ワインペアリング奮闘記 第118回 シャトー・ラモット・ギニャール ソーテルヌ × 秋の和菓子
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『お料理パパのワインペアリング奮闘記』第118回
貴腐ワインと和菓子のペアリング
今回の課題は『シャトー・ラモット・ギニャール ソーテルヌ』。
シャトー・ラモット・ギニャールは、世界三大貴腐ワイン筆頭であるソーテルヌの、格付2級にあたる極甘口白ワインワイン。歴史あるシャトーの高級ワインです。このコラムで極甘口を取り上げるのは初めてですね。品種はセミヨンが90%、ソーヴィニヨン・ブランとミュスカデルを5%ずつブレンドしています。
テイスティング
立ち上る香りは、蜂蜜、マンゴーやアプリコットのドライフルーツ、ローストナッツ、砂糖漬けのジンジャー。
口に含むと、口当たりはとろりとしていて、アタックから蜜を舐めたように濃厚な甘味がぎゅっと詰まっているのを感じます。
じっくり観察するように味わうと、レモンピールやカラメルのような要素も感じられます。
貴腐菌のおかげか、なかなか例えるのが難しい、得も言われぬ風合いがありますね。
ただ甘いだけでなく、品のある味わいは流石ソーテルヌです。
合わせる料理『秋の和菓子、比較実験』
今回は和菓子とソーテルヌのペアリングに挑戦。
極甘口ワインですので、普段のように料理とのペアリングを考えるのが少し難しい、また一般的に相性が良いとされているブルーチーズ系が乳製品のため当コラムでは使えない、ということもあるのですが、デザートワインが和菓子とマリアージュしたら素敵だなと思って決めました!
デパ地下で幾つか買ってきたので、それぞれの極甘口ワインとのペアリングを比較してみたいと思います。
ペアリングレポート
①ふみ巻き(栗)- 文明堂
星4つ ★★★★☆
外側はふわっと、卵の香りが良い。中にはしっとりとした栗餡です。
上方向に抜けるようなソーテルヌの香りと、方向性が近いですね。
よくなじみます。素晴らしい!
②栗饅頭 – 文明堂
星2つ ★★☆☆☆
甘味が少し控えめで、単体としては美味しい栗饅頭です。
ただソーテルヌと合わせると、生地のもそもそ感が口に残って少し気になります。
栗の味わいとの相性はとても良いと思います。
③栗きんとんどら焼き – 浅草梅園
星3つ ★★★☆☆
栗きんとんのトーンの高さが、ソーテルヌにマッチしますね。
生地が案外しっかりしているので少し口に残るのが残念でした。
栗は合うな、と再確認。
④どら焼き – 浅草梅園
星2つ ★★☆☆☆
普通の粒餡が入ったどら焼きですが、
栗きんとんよりも重たい印象で、貴腐ワインにはちょっと合わせ辛い印象です。
とっても美味しいどら焼きなんですけどね。むしろお茶が欲しい。
⑤おやつカステラ – 文明堂
星5つ ★★★★★
鼻に抜ける卵の香りと、すーっと溶ける軽さ。ソーテルヌと溶け合う心地よさ。
ふみ巻きといい勝負で迷いましたが、潔く、いっそ餡はなくて良いという判断で、今回の勝者は文明堂のカステラです!
10月後半、和菓子界はまさに栗の季節でした。
私も栗気分になってついつい似たような味ばかり買ってしまったのは反省点です。
なんだか文明堂さん対浅草梅園さんみたいになってしまいましたが、そういう意図はないです。すみません。
それにしても、カステラとシャトー・ラモット・ギニャール ソーテルヌのマリアージュは嬉しい発見でした。
カステラ、手に入れやすいですし。食後のソーテルヌにカステラをひとかけら、如何でしょうか?
他のワインやデザートでは得難い満足感が得られますよ。おすすめです。
それでは次回もお楽しみに!(西岡)
今回のペアリングワイン
このコラムのライター
J.S.A.認定ワインエキスパート 西岡 卓哉
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