ワインボキャブラ天国【第129回】「ペティアン」 英:sparkling 仏:petillant
- 2022.06.05
- ワインボキャブラ天国
連載企画『Firadis ワインボキャブラ天国』は、ワインを表現する言葉をアルファベットのaから順にひとつずつピックアップし、その表現を使用するワインの例などをご紹介していくコーナー。
このコラムを読み続けていれば、あなたのワイン表現は一歩一歩豊かになっていく・・・はずです!
取り上げる語彙の順番はフランス語表記でのアルファベット順、ひとつの言葉を日本語、英語、フランス語で紹介し、簡単に読み方もカタカナで付けておきますね。
英仏語まで必要ないよー、という方も、いつかワイン産地・生産者を訪れた時に役に立つかもしれませんから参考までに!!
ということで今回ご紹介する言葉は・・・
「ペティアン」
英:sparkling 仏:petillant (形容詞 発音は「ペティアン」)
目次
『ペティアン』とは??
『ペティアン』をフランス語で直訳すると「ぱちぱちとはぜるような」という意味の形容詞。すなわち上記の通り英語では「スパークリング」となります。
ただし、フランスワインのカテゴリーとしては『ペティアン』という名称がついていたらそれはシンプルに「スパークリングワイン」ではなく「微発泡性のスパークリングワイン」という意味合いになります。ちなみにイタリアでは『スプマンテ』が通常のスパークリングワインを差すのに対して微発泡性のものは『フリッツァンテ』と呼ばれます。
実はフィラディスワインクラブではこの『ペティアン(やフリッツァンテ)』カテゴリーのワインは1本も取り扱いが無く、残念ながらここでお薦めとしてご紹介できるものがないのですが、大手ビール会社さん等が取り扱っているイチゴや桃などフルーツのフレイヴァ―の付いたスパークリングワインはこのカテゴリーに入りますので調べてみてください。
『微発泡』の定義とは?
『微発泡』を表記する場合にはルールがありまして、フランスでは瓶内に含まれる炭酸ガスのガス圧が2.5気圧以下のものがここにカテゴライズされます。
ちなみに瓶内二次発酵(*この用語や、スパークリングワインの造り方などについては巻末掲載のリンク先でご説明しております!是非そちらも呼んでみてください)で仕込まれるフランスの高級スパークリングワイン『シャンパーニュ』は通常、20℃の環境下で5~6気圧を満たすことが必要とされています。
その他、タンクの中でガスを発生させる「タンク内二次発酵=シャルマ方式」のスパークリングワインだと同じく20度の環境下で3~4気圧、通常のワインに炭酸ガスを注入する製法で作られたものは2.5~3.8気圧くらいが標準です。
瓶の内部という密閉された環境での二次発酵が如何に高いガス圧を造り出すかが分かりますね。
『ペティアン』の良いところは?
さて、『ペティアン』はシャンパーニュと比較すると約半分の炭酸ガスの強さとなっています。スパークリングワインに含まれる炭酸ガスは瓶内にある間は液中に溶け込んでいます(=溶解している、と言います)が、栓を抜いて外気=1気圧の環境に置かれると溶解度が下がり、約80%のガスは一気に空気中に放出されてしまいます。
つまり、グラスに注いでからもシャンパーニュが力強く泡立つのは、元のガス圧が非常に高いから。『ペティアン』のようにガス圧の低いスパークリングワインでは、80%が放出されてしまうとガスの含有量が大きく下がります。
そのため『ペティアン』の口当たりは優しく、微かにはじけたのが感じられる程度のタッチ。
強い炭酸ガスのシャンパンが苦手、という方でも『ペティアン』だったら一緒に乾杯をすることが出来るかもしれないですね。身近に泡の苦手な方がいらっしゃったら、選んでみると良いかと思います。
それでは今回はこのへんにしておきましょう。今日も、あなたの表現するワインの世界が少し広がりました!
【今回紹介の用語「ペティアン」に関連したその他のコラム】
ワインボキャブラ天国【第109回】「二次発酵 前編」 英:second fermentation 仏:fermentation secondaire
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