるミントの爽やかさ』とか、『黒系果実に薔薇や菫の花を想わせる華やかさ、そこに挽きたて黒胡椒やローズマリーの薫り高さ』なんていう風に比喩を付け加えていく使い方をすると表現がより深まっていくのではないでしょうか。
以前スパイスや花の表現例をご紹介する際にも書きましたが、こういった表現を自由自在に使うためには、実際の香りをしっかり覚えておくことが大切。
もしワインにハーブの印象を感じ、それがお料理用などで実際に家にあるのなら、本物の香りを取って比較してみてください。
その繰り返しによって、あなたのワイン表現がよりリアルに、立体的になっていくと思います。
というわけで今日はこの辺で。
今日、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!
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