ワインボキャブラ天国【第128回】「パスツリゼーション/加熱殺菌法」 英:pasturization 仏:pasteurisation
- 2022.05.27
- ワインボキャブラ天国
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「パスツリゼーション/加熱殺菌法」
英:pasturization 仏:pasteurisation (女性名詞 発音は「パストゥーリザシオン」)
目次
『パスツリゼーション』とは??
『パスツリゼーション』は、食品全般で行われる加熱による殺菌法で、「低温殺菌法」とも言われています。
ワインの場合は54~55℃ほどにまで加熱し、熱を冷ましてからボトリングを行うことでアルコールを飛ばすことなく細菌・バクテリアを死滅させ、微生物による劣化からワインを保護することができます。ワインに直接熱を入れる手法の他に、ボトリングしたワインに80℃前後の熱湯を15分程浴びせ続けた後に冷却することで同様の効果を得る方法もあります。
パスツール氏が開発したので「パスツリゼーション」。
この技術を開発したのは、「近代細菌学の祖」とも呼ばれるフランス人の微生物学者ルイ・パスツールさん(上の写真の方です)ということで、技法にも「パスツリゼーション」という名前が付けられました。パスツールさんは発酵が「酵母」という微生物によって引き起こされることも発見した人ですね。
そして彼がこの加熱殺菌技術を開発したのは19世紀の終わり頃。クロード・ベルナールさんというもう一人の微生物学者と一緒に発見したと言われています(片方しか名前が付いていないのがちょっとかわいそうですね。。。)。以来、ワインやビールなどの品質保持に大きく役立ったと言われています。
この技法はいまや牛乳の製造時にも欠かせないものとなっています。牛乳のパッケージには殺菌の温度と時間が記載されていますが、「低温殺菌牛乳=パスチャライズド牛乳」の場合は約63℃ほどの温度で30分ほどの長時間をかけて殺菌が行われています。一方で高温殺菌の場合は130℃で2秒間、など瞬時に殺菌を実施することとなります。
高温殺菌を実施するとどうしても熱変が起こり品質や風味に影響が出ますが、低温殺菌ではワインや牛乳の味わいにもダメージを与えにくいとされています。
実は、日本の方が「加熱殺菌」の歴史が長かった!
「酒ぬのや本金酒造」さまから画像お借りしました。
詳しくはこちらのFacebookページで!
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https://www.facebook.com/sake.honkin
ただ、ここ日本では清酒の仕込み方法としてなんと室町時代の1489年(*諸説あり)には既に「火入れ」という技法が実施されていました。写真のように、およそ60-65℃のお湯に浸すことで乳酸菌などの微生物を死滅させるそうです。
加熱殺菌法を最初に見つけたのが我々日本人とは・・・なんだか誇らしいですね!!
それでは今回はこのへんにしておきましょう。
今日も、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!
【今回紹介の用語「パスツリゼーション」に関連したその他のコラム】
今回、「火入れ」についての画像をお借りするにあたり「SAKE Street」さんというサイトにご協力を戴きました。日本酒に関する素晴らしいコラムがたくさん掲載されているページですので是非見てみてください!
今回参考にさせて戴いたページ「美味しさを長く保つ技術、火入れの進化と日本酒の味わい – 火入れを学ぶ」はこちら
↓↓↓
https://sakestreet.com/ja/media/learn-sake-pasteurization
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