ワイン職人に聞く、10の質問【第74回】ドメーヌ・ピエール・ジラルダン (フランス・ブルゴーニュ地方)
- 2021.02.14
- ワイン職人に聞く、10の質問
- テロワール, ピノ・ノワール, フランス, ブルゴーニュ, ペアリング, マリアージュ, ラベル, 哲学, 生産者, 白ワイン, 職人, 調和, 赤ワイン, 香り
≪ひとりのワイン職人の頭の中を覗く一問一答インタヴュー!≫
『ワイン職人に聞く、10の質問』 第74回
ドメーヌ・ピエール・ジラルダン (フランス・ブルゴーニュ地方)
オーナー・醸造家 ピエール・ジラルダンさん
連載シリーズ『ワイン職人に聞く、10の質問』、今回話を聞いた生産者は、ブルゴーニュの大人気生産者『ピエール・ジラルダン』。
あの!!ヴァンサン・ジラルダンの息子でファミリーのなんと13代目にあたる若手生産者です。
2017年ヴィンテージで彗星のごとくワイン界にデビューし、あっという間にブルゴーニュ新世代の代表格として世界中から熱い視線が送られるようになった彼。
世界が注目する若き新星に聞く10の質問、今回も最後までお楽しみください!
Q1:ワイン造りを一生の仕事にしよう、と決意したきっかけは何ですか?
⇒僕はムルソーで生まれ、美しい畑とたくさんのワインに囲まれて育ったんだ。
僕のファミリーは情熱を注ぐべき仕事に取組み、それは僕に引き継がれた。
ムルソーという村の中でも細かなテロワールごとの個性があることを理解し、そして数多くの偉大なブルゴーニュワインを経験する毎に、僕は確信していった。
積み重ねた努力の果てには、それを超えるほどの大きな充実感・満足が得られるってね。
だから、ワイン造りを生涯の仕事に選んだんだ。
Q2:これまでワインを造ってきて、一番嬉しかった瞬間は?
⇒大切な友人、そして僕のワインを愛してくれる人と一緒に自分のワインを開けるとき、だね。
その瞬間に、畑でのタフな仕事がすべて歓びとして楽しめるものに変わる。
そんな時はラベルに何が書いてあるか、何の銘柄かも全て忘れて、ただただ味わい、楽しむんだ!
Q3:その反対に、一番辛い(辛かった)ときは?
⇒それはやはり毎年の収穫期だね。最も最適なタイミングでブドウを摘み取るための判断にはいつもプレッシャーを感じる。
なぜなら近年は温暖化の影響で昔よりも暖かな年が多いから、果実の成熟スピードが以前よりも早く日々大きく変化してしまうからなんだ。
だから、適切なタイミングでブドウを摘み取ることさえできれば、ワイン造りの最重要パートは無事完了した、と言えるね。
Q4:ワイン造りで最も「決め手になる」のは、どの工程だと思いますか?
⇒僕はプレス(圧搾)だと思う。ワインに「魂が入る」最も大切な瞬間なんだ。
プレス作業の段階で、自分のワインがどんな香りを、どのくらいの深さを、そしてどのような個性・スタイルを持つのかを予見できるからね。
そしてこの工程は、僕というひとりのワイン職人の独自性や考え・哲学・感情を表現する場でもある。
1本のワインの未来像までが見据えられる、僕にとってはワイン造りの中で最も重要なプロセスだね。
Q5:あなたにとっての「理想のワイン」とは?
⇒理想のワインは・・・気が付かないうちにボトルが空になっているようなワイン。
白ワインは、リッチでボディ感があるのに、フレッシュさとメリハリもあって全体像が綺麗に調和していること。ピノ・ノワールの赤ワインだったら、沢山の薔薇のドライフラワーに囲まれているような香りで、柔らかくシルキーなタッチであることが僕の求める理想像だ。
Q6:今までに飲んだ中で最高のワインを1本だけ選ぶとしたら?
⇒ヴェガ・シシリアの『ウニコ』1970年。もはや別世界・異次元のワインだったね。
まず心が吹き飛ばされるような驚きがあって、そのあと「自分は今、いったい何を体験しているんだ???」と思わされたよ。
その素晴らしい香りと味わいに、精神が開いていくような感覚があった。
そして・・・・あまりの凄さに「いつかこの境地まで辿り着きたい」という希望が湧いてきた!
Q7:自分のワインと料理、これまでに一番マリアージュしたと思った組み合わせを教えてください。
⇒ムルソー・レ・ナルヴォーと、ザリガニやオマール海老の料理だね。これはもう絶対譲らないよ 笑
食材とワインに共通する塩味によって、まさに完璧なペアリングが生まれるんだ。
Q8:もしあなたが他の国・地域でワインを造れるとしたら、どこで造ってみたいですか?
⇒ドイツでリースリングを造ってみたいね!
世界で最も素晴らしいブドウ品種・産地のひとつだと思う。
Q9:あなたの「ワイン造り哲学」を、一言で表現してください。
⇒「努力は必ず報われる」かな。
ワイン造りにおいては細部・深部にまで徹底的にこだわることが最も重要な鍵であり、そこに熱意が加わったときに全ての扉が開かれる・・・・と考えている。
Q10:最後に・・・日本にいるあなたのワインのファンに、メッセージを!
⇒今はこんな状況だけど、変わらずに素晴らしいワインを楽しみ続けて欲しいと思うよ。
(*訳注:このインタヴューは2020年12月、コロナ禍の時期に回答戴きました)
早く日本を訪れて、素晴らしい料理と僕のワインを一緒に楽しみたいね。
そしてもちろん、皆さんにブルゴーニュを訪れて欲しい。
今この時代に僕が取り組んでいることをもっと知って欲しいんだ。
・・・ピエール・ジラルダンさんへの一問一答インタヴューは、以上です。
今回のインタヴューは如何でしたか??
理想のワインは気が付かないうちにボトルが空になっているようなワイン、だとか、ラベルに書いてあることを忘れて楽しむ・・・だとか、若い造り手らしいフレッシュな考え方が見えて非常に楽しく訳すことができました。
結構スピリチュアル系の人なのかな、と思うユニークな回答もあったり 笑
初ヴィンテージから圧巻のセンスと慧眼で、ワインジャーナリズムを席巻したピエール・ジラルダンのワインたち。
ひとつのヴィンテージでFiradis WINE CLUBで仕入れられるのは各1-2ケース程度というごく少量ですので、彼の作品を入手し、楽しむことは本当に貴重な体験。
是非、逃さずお早めに確保してください!!
『ピエール・ジラルダン ブルゴーニュ・ルージュ エクラ・ド・カルケール』
『ピエール・ジラルダン ブルゴーニュ・ブラン エクラ・ド・カルケール』
『ピエール・ジラルダン ムルソー レ・ナルヴォー』
『ピエール・ジラルダン ポマール レ・ヴォーミュリアン』
『ピエール・ジラルダン ボーヌ プルミエ・クリュ レゼプノット』
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