ワインペアリング奮闘記 第124回 ヒレ・ステーキに合うワイン / フアン・ヒル ロザリオ・ヴェーラ
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『お料理パパのワインペアリング奮闘記』第124回
リオハの格式。上質ステーキがきっちり合う赤ワイン
今回の課題は『フアン・ヒル ロザリオ・ヴェーラ』。
フィラディスワインクラブ開業以来、人気No.1ワイナリーのフアン・ヒルより新作が届きました。今回はなんと、スペインを代表するワイン銘醸地リオハから、特産テンプラニーリョを100%使用した赤ワインのリリースです!
テイスティング
香りはよく熟したカシスやブラックベリー、ドライプルーン等の黒系果実から、肉や血、鉄、ブラックペッパーやクローブ等のスパイス、タールやスモークのニュアンス。
口に含むと熟した果実の甘味をしっかりと感じ、その後ややシャープさのある酸味が追いかけてきます。
そして早い段階から、収斂性のあるタンニンの刺激を感じました。
ミドル以降は、この厚みのあるタンニンがヴェルヴェットのように、果実味が舌の中央に甘やかに残りながら、時間が経つにつれてスパイシーさやシガーの要素に置き換わっていく印象です。
美味しいですね!
全体的としてやや重厚でエレガントな赤ワインです。前半は親しみやすく果実の甘味を持ちながら中盤、後半に向けては引き締めがあり、ダンディな印象を残します。ダークスーツを纏った紳士のように、どこか品格や貫禄を感じる上質な赤ワインでした
同じワイナリーでも、シルバーラベルはここまで引き締まった感じがないので、やはり伝統産地リオハは一味違うなと感じさせられました。
合わせる料理『ヒレステーキ』
重厚さのある果実味とタンニン。そしてワイン全体から受けるエレガントな印象は、まるでボルドーワインのようです。クラシックなフレンチのようなペアリングが合うのではないかと思いました。と言う訳で、今回は厚みのあるヒレステーキを焼くことにしました。
レシピ
牛ヒレ肉を3cm厚にオーダーカット。
1%の塩と胡椒をして、低温調理機で55度で1時間加熱します。
低温調理後のヒレ肉は、焼き目が全くついていなくてプルっとした感じです。
表面の汁気をキッチンペーパーで取り、油を敷いたフライパンで表面を焼きます。
既に中心に火が通っている状態なので強火&短時間で。側面までしっかりと焼きつけましょう。
焼いたらまな板で休ませて置いて、その間にソースを作ります。
バルサミコ半量に煮詰め、水を加えてさらに半量に。仕上げに醤油を足して、味をみます。
甘酸っぱ塩っぱくて、奥深いソースを目指しましょう。
お皿にカットした肉と付け合わせを盛り付けて、ソースを回しかければ完成です。
ペアリングレポート
【総合評価】 星5つ:★★★★★ しゅっと背筋が伸びるような上質な美味しさ
【評価ポイント】
○赤ワインの濃厚さと強めのタンニンに、厚切り赤身肉のボリューム感と噛み応えのバランスが良い
○ヒレ肉のキメの細かさと、ワインのしなやかなテクスチャが心地良くマリアージュ
○深みのあるソースと溢れる肉汁が、赤ワインの果実、ミネラルに出会うことで旨みを引き出し合う
○エレガント上質な赤ワインに、上質肉のステーキという「格」のマリアージュ
料理とワインがお互いを引き立て合う、まさにマリアージュ。ちょっと奮発した肉を、丁寧に火入れしてこのワインに合わせれば、間違いなく魔法のように美味しい。
ロザリオ・ヴェーラは、そんな赤ワインでした!
実は、今回あのフアン・ヒルの新作ということで、シルバーラベルなどの印象を元に料理をある程度決め打ちしていました。それはラム肉の串焼き。でも試しに合わせてみたところ、ちょっと違うぞという結果に。
ロザリオ・ヴェーラに対しては、野性味やスパイシーさよりも、品質の高さ、エレガントさを大事にしたペアリングで挑まなければならないと思い直し、ワインを残しておいてリベンジしたのが今回ご紹介したヒレステーキです。
立派にマリアージュした自信がありますので、皆さんもロザリオ・ヴェーラで今夜はステーキ!焼いてみませんか?それでは、次回もお楽しみに!(西岡)
今回のペアリングワイン
このコラムのライター
J.S.A.認定ワインエキスパート 西岡 卓哉
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