ワインボキャブラ天国【第135回】「新芽(若芽)」 英:(new/green) shoot 仏:pousse
- 2022.07.24
- ワインボキャブラ天国
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「新芽(若芽)」
英:(new/green) shoot
仏:pousse(女性名詞 発音は「プゥス」)
ブドウの『新芽』とは?
今回取り上げる言葉は『新芽(若芽、とも呼びます)』。
ブドウに限った言葉では無いので「ワイン用語」とはちょっと違いますが、ワイン造りの1年を知る上では「そのヴィンテージの始まり」を意味する大切な言葉なので取り上げてみました。
以前このコラムシリーズ第113回『開花』の回で書いた内容の繰り返しとなりますが、ブドウは1本の樹が長年にわたって毎年果実を実らせる多年生作物です。春に新芽が出るとそこから蔓が伸び初夏頃に開花、その後ブドウ果実を実らせた後で冬には一旦枯れて葉を落とす。このサイクルを繰り返し、長いものでは樹齢100年以上たっても実を付けることが出来る非常に長生きの植物です。
上の写真は、フランス ロワール地方ミュスカデの生産者『ドメーヌ・ダヴィッド』が提供してくれた新芽の画像。これが撮影されたのは2018年4月13日ということでした(ちょっと古い画像ですみません)。
ブドウは気温では無く、土の温度が一定以上に上がってくると冬眠から目覚めます。大体10℃くらいと言われていまして、根が温度上昇を感じると活動を始め、樹液を地上部に上げ始めて発芽を促す、という流れです。
土の温度によって発芽をするため、地域や品種・その年の気候によっても新芽が芽吹く時期には変動があり、例えばドイツなど欧州でも北に位置する国では5月以降に芽吹きを迎える地域もあります。
無事に『新芽』が出ることが、生産者にとっては大きな喜びです
そして上の画像は、同じく『ドメーヌ・ダヴィッド』が芽吹きの時期の畑を少し引きのアングルで撮影してくれたものです。小さな黄色い花が畑に咲き乱れているのが見えますよね。ワイン産地のブドウ畑は春を迎えると、このように生命の息吹を感じさせる風景に変わっていきます。
この画像を見ていて思い出しました。フランス ブルゴーニュ地方ヴォルネイ村に『ラ・プス・ドール』という有名な生産者がいます。フィラディスワインクラブでも6-7種ほどだけ取り扱ったことがありますので、見かけた方もいらっしゃるかと思います。
この『プス』というのはコラム最初のところで『新芽』のフランス語訳として紹介した言葉。そして『d’Or(ドール)』は『金の』を意味しますから、つまりこの生産者は『黄金の新芽』という名前なんですね。
このコラムシリーズ2回前、『霜よけストーブ』についてのご紹介をした時にも書いたように、ブドウ栽培農家が無事に芽吹きを迎えるまでには冬の間に行う剪定などの地道な作業、霜害からブドウ樹を守るための取り組みなど、様々な困難を乗り越える必要があります。そしてそれには、予測も出来ない自然災害に遭わないよう、ただひたすらに祈ることも含まれています。
そんな季節を通り過ぎて迎える、新芽の芽吹き。生産者には間違いなく「黄金色」に見えますよね。そんな気持ちを名前として付けるとは、なんて粋なワイナリー!!
それでは今回はこのへんにしておきましょう。今日も、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!
『ラ・プス・ドール』でこれまでに取り扱ったワインの一覧はこちらです。
ごく稀にしか入荷しませんので、時々チェックしてみてください!
↓↓↓
https://firadis.net/ラ・プス・ドール
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