あ、せかんどおぴにおん 第18回「アーウィン・ウィンクラー グリューナー・フェルトリーナー」
『あ、せかんどおぴにおん』第18回
「アーウィン・ウィンクラー グリューナー・フェルトリーナー」
目次
このコラムについて(ここは毎回同じことが書いてあります。)
あなたが五感で捉える感覚と他人が感じる感覚は同じとは限りません。もしかすると、同じ言葉で表現される感覚でも人によって感じている実際の感覚は異なるのかもしれません。逆にたとえ同じ感覚を得ていたとしても、人によって別の言葉で表現することはよくあることです。
疑心暗鬼になりながらも、”自分はどう感じるか”、ワインをテイスティングする際の実際の感覚に最も適した言葉を必死に探す。相手にわかってもらえるようにワインの状態や魅力を伝えることが目的だとしても、どうしてもその人の個性が出てしまう。それもまた、ワインテイスティングの醍醐味であると思います。
このコラムは現在夜メルマガと『ワインと美術』のコラムを担当させていただいている、Firadis WINE CLUBの新人、篠原が当店のワインを飲み尽くしていくコラムです。
しかしただテイスティングをしていくだけでは面白くありません。そこで、すでにページに掲載されている店長による商品説明やテイスティングコメントを引用しながら、自分ならどう思うか。もう一つの意見を記していきます。当然店長に同意する場合も多いでしょうし、異議を申し立てることもあるでしょう。(あまりにも異議を申し立てるとFiradis WINE CLUBの信頼が揺らぎそうですが。。)また同じことを感じていたとしても、稚拙ながら別の表現で述べる場合もあります。そして時には商品ページの内容について、店長に質問することもあるかもしれません。
このコラムを読んでいただく物好きな方には、ぜひ同じワインを手元に置きながら、”自分はどう感じるか”を一緒に探ってほしいと思います。タイトルに「あ、」と不定冠詞「a」を付けたのはあくまで一つの意見にすぎないということです。皆様の意見についてはもしよろしければ、商品詳細ページのレビューにぜひご投稿ください。
それでは早速商品ページを見ていきましょう!
16回目にとりあげるのは、「アーウィン・ウィンクラー グリューナー・フェルトリーナー」です。
グリューナー・フェルトリーナーはマリアージュ実験の優等生!
この品種は、かなりマイナーな品種です。オーストリアを中心に栽培される白ブドウ。そして何よりも、この品種は優等生なのです。
長いので中身は見ない方がいいと思いますが、このラインナップをご覧ください。
【フィラディス実験シリーズ第20弾】天ぷらとワインのマリアージュは、初体験の“静”のマリアージュでした…!!(広報 浅原 有里)
フィラディスはワインを卸しているレストランや酒屋さんのために時折、このようなマリアージュ実験を行っています。どのワインがその料理に合うのか、プロが選ぶ手助けをするための実験です。なので記事はかなり高度なのですが、結局重要なのは以下の一点です。
「寿司、天ぷら、焼き鳥、どれにおいても、グリューナー・フェルトリーナーという品種は非常に良い相性を示した。」
グリューナー・フェルトリーナーはオーストリアを代表する土着ブドウ品種で、現地では誰もが毎日楽しむような大人気のワインですが、日本ではオーストリアワイン自体の認知度・人気は決して高くは無いので、以前は殆ど輸入されていませんでした。
ですが近年、グリューナーの状況・評価は劇的に変わりつつあります。都内の星付きトップレストランが「ペアリングコース」などで次々にグリューナーを採用するようになってきました。私共フィラディスは以上の実験結果から裏付けをもって、マリアージュ、特に和食のマリアージュにおいてこの品種に絶大なる信頼を置いています。
どうして合うのか。
どうして天ぷら、焼き鳥、寿司といった和食と素晴らしい相性を見せるのか。小難しいので商品ページには書かれていませんが、触れておきましょう。
