あ、せかんどおぴにおん 第19回「ドメーヌ リシャール・マニエール ブルゴーニュ・ピノ・ノワール」
『あ、せかんどおぴにおん』第19回
「ドメーヌ リシャール・マニエール ブルゴーニュ・ピノ・ノワール」
目次
このコラムについて(ここは毎回同じことが書いてあります。)
あなたが五感で捉える感覚と他人が感じる感覚は同じとは限りません。もしかすると、同じ言葉で表現される感覚でも人によって感じている実際の感覚は異なるのかもしれません。逆にたとえ同じ感覚を得ていたとしても、人によって別の言葉で表現することはよくあることです。
疑心暗鬼になりながらも、”自分はどう感じるか”、ワインをテイスティングする際の実際の感覚に最も適した言葉を必死に探す。相手にわかってもらえるようにワインの状態や魅力を伝えることが目的だとしても、どうしてもその人の個性が出てしまう。それもまた、ワインテイスティングの醍醐味であると思います。
このコラムは現在夜メルマガと『ワインと美術』のコラムを担当させていただいている、Firadis WINE CLUBの新人、篠原が当店のワインを飲み尽くしていくコラムです。
しかしただテイスティングをしていくだけでは面白くありません。そこで、すでにページに掲載されている店長による商品説明やテイスティングコメントを引用しながら、自分ならどう思うか。もう一つの意見を記していきます。当然店長に同意する場合も多いでしょうし、異議を申し立てることもあるでしょう。(あまりにも異議を申し立てるとFiradis WINE CLUBの信頼が揺らぎそうですが。。)また同じことを感じていたとしても、稚拙ながら別の表現で述べる場合もあります。そして時には商品ページの内容について、店長に質問することもあるかもしれません。
このコラムを読んでいただく物好きな方には、ぜひ同じワインを手元に置きながら、”自分はどう感じるか”を一緒に探ってほしいと思います。タイトルに「あ、」と不定冠詞「a」を付けたのはあくまで一つの意見にすぎないということです。皆様の意見についてはもしよろしければ、商品詳細ページのレビューにぜひご投稿ください。
それでは早速商品ページを見ていきましょう!
19回目にとりあげるのは、「ドメーヌ リシャール・マニエール ブルゴーニュ・ピノ・ノワール」です。
1795年からヴォーヌ・ロマネに続く生産者
ドメーヌ マニエールは1795年からヴォーヌ・ロマネの村の中心に構え、現在のリシャールは5代目となります。非常に歴史ある造り手です。ロマネ・コンティやエシェゾーなどあまりにも有名な畑があり、「ネックレスの中央の真珠」と評されるブルゴーニュを代表する村、ヴォーヌ・ロマネ。この地において長くブドウ造りを続けてきただけでなく、かの有名なD.R.C.(ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティ)から畑を譲ってほしいと迫られるほどの品質の高い区画を所有しています。だからリシャール・マニエールはロバート・パーカーから四つ星評価を受けるなど各評論家の評価も高く、さらにフィラディスが取引をするレストラン様から絶大なる支持を得ているのです。(とても調子良く聞こえますが、意外と誇張しておりません。)
希少価値の高さ
しかしリシャール・マニエールのワインはもともと自身のワインを「ドメーヌ・リシャール・マニエール」のワインとして販売していませんでした。バルク売りという、貯蔵容器ごと販売するスタイルです。周囲の説得を受けてようやく自身の名を冠したワイン造りをはじめたので、意外と知名度は低いです。しかも生産量もあまり多くなく9割が自国内向けということで、その希少価値の高さから、日本のワイン好きの方でもまだまだ知名度は高くない状況です。Firadis WINE CLUBだと事あるごとにこのリシャール・マニエールを推しているので、まるで大量に在庫があるみたいに思われそうですが、、それは多くのワイン付きの方に知ってもらいたいということ、それから仕入れが頑張って希少価値の高い中で数を確保している、ということがあります。
