ワインボキャブラ天国【第98回】「砂糖漬けの果物」英:crystallized fruits 仏:fruits confits
- 2021.10.02
- ワインボキャブラ天国
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「砂糖漬けの果物」
英:crystallized fruits
仏:fruits confits (発音は「フリュイ・コンフィ」)
以前「ブルーベリー」の回などでもご紹介をした通り、フルーツを表現に使う際に果実の熟度の度合いや火が通っているのかどうか、など状態・甘みの度合いのコメントを付け足すことでワインの表現に具体性・伝達性がより高くなります。
その段階ごとに、例えばこんな風に順序を付けてみました。ベリー系や柑橘系、などのジャンルを問わず、フルーツ全般で使用できるので非常に使い勝手が良いですよ。
【フルーツの表現を発展させるステップ】
まだ瑞々しく摘みたて、甘酸っぱく酸味のある果実
↓
完全に熟していて、生の状態では今が甘みのピークにある果実
↓
砂糖やシロップに漬け込んであり、甘味が加わったベリー系果実
又は
ソースのように煮詰めて甘みの密度が増している果実(火の通ったニュアンス、がポイント)
↓
砂糖を加えて煮詰め、濃密で強い甘さを持つジャムのような状態
今回はその中で太字にした「砂糖やシロップ漬けの状態」。完熟した果実よりも甘みを強く感じるものの「火を通して調理したときに現れる熱っぽさはない」という状態です。
日照に恵まれた暑い産地のワインには、ヴィンテージの若い段階でも自然とフルーツに火を通したようなニュアンスを獲得しています。ですがそこまでは達していない・・・香りからも甘さは凄く感じるのだけど、煮詰めたような密度の濃さまでは無い。この微妙なところがなかなか難しいですが 笑
僕の印象ですと、比較的冷涼な地域で、熟度の高いブドウを使用し樽熟成をしていないもの(または、古い樽で一部だけを短期間熟成している程度のワイン)にこの感じを見つけることが多いかな、と思います。木樽は木材に焼き目を入れているので、それだけでどうしても「火の入った」ニュアンスをワインに添加してしまうことが多いんですよね。
同時にクリーミーな香りも付加してしまうため、どうしても果実の印象⇒スイーツ的なもの、に変化してしまう。
純粋な果実のニュアンスが強いワインならば、生産者が樽でのフレーバー強化を極力せず、フルーツの純粋なニュアンスを表現することを重視しているのだな、と判断すれば良いのではないかと思います。
それでは今回はこのくらいで・・・。
今日、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!
*以下は類似した表現についてのコラム。よろしければこちらも併せて読んでみてくださいね。
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