ワイン職人に聞く、10の質問【第75回】ドメーヌ・ルイ・ボワイヨ(フランス・ブルゴーニュ地方)
- 2021.02.28
- ワイン職人に聞く、10の質問
- クレマン, シャルドネ, テイスティング, テロワール, ピノ・ノワール, フランス, ブルゴーニュ, マリアージュ, 哲学, 熟成, 生産者, 発酵, 職人, 肉料理, 調和
≪ひとりのワイン職人の頭の中を覗く一問一答インタヴュー!≫
『ワイン職人に聞く、10の質問』 第75回
ドメーヌ・ルイ・ボワイヨ(フランス・ブルゴーニュ地方)
オーナー家5代目の醸造家 クレマン・ボワイヨさん
連載シリーズ『ワイン職人に聞く、10の質問』、今回話を聞いた生産者は、ブルゴーニュの大人気生産者『ルイ・ボワイヨ』を受け継ぐ5代目、クレマン・ボワイヨさん。
『ルイ・ボワイヨ』は、あの「アンリ・ボワイヨ」をルーツに持つファミリー4代目によるドメーヌ。
ルイが独立してから僅か5年程で、専門誌の「ブルゴーニュで最も進化の早い生産者」第1位を獲得するなど、瞬く間に頭角を現したまさに名門中の名門です。
既に確かな信頼と地位を獲得したファミリービジネスに、5代目の若者が新たな可能性を切り拓き、更なる進化をと奮闘中・・・
新世代のニュー・ホープに聞く10の質問、今回も最後までお楽しみください!
Q1:ワイン造りを一生の仕事にしよう、と決意したきっかけは何ですか?
⇒4歳か5歳の時には、もう畑にいるのが大好きだったな。
摘み取ったブドウがワインに変わっていくのを見るのが純粋に面白いと思っていたし、ある程度ワイン造りのことを知ってからは、隣同士の畑でも全く別の個性を持ったワインが出来るという奥深さに魅了された。
自分の手で何かを造り出し、そしてそれを進化させ次の世代に受け継いでいくことに、自分の人生を賭してみたいと思ったんだ。
Q2:これまでワインを造ってきて、一番嬉しかった瞬間は?
Q3:その反対に、一番辛い(辛かった)ときは?
⇒この2つの質問には、一緒に答えさせてもらうよ。
栽培醸造家によって一番嬉しい時も一番困難な時も、どちらも毎年のブドウの収穫から仕込みのスタートするタイミングまでに集約されていると思う。
実ったブドウを収穫するときは一年間の努力が報われる最も幸せを感じる瞬間であると同時に、たった一つの小さな見誤りも許されない最も緊張を感じる瞬間でもある。
ほんの少しのタイミングの間違いで、1年間の全てが無に帰してしまうからね。
Q4:ワイン造りで最も「決め手になる」のは、どの工程だと思いますか?
⇒マセラシオン(*訳者注:アルコール発酵の中で、果皮や種子を浸漬した状態で色素・タンニンなどをワインに抽出する工程)の精緻性じゃないかな。
要素の抽出は非常にスピードが早いので、どこでストップするのかを見極めて判断を下すのがすごく難しいんだ。
仕込み中のワインを段階的にテイスティングしながら、今の状態で止めたら完成形のワインはこういうスタイルになるだろう、だがあともう少しだけ待ったらどうなるか?・・・など、見えない将来像を正確に予測するのには、長年の熟練・経験値が必要だと思う。
Q5:あなたにとっての「理想のワイン」とは?
⇒フレッシュで瑞々しい酸、密度のある果実感、複雑性があってそれでいてエレガント、そしてシルキーなタンニンと長い余韻を残して終わる・・・その全要素が素晴らしいバランスで調和しているワインが理想だね・・・当然だよ!
Q6:今までに飲んだ中で最高のワインを1本だけ選ぶとしたら?
⇒僕の生まれ年、1995年ヴィンテージの『シャトー・グリュオー・ラローズ』。
忘れられない1本なんだ。
Q7:自分のワインと料理、これまでに一番マリアージュしたと思った組み合わせを教えてください。
⇒うーん、ワイン毎に全部異なるから、答えきれないな 笑
『ルイ・ボワイヨ』はどのワインも骨格がしっかりとしていて長期熟成で複雑性が増すような造りが共通しているから、やっぱり出来るだけシンプルに、素材そのものの美味しさを生かした肉料理と合わせるのが一番だと思う。
色々試して、感想を聞かせて欲しいな。
Q8:もしあなたが他の国・地域でワインを造れるとしたら、どこで造ってみたいですか?
⇒カナダだね!美しい風景と、素晴らしい人々の住む国だと思う。
ブルゴーニュと同様に、ピノ・ノワールやシャルドネの栽培に適した気候だしね。
Q9:あなたの「ワイン造り哲学」を、一言で表現してください。
⇒キュヴェ1つ1つの仕込み全工程において、ブドウ品種・ヴィンテージ・テロワールなどそのワインにしかない独特のキャラクターを引き出せる方法を見つけること。
Q10:最後に・・・日本にいるあなたのワインのファンに、メッセージを!
⇒『ルイ・ボワイヨ』のワインが日本で楽しまれているということを、心から誇りに思うよ。
僕たちが日々畑の中で取り組んできた努力の成果が、遥か遠い国の人たちに共有されているって、本当に嬉しいことなんだ。
僕たちのワインを好きになってくれたら、是非ドメーヌに遊びに来てくださいね。
チアーズ!!
・・・クレマン・ボワイヨさんへの一問一答インタヴューは、以上です。
今回のインタヴューは如何でしたか??
若く瑞々しい感性、そして実直さ・・・いいワイン職人になるんだろうなあ、将来が本当に楽しみだよ!!と、何だか親のような気持になってしまいました 笑
いや、ウチもこんな息子に育って欲しいものです。
畑の中で育った少年が、偉大な両親から大いなる遺産を受け継ぎ、そして新たな扉を開いていく。
毎年訪れる創造の喜び、そして苦難を乗り越え、偉大な両親に近付いて行って欲しい。
彼も造りに携わる毎年のワインを通じて、ルイ・ボワイヨの進化を追い続けていきたいな、と思います!
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