ワインボキャブラ天国【第52回】「苺」英:strawberry 仏:fraise
- 2020.09.12
- ワインボキャブラ天国
- カベルネ・ソーヴィニヨン, テイスティング, ピノ・ノワール, フランス, メルロ, 生産者, 試飲, 赤ワイン, 香り

連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「苺」
英:strawberry
仏:fraise(女性名詞:発音は「フレーズ」)
日本国内では新しい品種の苺がどんどん出てきていますよね。
かつてに比べて甘さもどんどん増し、旬の時期には口にして驚くほど甘さの凝縮度の高いものもあります。
ですが、苺の魅力はやはり適度な酸味も含めた「甘酸っぱさ」ではないでしょうか。
ワインの香りや味わいにそんな甘酸っぱい印象を感じた時に使いやすいのが「苺」という表現です。
そして「苺」の要素は、今飲んでいる赤ワインをどんなスタイルのものとして評価するのか、を判断する際にも使います。
以前「ワイン初めて講座」のコラムで赤ワインテイスティングの基本的な手法をご紹介したときに、最初に考えるポイントはざっくり次の2点であるということを書きました
- イチゴ、チェリー等赤い果物と、カシスなど黒い果物の印象、どちらが強いか?
- 香辛料・チョコレート・木など「果物以外の茶色っぽいもの」の香りはあるか?
黒系果実=カシスやブルーベリーの印象が強いワインの代表といえば、果皮が厚く色素やタンニン成分の多いカベルネ・ソーヴィニヨンやメルロ主体のワインなどですよね。
ブドウの果皮が厚くなるのは気候が暑いケースが多いので、産地の特性なども読み取れます。
一方で赤い果実、苺のような印象が前に出てくるのは、ピノ・ノワールやボージョレの「ガメイ」種のようにブドウの果皮が比較的薄く色素が少なめのもので、収穫年からあまり年を経ていない若いワイン。
冷涼な地域で産まれた、酸が豊かで瑞々しく上品な果実味を楽しむタイプのものが多いです。
「自分が好きなワインのタイプを知りたいけど、どう判断してよいのかぼんやりして分からない」という方は、まずはこの「苺の印象があったか、無かったか」を基準にすると良いと思います。
苺の印象を感じるワインが好きだったな、と思ったら、ピノ・ノワール主体のワインや、少し涼しい産地の赤ワインを飲み比べてみる・・・といった形です。
逆に苺の印象を「酸っぱいな」と感じたのなら、より黒系果実の印象が強く感じられる産地・品種のワインを選んでいきましょう。
現に少し慣れてきたら、上記のようなタイプ違いのワイン2本を用意して、目隠し比較試飲(=ブラインドテイスティング)をやってみてください。
どっちがどっちかわからなくても、黒系の力強い果実の印象が強いのか、それとも瑞々しい苺のように赤い果物の印象が強いのかを判断することから、きっと2つのワインの判別が出来るはずです。
赤ワインのテイスティングにおいて「苺のある、なし」は大きなヒント。
今回はこれだけ覚えておいてくださいね。
ということで本日はこのへんで。
今日、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!

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