今月のおすすめワイン本【2022年4月】ワインについての書物を紹介する本(?)
- 2022.04.11
- 今月のおすすめワイン本
読むとワインを飲むのがもっと楽しくなる本をご紹介する『今月のおすすめワイン本』シリーズ。今回で40回目となりました!結構読んできたんですねえ…。
40冊目に選んだのは「ワインに関する書物を紹介する本」、を更に僕が紹介するという何だかメタ構造的になってくる1冊『ワインと書物でフランスめぐり』(図書刊行会 福田育弘さん著 税込定価1,980円)をご紹介したいと思います!
古典的名作からフランス文化・食文化を紐解く、読み応えのある1冊です。
今回選んだ1冊は、福田育弘さんによる『ワインと書物でフランスめぐり』。1章ごとにフランス国内のワイン産地各地を取り上げ、その地の食・ワインに関しての記述がある書物を取り上げながらその土地の歴史や文化を紐解いていく、という1冊です。
紹介されている書物は例えばモンテーニュの『エセ―』やゾラの『居酒屋』、モーパッサンやヴィクトル・ユゴーから『ガルガンチュア物語』といった古典的作品から、ジョルジュ・シムノンのメグレ警部シリーズ、ミシュランガイドのような実用書まで様々。それぞれの作品から引用された文章から、フランス人なりの食文化やワインに対する考え方などが分かりやすく紹介されています。
こういた作品名が出て来ると堅苦しくて難しい内容っぽいな…と敬遠してしまいそうですが、正直古典文学は全くもって苦手な僕でも何の問題も無く楽しく読み通せました。むしろ、作品の記述から興味を持つことが出来た本の方が多かったくらいです。安心して手を出して大丈夫ですよ。
僕がこの本の中に見つけた、味わい深い1節を引用します。
さて、今回の本の中で僕が一番爆笑した引用を一つご紹介したいと思います。冒頭にも出てきたモンテーニュの『エセ―』(昔は「随想録」でしたかね?)、「酩酊について」という一節。
モンテーニュさん…かなり極端でユニークな考え方を持つ酒飲みだったようですよ。
「酩酊は、私にはとくに野卑で野蛮な不徳のように思われる。しかし、他の不徳のすべてが直接に公共社会を害することに比べれば、悪質でも危険でもない」
確かに、その通りです…が、場合によってはけっこう人に迷惑をかけることがある気もしますよ。
そ
してこの後モンテーニュはこんな更にとんでもない主張をしています。原二郎さんの翻訳文、そのまま掲載致しますね。
「健康を害するのを恐れて、二度の食事に控えめに飲むというのでは、神の恵みをあまりにも制限することになる。飲酒には、もっと多くの時間と勤勉を費やさねばならない。
昔の人たちはこの仕事に夜を徹し、時には日中にも及んだ。だから我々も不断に酒を飲む習慣をもっと広範で強固なものにしなければならない」
…大丈夫なんでしょうかこの人は 笑
岩波文庫『エセ―』の表紙に描かれたモンテーニュさんの肖像画を見ると非常に高尚な内容が記されている書物にしか見えませんが、こんなどうしようもないことを書いているとは本当に驚きです。
それにしてもこんなことを書かれてしまったら、素直な僕は「仕事」をもっともっと頑張らねばいけない、と思ってしまいます。毎晩1本のワインテイスティングを、昼1本に夜1本、いや朝にも1本でしょうか。
開高健さんの本に書いてありましたが、民謡「会津磐梯山」の小原庄助さんはお酒についてこんなことを言っています。
「朝によし昼なおよし晩によし 飯前飯後その間もよし」
今日からこれをフィラディスワインクラブのキャッチコピーにしましょうか。何とも味わい深く、哲学的ないい言葉です。こういう酒飲みの戯言を読みながら飲むワインは実に美味しいんですよね・・・さて、僕もコラムを書くのはこのくらいにして早速「お仕事、お仕事」!
*フィラディスは決して大量飲酒を推奨しておりません。お酒は適量でおいしく楽しみましょう!
*本日ご紹介した書籍は、Amazon他にて新品・古書等で購入できます!
『ワインと書物でフランスめぐり』(図書刊行会 福田育弘さん著 税込定価1,980円)
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『エセー』 6冊セット (岩波文庫 モンテーニュ著, 原 二郎 翻訳)
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