ワインペアリング奮闘記 第90回 ドメーヌ・デュテルトル クレマン・ド・ロワール キュヴェ・サン・ジル N.V. ×カキフライ
ワインペアリング奮闘記 の記事一覧フランス・ロワール地方、トゥーレーヌ・アンボワーズのスパークリング・ワインですね。シュナン・ブランやカベルネ・フランなど、この地方ならではのブドウ品種がブレンドされていて興味をそそります。
グラスに注ぐと、泡立ちが細やかで生き生きとしています。色調は淡いイエロー。
洋梨やりんご、グレーブプルーツのようなフレッシュなフルーツ、それ加えてイーストやナッツ、例えるなら砂糖とアーモンドのスライスをのせて焼き上げたパンのような香ばしさを感じます。
口に含むと、泡の質感がクリーミー。甘やかな果実味は、丸みをおびて親しみやすい印象です。酸味はリフレッシュ感があり、スッキリとしています。
中盤から、ミネラルとタンニンの軽い締め付けを感じました。
後半にかけてレモンピールのようなほの苦さが心地よく感じられます。
全体的には第一印象からジューシーでフレンドリー、シャンパーニュなどに比べるとカジュアルな印象のスパークリング・ワインですが、中盤からのストラクチャがしっかりしているので、初心者からワイン好きまで楽しめる仕上がりになっていると思います。「週末飲み」に丁度良い1本ではないでしょうか。
合わせる料理:
テイスティングしながら、どんな食べ物を合わせたいか考えてみました。
スパークリング・ワインのペアリングで私がすぐに思いつくのは、サクッとした揚げ物。
このコラムではその相性の良さを何度も実証して来ましたね。
揚げ物のタネとしては、微妙にタンニンを感じたため、お肉もありかなと思いつつも、テイスティングでより印象的だったクリーミーなテクスチャやミネラル感に合わせて、牡蠣なんて良いのではないかなと思います。
というわけで今回は『カキフライ』に挑戦します。
レシピ:
味付けはタルタルソースです。茹で卵をフォークで潰し、刻み玉ねぎ、ケーパー、マヨネーズを加えて混ぜ合わせます。
牡蠣は塩水でよく洗って水気を取り、卵液、小麦粉、パン粉の順につけて揚げます。
牡蠣が苦手な子供用に一口大に切った鮭も同様に揚げました。こちらもペアリングを試してみますね。
ペアリングレポート:
では、まずは牡蠣からペアリングして行きます。
サクサク、そしてシュワーが交互に来る、このテクスチャの相性、心地良さは・・・やはり鉄板ですね。
サクサクの内側にある牡蠣のトロッとしたクリーミーさに、甘味、磯の香り、ほの苦さ・・・。
全く違うものなのに、スパークリング・ワインの泡の質感や、果実味、ミネラル感、アフターの苦味と、とても共通項が感じられます。臭みが目立ってしまうこともなく、後味をスッキリと洗い流してくれる感じも、良いですね!
ややカジュアルな組み合わせなので、通が唸るようなマリアージュという訳では無いですが、十分に美味しい、楽しいディナーを演出してくれる優秀なペアリングだと思います。
さて、鮭フライの方はどうでしょうか?こちらは牡蠣のクリーミー感とは対照的に、サクサクの内側に「ほっこり」とした食べ応えですね。キュベ・サン・ジルが合わないわけではありませんが、もう少しシャープさのある酸味が欲しくなります。同じスパークリング・ワインで考えるなら、例えばリースリング主体の辛口ゼクトなんか合いそうだと思います。今回のワインとのペアリング観点では、カキフライの勝利ですね!
如何でしたか?
カキフライに、試しに中濃ソースを付けてみると、赤ワインにも合いそうでした。
牡蠣のように磯の香りが強い食材はワインとのペアリングにリスクもあるのですが、フライにすることでそのリスクも低減もできますね。折角しっかりとした旨味をもつ食材ですので、いろんなワインとのペアリングに挑戦したいです。
それでは、次回もお楽しみに!
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