ワインペアリング奮闘記 第136回 オー・メドックと玉ねぎソースのステーキ / シャトー・ロワラック 2016年
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『お料理パパのワインペアリング奮闘記』第136回
オー・メドックと玉ねぎソースのステーキ
今回のペアリング課題は『シャトー・ロワラック メドック・クリュ・ブルジョワ 2016年』です。フランス・ボルドー、オー・メドック地区の赤ワインです。品種はカベルネ・ソーヴィニヨン60%、メルロ40%。 先日取り上げたシャトー・ノアラックとは同じボルドーで名前も似ていますが、土壌も品種構成も違うので味わいは違ってくるはずです。あちらは角が取れた優しさでノスタルジックな印象でしたが、今回のロワラックはどうでしょうか?
テイスティング
グラスに注ぐと色調は黒みを帯びた、やや紫がかった濃いルビー。 香りはカシスやブラック・ベリー、ブラックペッパー、リコリス。 そして森を散歩している時のような、湿り気や下草の香りもとれますね。 口当たりはするすると流れるようで、アタックは爽やかさを感じる酸味から始まり、続いて果実の甘やかさも感じることができます。 タンニンはやや修練性があり、少し歯茎にくっつくような感覚が残ります。 ミドル以降は樹脂や、ミント系の清涼感のあるフレーヴァを感じます。 アルコールのボリュームは中程度。 アフターには鉄っぽいミネラルやタバコのニュアンス、果実のニュアンスも含めて余韻は長いですね。 全体として、カチッとしたストラクチャで、味わいが縦方向に伸びていくような、すっと背筋の伸びるような感覚のある赤ワインです。ボルドーらしい品格を感じさせ、力強さもあり、バランスも良く巧く作られています。 熟成度合いも、まだフレッシュ感を残しながら全体がまとまってきており、第一の飲み頃かなと思います。 これは美味しいですね!
合わせる料理『玉ねぎソースのステーキ』
きちっととネクタイを締めたような端正なボルドーワインを飲むと、「今日はステーキだ!」と思ってしまいますね。笑 収斂性のタンニンがありますので、ちょっと噛み応えのある赤身肉が良さそうです。ソースは、ボルドレーズでいきたいところですが、以前やっていますので今回は和風で。玉ねぎと醤油を使ったステーキハウス風のソースにします。付け合わせは、このワインの持つ少し青味のある清涼感に合わせて、グリーン・アスパラガス、そしてエリンギを選びました。
レシピ
国産牛もも肉を使用。セオリー通り、常温に戻しておきましょう。
ソースを作ります。フライパンに酒、みりん、砂糖を熱し、アルコールを飛ばします。ここに玉ねぎとニンニクの摺り下ろしを加えて煮詰めていきます。ある程度に詰まったら醤油を加えて全体の塩味を整えます。エッジを少し焦がしつけてはソースに溶かしながら半分くらいに煮詰めますが、もし汁気が飛びすぎたら酒を足します。
常温に戻した肉に塩、胡椒をして、フライパンで焼きます。せっかちなので付け合わせのエリンギも途中から投入しています。余分な脂を吸ってくれるので跳ね防止にも良いですね。アスパラはスペースが足りないので急遽魚焼きスペースでグリル。肉を焼き始めると、もうてんてこ舞いですね。
肉は、両面良い焼き色がついたらアルミホイルで包んで休ませます。 その間に残ったフライパンに玉ねぎソースを加えて、温め直します。 肉をカットして、付け合わせとともに皿に盛り付け、ソースをかければ完成です。
ペアリングレポート
【総合評価】 星5つ:★★★★★
【評価ポイント】
○肉の噛み応えと存在感に負けない、赤ワインの集中度やタンニン
○ソースと肉汁からくる強めの旨味をしっかりと受け止めて相乗して行ける、赤ワインのストラクチャの強さ
○醤油との相性も非常に良好
○玉ねぎソースのカラメル感とワインのリコリスや樽の要素が合う
○アスパラとの同調感もGood!
今回はとにかく赤ワインが優秀で、食べ応えしっかり目の赤身ステーキを心ゆくまで楽しむことができました。 カベルネ・ソーヴィニヨン主体、オーメドックの赤ワインならではの骨格の強さが生きたと思います。 今日はステーキを焼こう!という日のために、自宅にストックしておきたい赤ワインが一つ増えました。
それにしても、ソースの掛け方が下手だなぁ〜。もう少し勉強します! それでは次回もお楽しみに!(西岡)
今回のペアリングワイン:
このコラムのライター
J.S.A.認定ワインエキスパート 西岡 卓哉
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