オーストリアのグリューナー・フェルトリーナーの味わいの特徴は、冷涼で高貴、口のふわっと広がる柔らかなミネラル、しっかりと旨みが出て染み入る美味しさです。これらの特徴がぴったりと繊細な味わいの和食にハマります、と言いたいところですが、これだけではないのです。実は特徴の一つであるミネラル感があまりにも強いと、料理の繊細さを殺してしまうことになりかねません。
そこで選ぶのが土壌です。
このアーウィン・ウィンクラーは地図上のKremstalというところに畑を持っています。このクレムスタルはロス土壌という、黄土の土壌が広がっています。ロス土壌は保水性が高く、グリューナーに柔らかな果実と軽やかで華やかなミネラル感を与えます。これによって、合わせる素材に染み込んでじわじわと旨みや美味しさを引き出してくれるのです。
これらの特徴が、マリアージュ実験における下記のような結果をもたらしたのです。
天ぷらではあなごやきす、山菜、アスパラなどに最もよく合いました。
焼き鳥ではささみやももなど塩で食べる部位に特に合いました。
そして寿司はワサビとの相性抜群の上、中トロ、アジなど脂が乗ったネタとの組み合わせが極上。
いずれもワインのミネラル感が料理の塩味と同調するとともに、ワインも料理も旨味や甘味を増幅し、美味しさの余韻を長引かせ、単体で味わうよりもさらに満足感が高まりました。
と、表現が上品すぎて若干怪しい気もしますが、笑。
だからこそ、いよいよテイスティングです。
いよいよテイスティング
≪こんな香り・味わいのワインです≫:
このワインの印象、一言で語るならば「みかん」ですね。口に含んだ瞬間、早生のみかんの甘酸っぱい感じと、あの甘い香りが一気に広がりました!さて、このワインは香りの段階からとにかく柑橘類が次々に浮かびます。ライム、レモン、グレープフルーツ・・・そして更に丁寧にアロマを取っていくと、そこに白桃やパッションフルーツ、白コショウの芳しい香りを見つけるはずです。
口に含むと、フレッシュ&フルーティ(陳腐な言葉ですが)な味わいが勢いよく、元気に広がる感じ。アフターにも、柑橘類のリフレッシュ感が長く残っていました。
いよいよテイスティングです。店長のテイスティングコメントはこんな感じでした。
私が改めてテイスティングして感じた印象は、このワインの絶妙さです。
店長がフレッシュ&フルーティーと書いているのですが、そのバランスが絶妙。すっきりと爽やかなのですが、滋味深さも持っている。しかもその味わいが強すぎず、味覚にじっくりと染みていきます。ここにいわゆる食材の旨味、塩味などが乗っかることで綺麗にまとまるというような、そんな印象です。
香りはわかりやすくフルーティー、しかも多彩な香りで、清々しい気持ちにさせてくれます。レモン、ライム、リンゴ。そして香りをとればとるほど、熟れたような果実も感じます。店長が書いているように、パッションフルーツや、私はバナナのような印象もさえも感じました。
そして味わい。この香りの印象通りの柑橘の清々しさと、その清々しさがずっと続いていく余韻の長さ、そして絶妙なドライ感。とろりとしすぎず、酸が高すぎず、じっくりと舌に染みていく。
上手いことを言うとすれば、、というか実際にそう感じたのですが、このワインは下地を作るようなワインだと思います。一旦舌を心地よく、それでいてフラットな状態にすることで、食材を受け止める下地を作るという感じですかね。あるいは舌地か笑
店長はポン酢と合わせる焼きシイタケや豚しゃぶとのマリアージュをお薦めしていました。私はちょっと贅沢に牛タン、これをわさびで食べるというところに合わせるのが、至福です。
その他さまざまな和食に合わせてみてください。日常の和食に合うワインというワイン好き永遠の課題の、1つの答えが見つかると思います
以上。
宜しければ下記の記事も是非ご覧ください。
Firadis WINE CLUBの新人、篠原がお送りいたしました。
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