ワインボキャブラ天国【第59回】「大きい、偉大な」英:great 仏:grand(e)
- 2020.11.14
- ワインボキャブラ天国
- フランス, ボルドー, ラベル, 生産者
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「大きい、偉大な」
英:great
仏:grand(e) (形容詞:発音は「グラン(ド)」)
我々日本人が日常生活の中ではなかなか「偉大な」なんていう言葉を使う機会は無いと思いますが、この単語はワインの世界では格付の表現やトップ生産者のワインの質評するときなどにごく普通に使用する言葉です。
例えば『グラン・クリュ=特級格付』、『グラン・ヴァン=偉大なワイン』等ですね。
僕も本当に素晴らしいワインに出会ったときは、ワインレヴューを「真に偉大なワインだと思います・・・」等の言葉で締めくくっています。
また、作柄の非常の良かったヴィンテージを「偉大なヴィンテージ」と表現するのを聞いたことが無いでしょうか。
本当に素晴らしいワイン、年、そして生産者などに対し「偉大な」という言葉が使われているのを目にする機会は結構あると思います。
頻出している表現ではありますが、この表現はその言葉に真にふさわしいワインだけに使うべき言葉だと僕は思います。
例えばラベルに「Grand Vin de Bordeaux(ボルドーのグラン・ヴァン)」とでかでか書いてあるワインを結構目にするのですが、これは何らかの認証を獲得したりや公式な格付によって記載したものではなく単に生産者が自分自身で勝手に書いているだけ。
実はこのような表記に厳密な規制やルールが存在しないため、生産者が自由に誇大評価を書き記すことが出来るわけです。
これによって、ワインを勉強し始めたばかりの人だったら『グラン・クリュ・クラッセ(特級格付)』のワインと誤認してしまう可能性もありますよね。
非常にたくさんの中小生産者、特にボルドーのプティ・シャトーに多いので、この表記を見ても何らかのお墨付きだ、と思わないように気を付けて戴ければと思います。
(勿論、中にはこういった表記をしていて本当に素晴らしくおいしいワインもあります!!)
それにしてもフランスのあの厳しく細かい「AOP」法(Appellation D’origine Protégée:原産地名称保護)が何故こんな表記を見逃しているのかが良く分かりません。
こういった優良誤認を招く表記が氾濫しないよう、きちんと取り締まるべきでは無いのかな・・・と僕は思います。
自分で自分のことを「グレート」なんて言って良いのは、「アラジン」だけ!
(*分からない若い方は、「俺ってグレート」で検索してみてくださいね。)
というわけで今日はこの辺で。
今日、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!
*AOP=原産地名称保護法については、こちらのコラムでも書いています。
よろしければこちらも読んでみてくださいね。
-
前の記事
ワインボキャブラ天国【第58回】「粘性の高い=グリセリンの多い」 英:fat 仏:glycerine 2020.11.07
-
次の記事
ワインボキャブラ天国【第60回】「グリ(グレーの)」英:grey 仏:gris 2020.11.21