ワインペアリング奮闘記 第30回「ヴーヴ・オリヴィエ セクレ・ド・カーヴ ブリュット N.V.」
- 2020.02.07
- ワインペアリング奮闘記
- クレマン, シャトー・アントニャック, シャンパーニュ, フランス, ペアリング, マリアージュ, レシピ, 魚介料理
『お料理パパのワインペアリング奮闘記』第30回
意外と苦戦!シャンパーニュに合わせる料理
このコーナーは毎回課題のワインに合わせたお料理を実際に作ってレポートするコラムです。コラムの性質上下記について、ご容赦いただいております。
■失敗してもやり直しできませんので、その時は何がダメだったのか考察する回とさせて下さい。
■うちの子に乳製品アレルギーがあるため、チーズやクリーム、ミルクなど乳製品が使えません。
今回のお題は『ヴーヴ・オリヴィエ セクレ・ド・カーヴ ブリュット N.V.』です。
30回記念の今回はシャンパーニュ。嬉しいですね。
いつもこのコラムではまず味見をしてからお料理を決めるスタイルで執筆していますが、過去の記憶を元に、あらかじめ料理をほぼ決めてしまうこともあり、今回もそのパターン。
当然ペアリングの難易度は上がるのですが、今回何故そんなことをしたかというと、答えは簡単。
シャンパーニュの抜栓は儀式のようなもの・・・やはり抜栓と同時にディナーを開始したいからです!
私の記憶では、このワインはきめ細やかな泡に、熟したやや大ぶりの果実の豊かなアロマ、酸は穏やかでどこか親しみやすく優しいスタイルのシャンパーニュでした。
その記憶を頼りに、柔らかさ、繊細さと言う部分で合いそうな食材を思い浮かべてみたところ、ふわっとした身の柔らかさを持つ「カニ」なんてどうかな?と考えました。
というわけで今回は、アボカドやサーモン、甘エビなど柔らかい素材を組み合わせた土台を作り、その上にカニの身を盛り付けてシャンパーニュに合わせることにしました。「ズワイガニのセルクル仕立て」です!
作り方:
セルクルとは洋菓子などに使う、円筒形の型のことです。
うちには用意がありませんので、500mlのペットボトルを切断し自作しました。
ボイルしたカニを用意し、殻から身を外して冷ましておきます。
甘エビは一瞬熱湯にくぐらせたのち、氷水にとって冷まして殻を取り外します。
アボカドは軽くソテーして塩コショウを振り、こちらも冷ましておきます。
トマトは角切りし、ざるにあげて軽く果汁を抜いておきます。
抜いたトマト果汁はレモン汁、オリーブオイルと塩・胡椒を合わせてドレッシングに。
サーモンはお刺身用を1cmくらいの角切りに。こちらも軽く塩コショウで下味を。
お皿に設置したセルクルに、アボカドを軽く詰めその上にトマト、サーモン、甘エビ、カニを盛り付け、ドレッシングをかけます。
さらにケイパー、ピンクペッパー、ディルなどのハーブを散らして、セルクルをそっと外せばできあがり。
抜栓:
ではまず、『ヴーヴ・オリヴィエ セクレ・ド・カーヴ ブリュット N.V.』を抜栓します。
グラスに注ぐと細やかな泡が立ち上ります。そして、底から立ち上る細かい気泡。美しいですね!
色調はやや黄金がかったイエロー。香りはリンゴや洋ナシ、とてもよく熟して、蜜っぽさも感じます。
果実以外にも、ナッツやトースト、カスタードのヒントが感じられ、思ったより熟成感があります。
口に含むと泡の質感は細かく、優しいですね。口当たりが非常に滑らかです。
味わいからは凝縮した、熟した果実の甘みをまず感じ、酸は比較的穏やかです。
ミネラルは頑強ではないですが、しっかりと舌に感じます。記憶のイメージよりも重心はやや低め。
アロマからも、コクのある味わいからもやはり熟成を感じます。
存在感のある、本格的なシャンパーニュですね。単体で飲んでとても美味しいです!
うーむ・・・しかし、このお料理とはどうか・・・??
一抹の不安がよぎりましたが、ともあれ合わせてみましょう。
実食:
このお料理、見た目が大変お洒落ですね。
誰もペットボトルで盛り付けたとは思うまい!実際食べてみると、柔らかい具材にレモンの酸味が効いて大変ソフト&フレッシュです。
しっとりとしたカニをいただきながらシャンパーニュを飲むと、カニならではのミネラル感がシャンパーニュのミネラルと同調して中々良い感じでした。
その一方で、甘エビやサーモン、しっとりとしたアボカドの生っぽい質感と、このシャンパーニュの熟成感とは相反しているように感じます。
このシャンパーニュのもつ味わいの強さ、そしてナッツやトーストのようなニュアンスは、もっと熱を通したボリューム感のある料理の方が合いそうですね。
シャンパーニュも美味しいし、お料理も美味しいのですが、ペアリングとしては成功とは言えない・・・というのが正直な感想です。
敗因は、やはりシャンパーニュの特徴を正確に記憶できていなかった事でしょう。「記憶から料理決め」は、相当記憶に自信がある時にやるべきですね。反省です。
今回のお料理の場合、もう少しフレッシュなタイプの「ブラン・ド・ブラン」をお勧めしたいと思います。
クロード・カザル カルト・オール
また、今回を踏まえ改めて『ヴーヴ・オリヴィエ セクレ・ド・カーヴ ブリュット N.V.』に合う料理を提案するなら、鶏肉くらいの軽めのお肉料理が丁度良いと思います。
タレを使ったしっかりとした味付けでも、十分対抗していけるシャンパーニュだと思います。
魚介ならアワビのソテーなんか良いと思います。やはり銘酒は奥が深いですね。
それでは、ご意見ご感想お待ちしております。次回もお楽しみに!
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