あ、せかんどおぴにおん 第30回「ファルケンシュタイン リースリング」
『あ、せかんどおぴにおん』第30回
「ファルケンシュタイン リースリング」
目次
このコラムについて(ここは毎回同じことが書いてあります。)
あなたが五感で捉える感覚と他人が感じる感覚は同じとは限りません。もしかすると、同じ言葉で表現される感覚でも人によって感じている実際の感覚は異なるのかもしれません。逆にたとえ同じ感覚を得ていたとしても、人によって別の言葉で表現することはよくあることです。
疑心暗鬼になりながらも、”自分はどう感じるか”、ワインをテイスティングする際の実際の感覚に最も適した言葉を必死に探す。相手にわかってもらえるようにワインの状態や魅力を伝えることが目的だとしても、どうしてもその人の個性が出てしまう。それもまた、ワインテイスティングの醍醐味であると思います。
このコラムは現在夜メルマガと『ワインと美術』のコラムを担当させていただいている、20代のFiradis WINE CLUBのスタッフ、篠原が当店のワインを飲み尽くしていくコラムです。
しかしただテイスティングをしていくだけでは面白くありません。そこで、すでにページに掲載されている店長による商品説明やテイスティングコメントを引用しながら、自分ならどう思うか。もう一つの意見を記していきます。当然店長に同意する場合も多いでしょうし、異議を申し立てることもあるでしょう。(あまりにも異議を申し立てるとFiradis WINE CLUBの信頼が揺らぎそうですが。。)また同じことを感じていたとしても、稚拙ながら別の表現で述べる場合もあります。そして時には商品ページの内容について、店長に質問することもあるかもしれません。
このコラムを読んでいただく物好きな方には、ぜひ同じワインを手元に置きながら、”自分はどう感じるか”を一緒に探ってほしいと思います。タイトルに「あ、」と不定冠詞「a」を付けたのはあくまで一つの意見にすぎないということです。皆様の意見についてはもしよろしければ、商品詳細ページのレビューにぜひご投稿ください。
それでは早速商品ページを見ていきましょう!
30回目にとりあげるのは、イタリアのリースリングといえばこれ。「ファルケンシュタイン リースリング」です。
プロ中のプロに聞く
さて、イタリアワインというと、少し難しいイメージがあり、なかなかイタリアワインに手を出せない方も多いようです。
そんな時はプロ中のプロを頼りましょう。
実は、あまり知られていないのが残念なんですが、、フィラディスワインクラブには「人気ソムリエのおすすめ」ページがあります。
フィラディスは多くのレストランにワインを卸しているワインの専門商社です。そんなフィラディスのワインを実際にお店で使用している一流ソムリエが、それぞれおすすめのワインをコメント付きで紹介しているページです。これもある種のセカンドオピニオンということで、よりそれぞれのワインの魅力を多角的に知ることができます。
そしてその中でもこの永瀬ソムリエが、イタリアワインのプロ中のプロなのです。「イタリアワインなら、この人に訊け!」って書いてあります。
「ヴィーノ デッラ パーチェ」 「ラ ソスタ」といったイタリアンの名店でソムリエをつとめ、現在は独立して会社を立ち上げ、イタリアワインの普及に尽力されています。
より専門性の高いイタリアワイン、よりハードルの高いイタリアワインだからこそ、こういったプロのおすすめをぜひ参考にしてみてください。
そしてこの永瀬ソムリエもおすすめしているのが、今日取り上げる、ファルケンシュタインのリースリングなのです。
このワインを飲まずして、イタリアのリースリングは語れない
イタリアで生産されるリースリングのワインを語る時に、必ずこの生産者の名前がでるでしょう。豊潤な香りが充満し、ミネラル感豊かでまろやかなテクスチャーが口いっぱいに広がります。味わいは酸の効いた辛口で、熟成と共にオイリーな蜜のトーンが生まれます。現在でも若々しさを感じる長期熟成タイプのワインで、白身肉や脂ののった青魚を焼いた料理とも合わせる事が出来ます。
イタリアのリースリングといえばこのファルケンシュタインである、とプロ中のプロも太鼓判を押すのが、今回取り上げるワインなのです。
快挙を成し遂げたファルケンシュタイン
専門誌等では「イタリアのリースリング生産者としてはずば抜けた存在」と評される、アルトアディジェの名匠『ファルケンシュタイン』。彼の造るリースリングは決して、誰にでも飲みやすいワインではありませんが、病みつきになるワインであることは間違いがありません。イタリアワインで、辛口白ワインで、そしてリースリングで、新たな世界を見てみたいと思ったら、この機会にぜひチャレンジを!
