セミヨン種について その2
「ブドウ品種を詳しく知ろう」シリーズ、前回から白ブドウの8品種目『セミヨン』種を紹介しています。 主要な栽培エリアはボルドーの南東部、グラーヴ、ペサック・レオニャン、そしてソーテルヌの地域。 非常にドライで長期熟成のポテンシャルを有する辛口白ワインからいわゆる「貴腐ワイン」と呼ばれる極甘口タイプまで、リースリング種等と同様に幅広い味わいのワインに使用されるブドウ品種です。
今回第2回目は、このブドウ品種の主要産地仏ボルドー・ソーテルヌ地域の特産ワインである「貴腐ワイン」についてご紹介したいと思います。
セミヨン種は貴腐ワイン専用の葡萄ではなく辛口ワインにも素晴らしいものがたくさんありますが、この品種を知る上で最初に知っておいて戴きたいことですので!
貴腐ワインは「貴腐ブドウ」によって作られるワインです。 貴腐=腐った、と言う文字ですが、果実が単純に腐ったわけではありません。 ある限定的な気候条件のもとだけで発生する「ボトリティス・シネレア」という菌(カビ)がブドウに付着。 ブドウ果実中の水分だけを無くしてしまい、ブドウはまるで干しブドウのようにひからびてしまいます。 これが上の写真のような「貴腐」状態です。
この状態のブドウは、水分だけを失っている分果汁の濃縮度は高まり、極限まで高い糖度の果汁を持ったブドウができます。 この僅かに残った甘い甘い果汁を搾って仕込むのが、「貴腐ワイン」。 フランス語で「Pourriture noble(プリチュール・ノーブル)=高貴に腐った」と言われ、つまり日本語の「貴腐」という一瞬目を疑う名称は、ちゃんと直訳された名称なんですね。
とろけるような飲み口と、贅沢な甘さ。 一口飲むだけで、夢見心地の世界に連れてってくれるのが、貴腐ワインの魅力です。
ワインをあまり好まないという方でも、貴腐ワインのあまーい飲み口には「おいしい!」と言って下さることが多いですよ!
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