ワインボキャブラ天国【第144回】「ルビー色」 英:ruby 仏:rubis
- 2022.10.02
- ワインボキャブラ天国
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「ルビー色」
英:ruby 仏:rubis( 性名詞:発音は「ルビ」)
「ルビー色」とは?(今更説明不要かとは思いますが・・・)
赤ワインの色合いを表現する用語として非常に良く見かける『ルビー色』。
「明るいルビー色」「透明度の高いルビー色」など形容詞が付け足されていることも多いですね。
宝石を比喩にするとは、いかにもワインらしい表現だと思います。
それではまず、比喩表現の元となる「ルビー」とは何かについても豆知識程度に触れておきましょう。
冒頭の画像は原石状態のルビー、そして上が研磨して宝石になった状態の「ルビー」です。
鉱石の種類としては「コランダム」にクロムが1%ほど混入した変種で、美しい赤色を帯びているのが特徴の宝石。ダイアモンドに次ぐ硬度を持っています。
ちなみに同じ鉱石「コランダム」にクロムでなく鉄やチタンが混入すると青色の「サファイア」になるそうです。大元は同じ石なんですね・・・恥ずかしながら僕は今回調べるまで全く知りませんでした。
そして、混入しているクロムの量が0.1%ほどと少なくなると「ピンクサファイア」になるそうですよ(ここが何故「ピンクルビー」でないのかは、ちょっと不思議なところですが)。
ワインの色調を見ていく手順をご紹介。
では、「ルビー色」のワインとはどんなものなのか、具体的にご紹介していきたいと思います。
実際のワインで見る「ルビー色」色合いのイメージとしては、こんな感じでしょうか。
もともとの宝石の明るく輝きのある色合い、ワインの色合いからも想像できるかと思いますが、「ルビー色」は基本的には若く、フレッシュな段階の赤ワインに使用される表現です。
特に、ブルゴーニュ地方のピノ・ノワール種やガメイ種を使用したワインのように、「イチゴやフランボワーズなど、赤いフルーツの瑞々しいニュアンス」のあるスタイルのものにこの色調はよく見られます。
ボルドー地方産のカベルネ・ソーヴィニヨン主体赤ワインなど、黒っぽい果実の印象の強いものだと赤色の中に紫や青っぽい色調を含んでくるので、「ルビー色」というとちょっと表現にズレがあるように感じますよね。
こういったタイプのワインには同じ宝石でも「ガーネット」という比喩表現を使うことが多いのですが、「やや紫がかったルビー色」とか「周辺部に紫や青のニュアンスの見える濃いルビー色」などと、付け足し表現を広げるのも間違いではありません。
僕は、「ガーネット」はボルドーの中でも軽く熟成してオレンジ色っぽいグラデーションを含んで来たワインに使うものだ、と教わった記憶があります。そしてそれがさらに進むと、「テラコッタ(煉瓦色)」」等に更に変わっていく…。
宝石から煉瓦、ワインの色合い表現も香りと同じで自由に広げて行って良いと思います。
いまじぶんの目の前にあるワインの色調、是非自分なりの美しい比喩で表現してみてくださいね。
ということで今回の「ボキャブラ天国」はこれにて終了。今日も、あなたの表現するワイン世界が少し広がりました!
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