ワイン職人に聞く、10の質問【第64回】ドメーヌ・セバスチャン・クリストフ(フランス・ブルゴーニュ地方シャブリ)
≪ひとりのワイン職人の頭の中を覗く一問一答インタヴュー!≫
『ワイン職人に聞く、10の質問』
第64回 ドメーヌ・セバスチャン・クリストフ(フランス・ブルゴーニュ地方シャブリ)
オーナー・醸造家 セバスチャン・クリストフさん
第64回に登場するのは、フランスブルゴーニュ地方の白ワイン名産地「シャブリ」で注目を集める若手生産者『セバスチャン・クリストフ』。
彼のワインは大部分が「リッツ・カールトン」や「ペニンシュラ」などのパリの一流ホテルに販売されてしまうため、海外はおろかフランス国内でも彼のワインを見つけるのは困難。
専門誌ワイン・アドヴォケイトでは「ピュアで生き生きとしたシャブリの優れた造り手、急速に台頭している」という評価に加え「知るべき生産者」「グレート・バリュー・ワイン」にも選ばれました。
伝統の産地に新風を吹きいれるライジングスターはどんなことを考えているのか・・・?
いつもの10問をお送りしたところ、ビシビシビシッと素早く端的に、でも本質をしっかりと掴んでいる回答が返ってきました!
Q1:ワイン造りを一生の仕事にしよう、と決意したきっかけは何ですか?
⇒数多ある様々な仕事の成果が複雑に絡み合い、偉大なワインが生みだされる、というところに惹かれたから。
いくら努力を積み重ねても、先に待っている結果が簡単には分からない。
だからワイン造りの仕事はやめられないよ。
Q2:これまでワインを造ってきて、一番嬉しかった瞬間は?
⇒ワインを仕込んだ時に「熟成したらこんなスタイルのワインになっていて欲しい」と思い描いていたことが、20年後になってまさにその通りに実現した時!
Q3:その反対に、一番辛い(辛かった)ときは?
⇒2015年のことだけどね・・・何と収穫のわずか3日前になって激しい嵐がやって来たんだ。
その年1年分の努力が、結実する3日前にゼロになってしまうなんて、もう言葉も無かったよ。
Q4:ワイン造りで最も「決め手になる」のは、どの工程だと思いますか?
⇒僕のワイン造りで最も決め手になるポイントは、発酵のプロセスを観察することだ。
この段階でワインの香りやストラクチュア・テクスチュアが決まって来るからね。
Q5:あなたにとっての「理想のワイン」とは?
⇒親しい友達が、何度も何度も手に取って楽しんでくれるようなワイン。
Q6:今までに飲んだ中で最高のワインを1本だけ選ぶとしたら?
⇒ごめん、それはどうしても選ぶことが出来ないよ。
僕の人生の色々なステージにおいて、いや、それこそ毎日毎時間のように変わっているんだ!
Q7:自分のワインと料理、これまでに一番マリアージュしたと思った組み合わせを教えてください。
⇒帆立貝と様々な野菜のサラダに、バルサミコビネガーのドレッシング。
僕のシャブリは貝類との相性が本当に良いんだよ!
Q8:もしあなたが他の国・地域でワインを造れるとしたら、どこで造ってみたいですか?
⇒それはやっぱり君たちの国、日本じゃないかな??
僕の得意分野はやはりドライなスタイルの白ワインだから、土壌や気候的にも日本でワイン造りをするのは合っているんじゃないかと思うよ。
例えば富士山の斜面でブドウを育ててみたいね 笑!
Q9:あなたの「ワイン造り哲学」を、一言で表現してください。
⇒「忍耐強さを知ること」。ワイン造りは結局これが一番大切だからね。
Q10:最後に・・・日本にいるあなたのワインのファンに、メッセージを!
⇒そうだな・・・僕のワイン造りのテーマでもある「一見シンプルでストレート造りの中に隠れた複雑さ」を見つけ出してくれたら嬉しい。
ぜひ、日本の新鮮な魚介料理と僕のシャブリを楽しんで!
・・・セバスチャンさんへの一問一答インタヴューは、以上です。
今回のインタヴューは如何でしたか??
僕が思う彼のシャブリの特徴は「果実の純粋さと柔らかさ」。
豊かできれいな果実味がたっぷりと広がっていく贅沢な味わいがとにかく堪らなくおいしいんです。
そして彼の言う通り、その奥には精緻にバランス調整された酸やミネラルの存在感が。
とても飲みやすく分かりやすい白ワインなのに、決して単純ではない。
飲むたびにそこに惹かれる感じがあります。
今日はスタンダードなシャブリと、古木を使ったセレクションの2種類をご紹介。
古木の方でも税込3,000円台前半とお試ししやすい設定ですので、試して戴くなら是非こちらをお勧めいたしますよ!!!
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