新たなブルゴーニュの選び方
そんなわけで今回改めて提唱するのが、新たなブルゴーニュワインの選び方。それは特に優れた生産者のACブルゴーニュクラスを楽しむ、ということです。このリシャール・マニエールだとこのクラスで税込5,000円くらいと、この格にしては高いと感じるかもしれませんが、それはやはり生産者が特に優れているから。例えばこのリシャール・マニエールのヴォーヌ・ロマネ村名格付けだと、税込15,000円くらい。。なかなかここまでは手が届かない、でもACブルゴーニュならなんとかちょっと特別な時に手を出せる価格帯ではないでしょうか。
優れた生産者はこのクラスからしてレベルが違います。実際に多くの一流レストランでグラスワインとして当然のように採用されているワインです。いつもと一味違うブルゴーニュを楽しみたいと思ったら、ぜひ
いよいよテイスティング
≪こんな香り・味わいのワインです≫:
今回は2018年ヴィンテージとはがらりと変わった完全パワープレイスタイル。しかしそれでも彼ならではの「剛健なのにしなやかエレガント」の道は今回も全く外していません。ブルゴーニュワインの優美さ・旨味に惹かれている方も、まずは安心して楽しんで戴ければと思います。
赤ワインのタイプを大きく赤系・黒系で分類するならば、19年は完全に「ブラックサイド」に寄ったスタイル。まず立ち上がるのはカシス、ブラックチェリー、薔薇、菫に甘い生クリームの印象に少しだけ硬質さを与える鉛筆の芯のニュアンス、そしてその奥底には昆布出汁のいかにも旨味たっぷりなアロマが。これは飲み頃になるまでかなりの時間を要する暴れん坊の年かな・・・?と思わせつつも飲んでみればタンニンは既にこなれて柔らか、分厚い果実ヴォリュームがずっしりと乗っかってきたかと思うと、後半はスッと鼻に抜ける香りが漂って重たくならずに綺麗にフィニッシュ。力業と引きどころが絶妙なバランスで駆け引きしている印象でした。
時間経過とともに果実の厚みはさらに増し、タンニンは良く溶け込んだ印象に変わってまとまります。既に十分おいしく楽しめて、これからの熟成ポテンシャルも十分。複数本確保したらまずはすぐに1本楽しんで、残りは3-5年待って楽しみたいですね。
それではいよいよテイスティングです。店長のテイスティングコメントはこんな感じでした。
これまでもこのコラムでは店長のコメントを引用してきましたが、長さとか詳しさとか、明らかに気合が入っている気がします。偉そうにこんなことあまり言いたくはないですが、もはやあまり私の方から付け加えることはない、という感じです笑
それくらい説明し尽くされていると思います。
私は香りの要素として上記の黒系果実や薔薇に加えて、樽の要素(カカオや優しいバニラなど)をしっかりと重心として感じました。味わい香りの印象通り最初は力強く、時間をかけてじっくりと優しい味わいになっていく、というような印象です。ただしあくまで重心は低く、厳かで無駄がない。良い生産者のブルゴーニュには、いつもどことなく落ち着きと威厳を感じるんですが、今回もやはりそうでした。これがワインを楽しむ時間を本当に優雅にしてくれます。たまに背伸びして飲みたい、安心感のあるワインだと思いました。
以上。皆さんも是非お試しいただければ幸いにございます。
宜しければ下記の記事も是非ご覧ください。
Firadis WINE CLUBの新人、篠原がお送りいたしました。
-
前の記事
あ、せかんどおぴにおん 第18回「アーウィン・ウィンクラー グリューナー・フェルトリーナー」 2022.01.17
-
次の記事
あ、せかんどおぴにおん 第20回「エティエンヌ・ルフェーヴル ブリュット・ロゼ N.V.」 2022.03.14
コメントを書く