ワインペアリング奮闘記 第36回「シャトー・ル・ジャール ラランド・ド・ポムロール2008年」

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ワインペアリング奮闘記 第36回「シャトー・ル・ジャール ラランド・ド・ポムロール2008年」

『お料理パパのワインペアリング奮闘記』第36回
エレガント熟成ボルドー赤と『ウナギ』の相性を検証

このコーナーは毎回課題のワインに合わせたお料理を実際に作ってレポートするコラムです。

コラムの性質上下記について、ご容赦いただいております。
■失敗してもやり直しできませんので、その時は何がダメだったのか考察する回とさせて下さい。
■うちの子に乳製品アレルギーがあるため、チーズやクリーム、ミルクなど乳製品が使えません。

今回のお題は『シャトー・ル・ジャール ラランド・ド・ポムロール2008年』です。

 

またまた熟成ボルドーですね。産地のラランド・ド・ポムロールは、ボルドー右岸に燦然と輝く銘醸地ポムロールより小川を一本挟んだ、お隣の地域です。ポムロール同様、メルロ栽培に適した地域ですので、75%メルロという品種構成になっていますね。

では早速テイスティングです。
色調はやや透明感のある、黒みがかったレッド。エッジはややガーネットです。ボルドーの中ではやや明るめでしょうか。
香りの第一印象は熟したチェリーや赤いベリー類の果実。熟成を経て、しっとりとした落ち着きを感じます。そして、バラなどのお花、鉄をイメージするようなミネラル香、樽熟成由来と思われるコーヒーのようなロースト香も感じられます。程よく熟成した雰囲気と、ボルドーらしい気品を感じますね。
味わいは、アタックから滑らかでするっと流れ込んできます。
ボディは中程度からやや軽やかで、タンニンはシルキー。アフターに心地よい苦みが残ります。
全体的に綺麗にバランスが取れており、とてもエレガントなワインです。
フランス・ワイン大好き!という方に、特にお勧めしたい一品ですね!

では、合わせるお料理を考えましょう。
素直に考えれば、まっさきに浮かぶのは赤身のお肉料理です。ローストビーフに、ベリーっぽく仕上げた赤ワイン・ソースなんて合いそうですね。ただ、ちょっと当たり前感があって面白みに欠けますね。
お魚はどうでしょうか。このワイン、メルロ主体で角の取れたタンニンですし、ボディ感もほどほどなので、お魚の煮付けなどに合いそうです。
そう思ってボルドーに合いそうな魚をサーチしてみたところ・・・おっと!?気になる食材が出てきました。それは・・・「ウナギ」です!
ボルドーワイン委員会によると「ウナギとボルドーは最強コンビ」しかも「右岸のメルローがピッタリ」だそうです。うーむ、確かにメルロの柔らかいテクスチャと、ふっくらとタレのかかったウナギ、行けるかも?!という感はありますね。ちょっと季節外れ感はありますが、養殖ウナギは通年手に入りますし、これは、実践あるのみ!
と言うわけで、今回の料理は『ウナギの蒸籠蒸し』です。

料理レシピ:
お隣の国からやってきた、リーズナブルなウナギさんを用意。
まずは、ご飯を炊きますが、タレを加えて香ばしく炊きあげます。
付属の小さなタレのパックでは量が足りないので、増量します。
酒、みりんを煮立て、砂糖・醤油、タレパックと、水溶き片栗粉でとろみをつけて。
ご飯を炊く時、このタレを水に加えて軽く混ぜ合わせてから炊き上げます。
今回はウナギの出汁が出るよう、しっぽ部分を少し切り取って一緒に炊き込みました。
少し「おこげ」が出来ると良いですね。
ご飯が炊けたら、クッキングペーパーを敷いた蒸籠に広げます。
その上に、カットしたウナギを並べ、タレをたっぷりとかけます。
これを15分程蒸したら、一丁あがりです!

ペアリングレポート:
蒸しあげたウナギはふっくらとして、ご飯にも風味が移っており、これは旨い!
始めて作りましたが大成功、リピートありです!
さて、問題のワインとのペアリングですね。
こちらは結論から言って『悪くない・そこまで違和感はない』というレベルでした・・・。
良い所から書くと、タレに含まれる醤油の風味との相性は上々です。
ウナギの柔らかな食感に対する、赤ワインのシルキーなタンニンも程良いです。
一方、やや疑問に感じた点としては、まず「甘味」です。
ウナギにタレの甘みがしっかり感じられますが、赤ワインは決して甘味で押すタイプではなく、あくまでもエレガントなスタイルなので、ぎゅっと煮詰まったタレの甘みにやや押されてしまいます。
また、蒲焼されたウナギの香ばしさを生かすためには、ワインにもう少し強めの「樽感」が欲しいですね。
そういう意味で今回の赤ワインに関しては、残念ながらベストマッチとは言えないですね。

この経験を基にして別のワインを選ぶなら、同じボルドー赤ワインでも、より甘味や樽のニュアンスが感じられるものが良いと思います。例えば:シャトー・デギュイユ セニョール・デギュイユ等です。または、少し樽がしっかり目に効いた、アメリカのピノ・ノワールも試してみたい所。
料理の面でも、タレに赤ワインを少々使うなどの工夫で、よりワインとの相性を近づけることも出来そうです。今回は、まぁまぁな結果でしたが、もちろんウナギとボルドー赤の組み合わせがダメと決まった訳ではありませんし、むしろ両者にはまだまだ可能性があると思います!
皆さんも是非ウナギと赤ワイン、試してみて下さいね。それでは次回もお楽しみに。

『シャトー・ル・ジャール ラランド・ド・ポムロール2008年(税込希望小売価格3,630円)』
(フランス /ボルドー産赤ワイン ブドウ品種:メルロ75%、カベルネ・フラン20%、カベルネ・ソーヴィニヨン5%)

CTA-IMAGE ワイン通販Firadis WINE CLUBは、全国のレストランやワインショップを顧客とするワイン専門商社株式会社フィラディスによるワイン直販ショップです。 これまで日本国内10,000件を超える飲食店様・販売店様にワインをお届けして参りました。 主なお取引先は洋風専門料理業態のお店様で、フランス料理店2,000店以上、イタリア料理店約1,800店と、ワインを数多く取り扱うお店様からの強い信頼を誇っています。 ミシュラン3つ星・2つ星を獲得されているレストラン様のなんと70%以上がフィラディスからのワイン仕入れご実績があり、その品質の高さはプロフェッショナルソムリエからもお墨付きを戴いています。 是非、プロ品質のワインをご自宅でお手軽にお楽しみください!
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