ワインボキャブラ天国【第108回】「アルコール発酵」英:alcoholic fermentation 仏:fermentation alcoolique
- 2021.12.11
- ワインボキャブラ天国
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「アルコール発酵」
英:alcoholic fermentation
仏:fermentation alcoolique (発音は「フェルモンタシオン・アルコーリック」)
「アルコール発酵」とは
世に発酵食品が数多くあるように『発酵』の種類もさまざま。今回はその中から、果物であるブドウがワインというお酒に変わる「アルコール発酵」について簡単にご紹介をさせて戴きます。
*勿論、アルコール発酵は他のお酒でも基本的な構造は一緒ですのでお酒全般の『発酵』についてです。
「C6H12O6→2C2H5OH+2CO2」
これまでに別のコラム等で幾度となく書いてきましたが(そしてその割に筆者の僕も暗記する気は全く無いのですが)、これが「アルコール発酵」の化学式です。
ワインはブドウ果汁が酵母の働きによって発酵してできるアルコール飲料、 それを化学式に直すと
「ブドウ糖 C6H12O6を酵母が食べて、エチルアルコール 2C2H5OH と二酸化炭素 2CO2 を生み出す」という、上記の式になります。
この発酵のメカニズムを解明したのはフランスの自然学者「ルイ・パストゥール」、 それをこの化学式に示したのは化学者でもあり物理学者のジョセフ・ルイ・ゲイ=リュサックです。そのため彼にちなんでアルコール度数のことを「ゲイ=リュサック度数」と言う国もあります。
酵母について
ブドウを発酵させてワインにする酵母には、大きく分けて「自然酵母(野生酵母、と呼ぶこともあります。ブドウの果皮などに自生・付着している土着の酵母のことです。)」と、酵母メーカーが様々なタイプ別に開発した「培養酵母」の2種類があります。
一般的に使用されているのは培養酵母で、発酵のスピードやアルコール耐性(何%のアルコール濃度まで酵母が活動を続けられるか)、発酵後のワインが持つ香りや味わいのタイプ(強弱、フローラル、フルーティなど様々)によって様々な種類があり、仕込むワインのタイプに応じて使い分けられています。
最近では、ビオディナミなどの手法を導入している自然派の生産者などが積極的に使用していることで「自然酵母/野生酵母」が注目を集めています。自然酵母の中には発酵の力が弱かったり、バランスよく安定した発酵が出来なかったりする種類のものもあるので技術的なリスクはあります。しかし敢えて自分たちの土地に自生している酵母を使用するテロワール徹底追求型の造り手も出てきました。同じ生産者の持つ畑でも、村、さらに細かくすれば区画毎に異なる酵母が自生していますから、ここをも突き詰めていくことがテロワールの完璧な表現だ、という考え方ですね。
ちなみにワイン発酵用の酵母は、Amazonなどで普通に購入することが可能です。アルコール度数1%を超えなければ(超えると「密造酒」扱いになりますのでくれぐれもご注意を・・・)、自宅でジュースなどを発酵させてみることは可能。ワイン造りの感覚を実体験したければ、試してみてください!
それでは今回はこの辺で・・・
次回は「二次発酵」についてご紹介します。このシリーズは3回の予定ですので宜しければお付き合いくださいね。
今日、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!
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