ワインペアリング奮闘記 第23回アーウィン・ウィンクラー グリューナー・フェルトリーナー
- 2019.12.27
- ワインペアリング奮闘記
- アーウィン・ウィンクラー, オーストリア, グリューナー・フェルトリーナー, ペアリング, マリアージュ, レシピ, 和食, 白ワイン
『お料理パパのワインペアリング奮闘記』第23回
食材の良さを引き出す名脇役的白ワイン
このコーナーは毎回課題のワインに合わせたお料理を実際に作ってレポートするコラムです。
コラムの性質上下記について、ご容赦いただいております。
■失敗してもやり直しできませんので、その時は何がダメだったのか考察する回とさせて下さい。
■うちの子に乳製品アレルギーがあるため、チーズやクリーム、ミルクなど乳製品が使えません。
今回のお題は『アーウィン・ウィンクラー グリューナー・フェルトリーナー』です。
今回はオーストリアの白ワイン。グリューナー・フェルトリーナーはオーストリア・ワインを代表する白品種です。
グラスに注ぐと透明感のある、緑がかった淡いイエロー。
グラスの底には細かい泡が発生しており、やや微発泡している様子が伺えます。
香りをとってみると、トップからフレッシュな洋ナシ、そしてシトラス、僅かにハーブ。
口に含むと、香りからも感じた瑞々しく果実が流れ込み、アロマが広がっていきます。
クリアーで心地よい果実味の中に、程よいミネラルの下支えを感じます。
アフターには、果皮を思わせるほんのりとした苦みが残りました。
冷涼感あり、バランス感に優れた白ワインですね。なんとも優美な印象です!
併せるお料理ですが、少し悩みました。
この白ワイン、とても綺麗にバランスが取れているがゆえに際立って主張する要素が感じられず、
これだ、という食材や調理法がすぐには頭に浮かばなかったのです。
少し悩んだ末に、たどり着いたのは出汁(だし)です。
味つけを最小限に、出汁の優しい風味の中で、素材そのものの味わいを引き出す。
そんなお料理にこそ、このワインは寄り添ってくれるのではないかな?と思いました。
そこで今回は、お魚と野菜を蒸して、とろみをつけた出汁をかける『蒸しあんかけ』にしました!
作り方:
昆布と鰹節で出汁をとり、塩で味を調え、仕上げに香り付け程度のお醤油を加えます。
ここに片栗粉を溶いて緩めにとろみをつけておきます。
お魚に選んだのはヒレグロカレイ。つけあわせはツルムラサキ、サツマイモ、長ネギ、銀杏としました。
材料をせいろ蒸しにして、蒸し揚がった素材に出汁を回しかけ、香り付けに小さく切ったみかんの皮をトッピングして、完成です。
実食:
とろりと澄んだ出汁の中に、静かに横たわるカレイ。優しく身をほぐしていただきます。
淡白なお魚の白身を、出汁の旨味が包み込み、カレイの皮の部分のほろ苦さがあいまって慈味深いですね。
ここに冷えたアーウィン・ウィンクラー グリューナー・フェルトリーナーをあわせます。
おお、なるほど・・・これは、今までにあまり体験したことのないタイプの組み合わせですね!
出汁に、白ワインの甘酸っぱさ、そしてミネラルが加わることで、すっーと双方の余韻が伸びていくように感じます。
カレイの素朴で繊細な風味も失われておらず、むしろ素材が持つ様々な要素を、白ワインが引き出してくれるように感じました。
単体で飲むとすっきりフルーティな白ワインなのに、温かい出汁とあわせるとまるで冷酒をいただいているかのように、すんなりと和食に馴染んでしまうことに少し驚きました!
つけあわせの野菜とも合わせてみましたが、各々が全く違う素材なのに、それぞれの良さにちゃんと寄り添ってくれます。
特に相性の良さを感じたのは、さつまいも。
お芋の自然な甘みに、グリューナー・フェルトリーナーの酸が加わって、さらに出汁が塩味を補うことで、お芋の甘さが引き立ちます。
優しい甘酸っぱさの中で、ほどけるように崩れていくお芋の食感は素晴らしいものでした。
また自然な苦みを持つ銀杏も、その独特の風味が際立つように感じ、後味の苦みの部分に共通点が感じられ、相乗感が得られました。
いかがでしたか?
今回は少し悩んだ末のお料理でしたが、アーウィン・ウィンクラー グリューナー・フェルトリーナーは、
思ったよりずっと組み合わせの幅が広そうです。
お料理の味付けをやや控えめにして、素材に併せるイメージでペアリングすれば、特に蒸し物でなくても良いと思います。
様々な食材に対して引き立て効果が楽しめる、まさに名脇役ですね!
そして和食との相性が良さそうな所は、日本人としては嬉しい限りです。
皆さんのワイン・バリエーションの中にも、是非加えてみて下さい。
それではご意見、ご感想お待ちしております。次回もお楽しみに。
『アーウィン・ウィンクラー グリューナー・フェルトリーナー リード・フォルダールンベルク2017年』
(オーストリア / クレムスタル地区
ブドウ品種:グリューナー・フェルトリーナー種100% /オーガニック栽培 ステンレスタンク発酵・熟成)
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