ワインボキャブラ天国【第124回】「うどん粉病」 英:powdery mildew 仏:oidium
- 2022.04.24
- ワインボキャブラ天国
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「うどん粉病」
英:powdery mildew 仏:oidium(男性名詞/iは頭に点2つ 発音は「オイディウム」)
目次
『うどん粉病』とは?
今回取り上げる言葉は『うどん粉病』。ワインの原料となるブドウを栽培している段階で発生する植物の病害を表す言葉です。
この病害が発生すると葉や茎、芽などに粉を吹いたような白い斑点模様が発生し、うどん粉をまぶしたように見えることから名前が付けられました。
ちなみにこの病害はブドウだけが罹るわけでは無く(家庭菜園などをやっていらっしゃる方は良くご存じかと思いますが)、例えばトマトやきゅうりなどの野菜、苺など果物、薔薇などの生花にも発生します。
ブドウ樹が『うどん粉病』にかかってしまう理由
『うどん粉病』は、植物の内部で起こっている病気では無く、実は外部からカビが付着するために発生するものです。ブドウやその他の作物が栽培される畑の土には「糸状菌」というカビが生息しており、これが風などで飛ばされて葉や茎に付着することろから病気が広がっていきます。
このカビが活動する気温は20~25度くらいが最も元気に活動する用ですが、基本的にはブドウの栽培期間中、春から収穫時期までを通じて発生する可能性がある病害です。
特に乾燥した気候条件下で発生がしやすく、またブドウにとっては好条件のひとつである昼夜の寒暖差もこのカビの生育には適しているようで、今年は良い作柄になりそうだ・・・と期待していると気付いたら畑にうどん粉病が広がっていた、などというケースもあるようです。
『うどん粉病』の影響と、発生を防止する方法
でも、ブドウの内部からかかっている病気じゃくてカビが付着しただけだったら大した被害は無いのでは…?と思うかもしれませんが、実はこの『うどん粉病』は植物に甚大な被害をもたらします。
葉の表面にカビが繁殖して覆われてしまうと、植物の生育の要である「光合成」が行えなくなり、放置すればブドウはそのまま枯れてしまいます。予防法としてはお酢や重曹の溶液を葉に散布する、などの方法があり、葉っぱの1枚2枚にカビが付着した初期段階に発見し被害のあった葉を摘み取れば、その段階で拡大を抑止することが出来ます。
ただし、繁殖のスピードが非常に速いため、気付かなければ一気に拡大して壊滅的被害をもたらす可能性も無くはありません。足しげく畑に通い、ブドウの状態を常に細かくモニタリングしている生産者は早くに病害に気付き、対策を打つことが出来るわけですね。
それをしない生産者は、カビが発生しないよう畑に薬剤を大量に散布しカビを殺し…同時に畑の生態系まで殺してしまう、と。
ある意味、こういった病気の発生する余地がある自然な環境条件下にあるということは、ブドウの生育にとっても良いことなのではと思います(農家の方々は本当に大変な思いをされていますが・・・)。
それでは今回はこのへんにしておきましょう。
今日も、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!
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