ワインペアリング奮闘記 第33回「シャトー・レスタージュ・シモン オー・メドック・クリュ・ブルジョワ1999年」
- 2020.03.02
- ワインペアリング奮闘記
- シャトー・レスタージュ・シモン, フランス, ペアリング, ボルドー, マリアージュ, レシピ, 和食, 熟成, 赤ワイン
『お料理パパのワインペアリング奮闘記』第33回
20年熟成ボルドーとのマリアージュ!
このコーナーは毎回お題のワインに合わせてお料理を実際に作り、レポートするコラムです。
コラムの性質上下記の点について、ご容赦いただいております。
■失敗してもやり直しできませんので、その時は何がダメだったのか考察する回とさせて下さい。
■うちの子に乳製品アレルギーがあるため、チーズやクリーム、ミルクなど乳製品が使えません。
皆様、新年明けましておめでとうございます。
2020年最初のお題は『シャトー・レスタージュ・シモン 1999年』です。
年始一発目のペアリング・コラム、課題に選ばれたのはフランス・ボルドー熟成赤ワイン。
20年熟成ということは、新成人へのプレゼント候補に挙がりそうですね。一体どんな味わいなのでしょうか?
抜栓してみると、20年経ってもコルクには弾力があり、抜き辛さは感じませんでした。
またコルクの全長が長く、これは熟成して飲むことを前提としている証拠。期待が高まりますね。
ボトルには熟成の証である澱も見られますので、飲む前数日間は静置し、なるべく揺らさない方が良いでしょう。
グラスに注いでみましょう。色調は深みのあるガーネット。エッジにかけてオレンジがかり、外観からも熟成のニュアンスが見られます。
香りの第一印象はドライフルーツ。赤いベリー類を中心として、黒っぽい果実まである印象。
ドライフラワー、紅茶、腐葉土、タバコ、キノコ類、外観の印象通りに熟成由来の深く複雑なアロマです。
口あたりは滑らかで、味わいの第一印象もやはりドライフルーツを思わせる甘やかさ、そして穏やかで落ち着いた酸味を感じます。
中盤にかけて旨味がじわじわと広がり、細かくシルキーなタンニンを感じます。
押しつけがましくなく、あくまでエレガントで品の良い印象の赤ワインですね。
後にはほんのりとした苦みと、アルコールの暖かみ、そしてアーシーなフレーヴァーが残ります。
ほっとするような滋味深さがあり、熟成ワインならではの「時の流れ」を品よく感じることのできる、ボルドー赤ワインだと思います。
合う料理ですが、熟成のニュアンスが全面に出ているので、その複雑味に寄り添ってくれるお料理を考えたいですね。
ボリューム的なバランスとしては、がっしりと強いワインではないので、柔らかい食感のお肉。例えば、和牛の薄切りはどうでしょう。調理法も柔らかさを強調するよう「煮る」で行きましょう。
そして熟成のニュアンスに対しては、以前にも試したことがある「味噌」を使います。独特の大地を思わせるフレーヴァーを利用しましょう。
というわけで今回はちょっとレトロな味噌仕立ての『牛鍋』に決定です!
作り方:
まず赤だし味噌をみりんで緩めます。醤油を加えて、とろりとしたペースト状に。
お鍋の中央に切った長ネギを立て、周りに牛脂、牛肉を配置します。
長ネギの上から味噌ペーストを流し入れ、中火にかけます。
ある程度煮立ったら春菊やエノキ、豆腐等を加え、適宜だし汁で味を整えていただきます。
実食:
柔らかく煮えた和牛をいただきながら、じっくりとシャトー・レスタージュ・シモンを飲み進めていくと、これがじんわりとよく合います。
お肉の柔らかさと、ワインの飲み口の柔らかさも想像通りバランスが取れていましたし、
シャトー・レスタージュ・シモンの旨味がじんわりと舌の上を水平に広がっていくのに対して、出汁で伸ばされた味噌風味の薄切り肉の旨味が同じ方向性で共鳴しています。
ちょっとレトロな牛鍋と、20年熟成ワイン、というどこか懐古的な組み合わせも楽しいですね。
お味噌が濃くなると、ちょっとワインが負けてしまう感もありましたので、そこはだし汁を使ってうまく調味して頂ければとおもいます。
冒頭で新成人へのプレゼントにどうでしょうと書きましたが、実際に味わってみると、それよりも子供が成人を迎えた時に夫婦で20年を振り返りながら飲みたいワインだなと思いました。
如何でしたか?ワインとの相性もよく、
『シャトー・レスタージュ・シモン オー・メドック・クリュ・ブルジョワ1999年』
(フランス /ボルドー州産赤ワイン オーメドック・クリュ・ブルジョワ)
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