ワインボキャブラ天国【第83回】「腐葉土」英:leaf mold/humus soilなど 仏:terreau/humusなど
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「腐葉土」
英:leaf mold/humus soilなど
仏:terreau/humusなど (男性名詞:発音は「テリュー/ウミュス」)
「腐葉土」は、枯れて落ちた葉や枝が微生物や昆虫などによって分解され、土状になったもの。
ガーデニングが趣味という方や、お子さんとカブトムシを買ったことがある方でしたらその状態や香りについてもすぐにイメージできると思います。雨の降った翌日に森に入ると漂ってくる、ちょっと湿った感じの香り・・・腐葉土は微生物により発酵した土ですから、ワインとある意味同じジャンル。そう考えると、ワインに土の香りがあるのも納得です。
さて、この香りが見つけられるワインを大きく括りますとまずは「良好な熟成を経た赤ワイン」です。例えばボルドーのポムロールやサン・テミリオン地区などメルロ種を主体としたワインが良い環境で長い時間かけて熟成を遂げた際に、湿った土の香りを帯びてきます。ワインの色合いにオレンジ色・マホガニー的な色調を見つけたら、香りを取る前に腐葉土っぽい香りがするかな・・・と待ち構えてみてください。
そして「腐葉土」の前段階として、ソムリエが使う独特な表現の例としても有名な「森の下草=Sous bois(スー・ボワ)」の香りがあります。言葉の意味としては「森の高い樹木の下に広く生えている背の低い植物とその場所の地面が、あまり日が当たらずいつも少し湿った状態でいるために放つ香り」で、こちらは土の香りに少しの青さを含んでいると定義すればよいと思います。こちらは腐葉土よりも熟成期間が少し短く、まだ若さはあるけどちょっと枯れた感じが出てきたかな…くらいの時に使うのがふさわしいですかね。
その他、土や木、キノコなどを使った表現は共通して熟成(樽熟成、長期の熟成)に由来する香り、と考えて大丈夫です。(ここの表現の広げ方については、また別の回でたっぷりと書かせて戴きます。)これらの香りを実際に感じてみたい方は、Firadis WINE CLUBでちょこちょこ仕入れている10年以上熟成したお手頃ボルドーを飲んでみると良いですよ。大体、土や木的なニュアンスを何らかは含んでいるはずです。
なお、「腐植土」「腐食土」など類似の呼び方もいろいろあるようですので調べてみました。
「腐葉土」:厳密には土ではなくあくまでも落ち葉や枝が微生物により分解されたもの
「腐植土」:腐葉土が他の土と混ざって土壌の層として存在しているもの
・・・などの分け方もあるようですが、色々調べても特に明確な違いは無いようです。昔は腐植土と呼んでいたが最近は腐葉土になった、とか・・・どなたか専門家の方がいたら教えてください!
それでは今回はこのへんで。
今日、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!
*今回「腐葉土」についても色々調べましたがこちらの「ガーデンストーリー」さんのページが一番充実していて役に立ちました。
↓↓↓
https://gardenstory.jp/gardening/53486
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