ワインボキャブラ天国【第134回】「ポリフェノール」 英:polyphenol 仏:polyphenol
- 2022.07.10
- ワインボキャブラ天国
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「ポリフェノール」
英:polyphenol 仏:polyphenol (男性名詞:eに右上がりアクセント 発音は「ポリフェノル」)
目次
『ポリフェノール』が話題になった頃のこと
今回取り上げたワインの言葉は『ポリフェノール』。「赤ワインはポリフェノールが豊富に含まれているので健康に良い」という話を聞いたことのある方は多いのではないかと思います。
今から四半世紀ほども前のことでしょうか、いわゆる「フレンチ・パラドックス」=フランス人が飽和脂肪酸の多い肉料理をたくさん食べ、喫煙率も高いのに心臓病による死亡率が低いのは、日常的に赤ワインを飲みポリフェノールを摂取しているからだ・・・という説が話題になりました。
その頃人気だったあるTV番組でこの話題が取り上げられたところ、日本中の酒屋さん・小売店から赤ワインの在庫が瞬時に消えて無くなりました。僕は当時ビール会社の営業部門に勤務していたのですが、酒販店さんや酒類卸さんから「赤ワインなら産地も銘柄も何でも良いから、とにかくあるだけ納品して!」という電話がひっきりなしにかかってきたことを思い出します。
それくらいのブームがしばらく続き、これが「第6次ワインブーム」の引き金になりました。
「私の血はカベルネ・ソーヴィニヨンが流れてて・・・」という名言が生まれたのもこの頃でしたね(若い人は何のことやらさっぱりでしょうが・・・Youtubeなどに動画がありますので検索してみてください)
『ポリフェノール』とはどんなもので、何に含まれるのか
さて、この『ポリフェノール』ですが、実は植物が生成する様々な抗酸化物質の総称です。ポリフェノールはほとんどの植物に何らかの形で含まれていまして、色素をはじめ苦味、渋味を形成する成分です。お花の色合いもポリフェノールによるものですし、果実や植物、木の実などに含まれているものですと例えば・・・
・アントシアニン(赤ワインのポリフェノールの成分です。その他ブルーベリーなどにも含まれます)
・カカオポリフェノール(ココア、チョコレート)
・コーヒーポリフェノール(コーヒー)
・イソフラボン(大豆)
・カテキン(緑茶)
・ルチン(玉ねぎ、蕎麦、柑橘系果実)
・ショウガオール(生姜)
どうでしょう、皆さんが耳にしたことのある「一時期流行った健康成分」の殆どがポリフェノールであることが分かりますよね 笑
ちなみに前述した第6次ワインブームの時には赤ワインに玉ねぎを漬け込んで飲む、というのが流行りまして・・・今では信じられないでしょうが、商品としても発売されていたことがあります。
『ポリフェノール』の効果と、赤ワインの凄さ
では『ポリフェノール』が具体的にどんな効果をもたらすかと言いますと・・・簡単に言うとポリフェノールは強い抗酸化作用をもっているため、脂質や悪玉コレステロール(LDL)の酸化を防ぎ、それが動脈硬化を予防することです。
また、かつてコーヒーの美容効果などが話題になったこともありましたが、その時は確かポリフェノールの抗酸化作用が紫外線によって発生してしまう活性酸素を除去してくれるためシミの予防になる、ということでした。これは赤ワインでも同様でしょうから、適度な赤ワインの摂取は美容にも効果があるのでは、と考えられますよね。
ちなみに先立って取り上げたポリフェノールを含む様々な食品についてそれぞれの含有量を見てみますと、赤ワインは100gあたりで230mg、2位のコーヒーが200mg、紅茶で115gくらいと、やはり断トツに高い数値です。
勿論、赤ワインでも品種・産地によって含有量が大きく異なるとは思います。基本的には果皮に由来する成分ですので、皮が厚いカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロなどの品種を使用したワインにより多く含まれるはず。
とはいえ、我々ワイン愛好家は別にポリフェノールを摂取するためにワインを飲んでいるわけではありませんから、適量をおいしく飲んでついでに健康効果、くらいのスタンスでいたいですよね。
最近は「ポリフェノール含有量○倍!」なんて書いてあるワインもありますが、そうまでして摂取したいならお茶を飲んだ方が体にも優しく健康に良いと思いますし。
ちなみに、醤油の含有量が赤ワインとほぼ同等だそうですが、さすがに醤油は飲む訳にいきませんよね。
それでは今回はこのへんにしておきましょう。今日も、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!
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