商品ページではこのように紹介されています。「誰にでも飲みやすいワインではありません」というところが気になりますが、それはテイスティングで確かめましょう。兎にも角にもこのワインは、「ずば抜けた存在」と評されるワインだそうです。
もう少し詳しくみてみましょう。以下は生産者情報からの引用です。
リースリングでトレビッキエーリ11年連続獲得という快挙を成し遂げているアルト・アディジェの生産者。自然なアプローチによって品種の個性を活かすことに徹することで、驚くほどピュアでクリアな味わいを実現。
トレビッキエーリとはイタリアを代表する専門誌、ガンベロロッソ誌の三つ星=最高賞のこと。最高賞を11年連続で獲得という、イタリアのリースリング界最強とも言っていいほどのワインなのです。ちなみに、アルト・アディジェはイタリア最北、北東部のオーストリアに面したトレンティーノ=アルト・アディジェ州の一地域。この辺りは一時ドイツ領になったこともあり、ドイツ語を話す人も多い地域です。現地に行くと標識にドイツ語も書いてあったりします。これがこの地域でリースリングが普及した理由の一つでもあります。
驚くほどピュアな味わいとは本当なのか。百聞は一飲に如かず。とりあえず、テイスティングです。
いよいよテイスティング
≪こんな香り・味わいのワインです≫:
檸檬と林檎のはちみつ漬け…という感じでしょうか。最初はリースリング典型のペトロ―ル香を強めに感じるかもしれませんが、軽いスワリングですぐにフルーツの甘い印象が前に出てきますからご心配は不要です。アカシアやリンデンの花の芳しい香りが重なり、実に良い香り!時間経過とともに檸檬のフレッシュ感が増加、花の香りにセージやミントの爽やかさが加わってアロマティックさに拍車がかかります。フルーツの甘味と共に心地よい酸と苦味が広がり、全体のバランスはまさに理想的。
2時間ほどかけてゆっくり飲んでいると蜜っぽさがどんどん増していきとてもリッチなまとまりに。さすがイタリアNO.1リースリング、この品種が好きな方だったら絶対に試すべき1本だと自信を持って推すことが出来ます。
店長のコメントはこんな感じです。
私が感じた印象は、きれいな果実が長く続くリースリングです。
まず香りから。コメントにもあるように時間経過とともに柑橘の綺麗な香りが高まっていきます。私はグレープフルーツやオレンジのような香りを感じました。味わいも同じく時間経過とともに果実感がたっぷりしてきます。
きれいな果実が長く続く、というのはどういうことか。
私は例えばカール・ローウェンのリースリングのように、わかりやすく蜜っぽいリースリングが好きなのですが、このワインは蜜っぽさというよりもピュアな印象が強いのです。落ち着いた、均整の取れた果実感。果実のボリュームはありつつも、見事な酸とのバランスによるものなのでしょう。
そしてそのピュアな果実が、非常に余韻が長く続きます。リースリングは意外と後味は苦みだけが残り、それが少し気になる場合も多いのですが、このファルケンシュタインのリースリングは最後までピュアで綺麗で心地よい。これが魅力だと感じました。
「リースリングが好きな方だったら絶対に試すべき1本」とコメントには書いてありますが、確かにこれは上級者向けなのかもしれません。わかりやすく美味しい、というタイプではなく、じっくりと噛みしめて良さがわかるような、そんな感じでしょうか。
さて、私は11年連続最高賞という評価に踊らされているだけなのでしょうか。ぜひ皆さんも、特にリースリングが好きな方こそ、お試しください。そして感想をお寄せいただければ幸いです。
ワイン職人に聞く、10の質問【第43回】ファルケンシュタイン(イタリア トレンティーノ・アルト・アディジェ州ナトゥルノ)
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