ワイン職人に聞く、10の質問【第30回】ヴィノジア(イタリア・カンパーニャ州&プーリア州)
- 2020.03.19
- ワイン職人に聞く、10の質問
- イタリア, シャルドネ, ステンレスタンク, テイスティング, マリアージュ, 価格, 哲学, 樽, 熟成, 生産者, 発酵, 白ワイン, 職人, 赤ワイン, 香り
≪ひとりのワイン職人の頭の中を覗く一問一答インタヴュー!≫
『ワイン職人に聞く、10の質問』
第30回 ヴィノジア(イタリア・カンパーニャ州&プーリア州) オーナー・醸造家 ルチアーノ・エルコリーノさん
『ヴィノジア』がお家芸とするのは、カンパーニャ州・プーリア州の土着ブドウ品種を使用した濃厚な風味と豊富なタンニン、そして樽熟成のリッチな複雑味が特徴の赤ワインです。
ひたすらにまろやかで、とろみさえ感じさせるシルキーな口当たり、そして舌を包み込みながら流れ込んでいくような、官能的で贅沢な飲み口・・・。思わず目を閉じて時間を忘れてしまうような、余韻の時がいつまでもいつまでも続いていくワインです。
そんなワインを造っているのは、どんな職人なのか?
Q1:ワイン造りを一生の仕事にしよう、と決意したきっかけは何ですか?
⇒父が歩んできた道、その後を継いだんだ。大きなパッションと幸運に恵まれ、23歳の時にワイン造りの道に入った。父は良く言っていたよ・・・「ワインはいつでも、食卓を温かくするものだ」ってね。
Q2:これまでワインを造ってきて、一番嬉しかった瞬間は?
⇒自分がワインを初めて手掛けた年、その最初の1本が売れた時だ。
評論家やワイン業界の人が評価をしてくれた時も嬉しかったけど、でも本当に幸せに感じたのは、最初のお客さんがワインを買ってくれて、「おいしかった!」という感想を直接聞かせてくれた時なんだ。
ワインは自分の子供みたいなものだからね・・・それを褒められたら、これから何でもしようと思うよ 笑
Q3:その反対に、一番辛い(辛かった)ときは?
⇒一番辛いことは・・・大体、毎年起こって更新される 笑
毎日天気予報を見ながら指で十字を切って・・・実にスリリングな毎日だ!!
自分のやってきた努力が、嵐によって一瞬に破壊されてしまうというのは本当にきついことだ。
Q4:ワイン造りで最も「決め手になる」のは、どの工程だと思いますか?
⇒自分たちの土地で造ることのできるワインを深く理解し、飲む人にどう楽しんで欲しいかを考え、それを明確に言葉にしてチームと共有することじゃないかな。
僕の中でワイン造りに取り組む上での重要性は、60%が畑仕事、30%が適切なブドウを注意深く慎重に選別すること、そして残りの10%は・・・仕事を楽しむこと!
自分は世界で一番素晴らしい仕事に携わっているということを認識して、それを心から楽しむのが大切だね。
Q5:あなたにとっての「理想のワイン」とは?
⇒「理想のワイン」はひとつじゃないと思う。
ワインは1本1本がひとつの命を持ち、違う人間性を持つ人間のようなもの。
音楽みたいなものかな?
例えば君がジャズの熱狂的なファンで、ロックやポップス、クラシックよりもジャズを愛しているとしても、時には他のジャンルも聴きたくなるだろう?
技術的に「完璧で、理想的なワイン」を造ることなど不可能で、その時の自分の心に響いてくるようなワインが理想、だと思う。内に閉じこもった自分の感情を、解き放ってくれるような、ね。
Q6:今までに飲んだ中で最高のワインを1本だけ選ぶとしたら?
⇒1993年ヴィンテージの『ガヤ・エ・レイ シャルドネ』だ。
それは「イタリアの白ワイン」のイメージを根本から覆すような、革命的な価値を持つワインだった。
僕はあれを飲んで大きなインスピレーションを感じて・・そこから「フィアーノ」や「グレコ」種という、我々の産地に古くから伝わる宝物のような品種にもう一度取り組むことを決めた。
Q7:自分のワインと料理、これまでに一番マリアージュしたと思った組み合わせを教えてください。
⇒食文化というのはその地域の自然環境や歴史とも紐づいているもので、ワインと料理の相性もやっぱり最初はその土地の郷土料理が合わせやすいものだとは思う。
例えばナポリ風のラザニアにはタウラジが抜群に合うし、モッツァレッラにはファランギーナが合う、という感じ。
だけどその一方で、新しい食文化とのペアリングも大きな発見があるもの。
日本料理と僕のワインが素晴らしい相性を楽しませてくれたこともあるし、驚いたのはインド料理だった!
これから、もっといろいろな国の料理と試してみたいね。
Q8:もしあなたが他の国・地域でワインを造れるとしたら、どこで造ってみたいですか?
⇒間違いなく、オーストラリア!新たな土地で、全く新しいワインを手掛けてみたいと思う。
Q9:あなたの「ワイン造り哲学」を、一言で表現してください。
⇒「知識は独自性を生み、独自性は差別化を生む」。
Q10:最後に・・・日本にいるあなたのワインのファンに、メッセージを!
⇒以前日本を訪れたことがあるのだけど、本当に大きな発見の連続だった。
日本とイタリア、ワインと日本の料理。気が遠くなるほど遠く離れた2つの国の文化が互いに対して敬意を持って交わった時、未来を感じるような新しい文化が生まれたと思う。
あの時僕のワインを日本の文化に融和させてくれたことを心から感謝し、そして誇りに思う。
本当にありがとう・・・人生で最良の時のひとつだった!
ルチアーノさんのインタヴューは以上です。今週の『
彼は一人でワイン造りに取り組む寡黙な職人、というよりは、
それでは、今日はまずルチアーノさんが「
・ブドウ品種:アリアニコ種100%
・熟成:バリック13か月熟成
≪店長の『ヴィノジア タウラジ・サンタンドレア テイスティングコメント≫
いつもの一言表現でいえば、「ミックスド・ブラックフルーツ・
とにかく「色の黒いもの」
≪タウラジ最上級品!「ラヤマグラ」!≫
・ブドウ品種:アリアニコ種100%
・熟成:バリック20か月熟成
・ブドウ品種:アリアニコ種100% 8ヶ月樽熟成
・ブドウ品種:ネグロアマーロ種100%
・ステンレスタンク発酵・熟成
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