ワインボキャブラ天国【第96回】「琥珀色の」英:amber 仏:ambre
- 2021.09.18
- ワインボキャブラ天国
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「琥珀色の」
英:amber
仏:ambre (形容詞 発音は「アーンブル」)
琥珀色は、透明感がありやや褐色を帯びた黄色の色合い。英語の「アンバー」という言葉も今は一般的ですね。
「琥珀」は植物の受益に含まれていた」樹脂成分が化石となった鉱物で、宝石としても扱われています。樹液が長年かけて固まって宝石になる・・・なんて太古のロマン、という感じです。
ちなみに琥珀の「琥」の字に「トラ」が入っているのは、昔中国では琥珀は虎が死後に石化したものと信じられていたからだそうです。こちらは今回コラムを書く際に琥珀について調べている中で初めて知りました。
それでは「琥珀色の色調」を持つワインはどんなものか・・というと、黄色系の色調ですからやはり白ワインが中心となってきます。ここで以前一度ご紹介した白ワインの黄色の色合いを淡いものから濃いものの順で段階的に分類(大まかですか)を再度書いておきましょう。
・緑がかった黄色
・レモンイエロー(明るい黄色)
・蜂蜜色
・黄金色
・麦わら色
・琥珀色(オレンジ・褐色が入った黄色)⇒つまり、一番濃い黄色、です
琥珀色は黄色の中でも最も濃い色合いの表現で、褐色を帯びていることからも熟成を経た白ワインを表現する際に使うのが適した表現であると思います。フレッシュで瑞々しい果実味のあるワインに琥珀色の色調・・・というのはちょっとそぐわないですよね。
ワインは収穫年から時を経る毎にポリフェノール成分が酸化・分解しつつ手を繋いでいく(重合、という現象です)ことで少しずつ色合いが濃くなり、次第に褐色を帯びていきます。麦わら色~琥珀色、という段階がここになります。
同様に赤ワインでも非常に長い時間熟成し色素が退行していったものに琥珀色的なニュアンスが見つかることもありますが、オレンジ色に近いので「テラコッタ」等の表現の方が適切かもしれませんね。
琥珀色という表現は、例えばウイスキーや日本酒の古酒など他のお酒でも使われる言葉ですが、いずれも長い時間を経たことで深みを帯びた色合いを表現する言葉。長い時間に想いを馳せる様な意味合いで使っていくと、対象となるワインの価値をより高く伝えられるのではないでしょうか。
それでは今回はこのくらいで・・・。
今日、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!
*以下は類似した表現についてのコラム。よろしければこちらも併せて読んでみてくださいね。
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