ワインペアリング奮闘記 第64回 「カステルイン・ヴィッラ キャンティ・クラシコ」
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伝統のキャンティ・クラシコなら、この料理は無視できない!
このコーナーは毎回課題のワインに合わせたお料理を実際に作ってレポートするコラムです。
コラムの性質上下記について、ご容赦いただいております。
■失敗してもやり直しできませんので、その時は何がダメだったのか考察する回とさせて下さい。
■うちの子に乳製品アレルギーがあるため、チーズやクリーム、ミルクなど乳製品は不使用です。
さて、今回のお題は『カステルイン・ヴィッラ キャンティ・クラシコ』です。
色調はガーネット。やや明るめのエッジが熟成を感じさせます。
香りは熟したチェリー、アニスなどの茶系スパイスやドライフラワー、鉄分、柔らかい土を思わせます。
口に含むと、果実の甘やかさに続き、酸味を豊かに感じました。
タンニンはしっかりとありますが、目が細かくシルキーです。
ミドルからじわりと舌に広がる出汁のような旨味。
アフターにほんのりと残る苦味が、味わいに奥行きを感じさせます。
果実味も十分に感じられつつ程よく熟成感があり、味わい深く、飲み頃の赤ワインだと思います。
美味しいな、とまじまじボトルを眺めてしまいました!
さて、このトスカーナ赤ワインに何を合わせましょう?と言いつつ・・・
実は、今回のためにもう決めてある料理があります。
以前からキャンティに是非ペアリングしてみたいなと思っていた、トスカーナ名物料理。
『ビステッカ』です!つまりイタリア版のビーフ・ステーキですね。
この滋味旨系赤ワインに、豪快なステーキが果たして合うのか?という心配はありますが、
ビステッカにキャンティはお決まりの組み合わせとのことですから、論より証拠!実際に試してみましょう。
レシピ:
フィレンツェ名物『ビステッカ・アッラ・フィオレンティーナ』はキアニーナ牛のTボーンを極厚切りにして、炭火で焼いたもの。
1枚が800gから1kgだそうです。そんなTボーンは日本では普通に手に入らないので、とにかく分厚いステーキ用牛肉を探す所からです。
今回は、とあるデパ地下で厚み3cmのニュージーランド産リブロースを発見し、そちらに決めました。
肉が手に入ったら焼き方です。自宅で炭火は無理、しかも厚切り肉への火入れは難しいので、秘密兵器の低温調理器を使います。
リブロースに1%の塩胡椒をすり込み、軽くオリーブオイルを回しかけて真空パック。これを55度で1時間湯煎します。
その後表面をグリルパンで焼き付け、さらにバーナーで焦げ目を入れます。
これで外はこんがり、中はレアだけどちゃんと火が通っている状態を作り出せます。
お肉を少し休ませてからカットして、ローズマリーとレモン、塩を添えて。
なんちゃってだけど、とっても美味しそうなビステッカの出来上がり!
ペアリングレポート:
豪快なお肉に驚く家族を尻目に、早速一切れお口に放り込みますと・・・柔らかいっ、そして旨い!
自家製ステーキは何度か焼いてきましたが、これは過去最高の出来栄えだと断言できます。
では、早速キャンティ・クラシコを。おおおお、美味しいー・・・。
テイスティング時は、赤ワインがお肉に負けるかと思いましたが、いえいえどうして。
改めて感じたのは、このキャンティ・クラシコ、とても味わいに芯のある赤ワインだと言うこと。消して弱くないんです。
お肉に支配されることなく、赤系果実が爽やかさを演出し、旨味やコクを引き出して、余韻までしっかりと寄り添います。
またお肉のレアな焼き加減に、キャンティ・クラシコの鉄っぽさがとても良くマッチしていました。
インパクト重視のペアリングではなく、お肉とワインの味わいの妙をじっくりと確かめる、旨味のマリアージュで至福のディナーを楽しむことができました!
如何でしたか?
今回は、一口にステーキといっても、厚みや焼き方でペアリングの形は様々だ、ということを再確認しました。
また今回の『カステルイン・ヴィッラ キャンティ・クラシコ』ですが、実はステーキだけでなく料理の守備範囲が広い赤ワイン。
フィラディスで行われた実験では、ステーキだけでなくトマトソースにも、とてもよく合っていましたよ。
次の週末のご馳走には、是非この赤ワインをお供にご用意くださいね。それでは次回もお楽しみに。(西岡)
今回のペアリングワイン:
カステルイン・ヴィッラ キャンティ・クラシコ
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