ワインペアリング奮闘記 第28回「ドメーヌ・ヘリング リースリング・レ・オーセンティーク」
ワインペアリング奮闘記 の記事一覧『お料理パパのワインペアリング奮闘記』第28回
リースリングで爽やかお魚ソテーのマリアージュ
このコーナーは毎回お題のワインに合わせてお料理を実際に作り、レポートするコラムです。コラムの性質上下記の点について、ご容赦いただいております。
■失敗してもやり直しできませんので、その時は何がダメだったのか考察する回とさせて下さい。
■子供に乳製品アレルギーがあるため、チーズやクリーム、ミルクなど乳製品が使えません。
今回のお題は『ドメーヌ・ヘリング リースリング・レ・オーセンティーク』です。
このコラムはもう28回になりますが、白ワインの代表的品種リースリングをまだやっていなかったのですね!
今回はリースリングの代表的産地であるフランス・アルザスからやってきたリースリング白ワイン。
しかもレ・オーセンティークは「正真正銘の」という意味ですから、期待が高まりますね。
グラスに注ぐと色調はクリアーでやや緑がかったイエロー。
香りをとってみると、第一印象は青リンゴのような爽やかさ、蜜を感じさせるような甘やかさを感じます。続いてスイカズラ等の白いお花、コリアンダーシード、そしてハーブのヒント。口に含んでみると、香りの印象と違わない、クリアーでフレッシュなリンゴを思わせます。
序盤に、一瞬柔らかい果実の甘みを感じた後、間をおかずにキリッとした酸味が現れました。
中盤からはかっちりとしたミネラルが豊かな酸と共に味わいを引き締め、余韻まで続いて行きます。
全体として、華やかでフルーティなアロマを持ちながら、味わいはややタイトな辛口で冷涼感のある白ワインです。
華やかさの中に凛としたこの佇まいは「レ・オーセンティーク」の名に相応しいリースリング・ワインですね。
では、合わせる料理を考えてみましょう。
キリっと引き締まった白ワインなので素材としては魚介が思い浮かびますが、この酸の豊かさなら淡白系の白身肉もアリだと思います。
華やかさの中にフレッシュ・ハーブのような植物を感じるニュアンスもあり、野菜とも合いそうです。
そして、この豊かな酸に注目!リースリングの大きな特徴ですね。
例え淡白でちょっとぼやけた印象の食材でも、このシャープな酸は繊維の中まで入り込んで味わいに「芯」を補うことができそうです。敢えてそんな仕事をさせてみたくなるような白ワインです。
ちなみに以前、WINE CLUBスタッフでアルザス料理を食べに行ったことがありますが、アルザスでは豚肉が多く食べられるようですね。ソーセージや塩漬けの塊肉を、発酵したキャベツ(シュークルート)と合わせたり。ゆでたジャガイモや、玉ねぎ、ニンジンもよく使い、全体として、ほっこりとした印象です。また、山に囲まれた地方ですのでお肉料理がメインではあるものの、ライン川では川魚も沢山獲れるとか。それもあってリースリングは焼いた魚にもよく合う、という話も聞きました。
それでは今回は、分類上「川魚」に属するサーモンをソテーしてみましょう!
お魚はシンプルな味付けであえて淡白に、ソースには人参・リースリング、付け合わせにアスパラ使って、野菜の力も借りてこのフレッシュな白ワインと合わせて行きます。
作り方:
サーモンの切り身に塩コショウで下味をつけます。
ソース用のニンジンは細かく切って、塩を少し加えた熱湯で茹でます。
茹で上がったらミキサーでピュレ状にします。
付け合わせのアスパラと、縦切りの小人参をオリーブ・オイルでソテーします。
良い色に焼けたら塩コショウをして、バットに移しておきます。
続いて、サーモンを皮目から焼いていきます。
全体に焼き色が付いたら、白ワインを少し加えて蓋をし、蒸し焼きに。
サーモンが焼きあがったら取り出して休めておきます。
フライパンにオリーブ・オイルをしき、微塵切りのニンニクを炒めます。
人参のピュレを加え、砂糖少々、リースリングを加え、火を強めて煮詰めます。
(フライパンにリースリングを加えた時の香りと言ったら!)
煮詰まってきたら、塩コショウで味を調え、香り付けのオリーブ・オイルを少々。
お皿にソース、サーモン、付け合わせを盛り付けて、お魚の上からぎゅっとレモンを絞って、
イタリアンパセリ、ディル等のハーブを散らせば出来上がり。
実食:
脂をまとったサーモンの身を崩し、人参リースリング・ソースにつけていただきます。
レモンの香りをまとったサーモンの身はほっくりとして、ソースの甘味が優しいです。
熱を通したリースリング・ソースの酸は穏やか。素材の味が生きていますね。
さて、『ドメーヌ・ヘリング リースリング・レ・オーセンティーク』をいただきましょう。
グラスを持ち上げると漂う清楚な香りは、やはり素晴らしいです。
口に含むと一瞬のフルーティさの後に、フレッシュな酸がしみわたって行きます。
マイルドな人参ソースとサーモンの脂分のお蔭で、単体よりもシャープさが抑えられた印象。
脂の乗ったサーモンのボリューム感を感じながら、体が軽くなるような爽快さを感じます。
後味には白ワインのかっちりとしたミネラル感に、サーモンの塩味と旨味が伴って、余韻が伸びて行きました。全体として、白ワインが加わることでお料理の印象がよりくっきりと明瞭になるような、爽快感のあるペアリングになりました。
いかがでしたか?
手前味噌ですが、今日のお魚は定番にしたいくらい美味しかったです。
サーモンに華やかさをプラスする人参リースリング・ソース、お勧めです!
ペアリングに関しては、もっと経験を積んでいきたいですね。
今回のペアリングもマリアージュの一つの形だと思いますが、ベストかと問われればまだまだ研究の余地ありでしょう。
お肉メインの料理にも是非挑戦してみたいですし、いつかは店長の「アジフライ」のようにスマッシュヒットを探し出したいですね。
それでは、ご意見ご感想お待ちしております。次回もお楽しみに!
-
前の記事
ワインペアリング奮闘記 第27回「ルシアン・ミュザール ブルゴーニュ・ピノ・ノワール」 2020.01.20
-
次の記事
ワインペアリング奮闘記 第29回「シャトー・レ・モワンヌ メドック・クリュ・ブルジョワ 2006年」 2020.02.01
コメントを書く