「ボディ」って何だろう?
- 2021.01.25
- ちょっと知りたい、もっと知りたいワインの話
- アメリカ, イタリア, カベルネ・ソーヴィニヨン, グルナッシュ, コート・デュ・ローヌ, シラー, スペイン, ネッビオーロ, パスタ, ピノ・ノワール, フランス, ブルゴーニュ, ボルドー, マリアージュ, メルロ, ラベル, 和食, 樽, 温度, 熟成, 白ワイン, 肉料理, 赤ワイン, 香り
ワインについて、目にしたこと、耳にしたことがありませんか? 「ボディ」という言葉。
主に赤ワインの味わいを表現するときに使われる言葉なのですが、 では、いったい何を意味しているのでしょう? 実はワインを選ぶ時にとても役に立つ言葉なのですよ。 今回はそんな「ボディ」という言葉について触れたいと思います。 知っていると貴方のワイン選びが変わるかもしれません。
目次
「ボディ」って何?
ワインは「男性的」「女性的」とか「筋肉質な」「華奢な」「 ふくよかな」などと、 味わいを人に例えて表現することがよくあります。 そして言うなればワインの全体像、 味わいや香りの奥深さやボリューム感をひと言で表しているのが、 この「ボディ」という言葉です。ボディの違いはフルボディ、 ミディアムボディ、 ライトボディという3つの言葉を使って表現されます。 ワインの裏ラベルやレストランのワインリスト、 ネットショップでのワイン紹介など、 様々なところで頻繁に使われています。 それぞれどんな味わいなのか、まずは見ていきましょう。
フルボディ
「フル(full)」という言葉の通り、 3つの表現の中で最も濃厚で複雑性に富んだずっしりと重みを感じ る味わいで、 飲んだあともその余韻が長く続くようなワインに使われる表現です 。色が濃くタンニンによる渋みが強いワインが多く、 人によっては「飲みにくい」と感じる方もいるかもしれません。 でもその「飲みにくさ」が時間が経つに連れて、 もしくはデキャンタージュをすることによって花がゆっくりと開い ていくかのように変化をしていくのが面白く、 魅力的なところでもあります。
ミディアムボディ
フルボディとライトボディの中間となる味わい。 濃厚過ぎず軽すぎず、タンニンも強くはないけど程々にあり、 比較的どなたでも飲み心地良く楽しめる味わいと言っていいかもし れません。
ライトボディ
フルボディとは正反対の軽やかな味わいを意味します。 ブドウのフルーティー&フレッシュさがダイレクトに感じられ、 タンニンが穏やかでシンプルで気取らず気軽に楽しめます。 カクテルにしたりフルーツと混ぜてサングリアにしたりアレンジし て楽しむのも良いでしょう。「赤ワインが苦手」 という方はまずはライトボディのワインから始めてみましょう。
それぞれのボディがどんな味わいなのか、 何となくわかって頂けたでしょうか?
ボディを区別するのに決められた基準はありません。ですから、 フルボディと書いてあるワインを「そんなに重くないじゃん!」 と感じる方も、ライトボディと書いてあるワインを「 ちょっと渋いなぁ〜」と感じる方もいるでしょう。 この表現はあくまでも作り手やメーカーの主観的なものであること も覚えておいて下さいね。
ボディを左右する要素
では、 味わいが濃厚だったり軽やかだったりとボディの違いはどうして生 まれるのでしょう? ボディを左右する要素は色々ありますが、 中でも大きな要因はアルコール度数とタンニンの含有量の違いによ るものと考えられています。
アルコール度数
度数が高いほど重厚感を感じ、 逆に低ければ軽やかなイメージになる傾向があります。 アルコール度数にはブドウの糖度が関係してきます。 より糖分の高いブドウを使用するとアルコール度数も高くなるので 、 ブドウが完熟しやすい日照時間が長くて温暖な気候を産地とするワ イン、例えばアメリカやチリ、 フランスで言えばボルドー地方などではフルボディなワインが生ま れやすくなります。逆に冷涼な産地、ドイツやオーストリア、 フランスで言えばブルゴーニュ地方などでは、 温暖な産地ほどは糖度が上がらないためアルコール度数も控えめと なり、それに比例するようにボディも控えめとなります。
タンニン
「渋み」 を感じさせるタンニンはブドウに含まれる成分ポリフェノールの一 種で、果皮や種子に多く含まれています。 様々な成分と結合して複雑な味わいを生み出すので、 ポリフェノールが多いほど渋みも強く複雑な味わいとなります。 また、 タンニンは同じくポリフェノールの一種であるアントシアニン( ブドウの色素の素)と結合してワインの色調を安定させるため、 タンニンが多いほど色調の濃いワインとなります。
そして、さらにポリフェノールには抗酸化作用があるため、 タンニンを多く含むワインほど長持ちします。なので、 樽での長期熟成にも耐えることができ、 樽からの成分を吸収して奥深い複雑な香りと味わいを持つフルボデ ィなワインへと変化していきます。
ブドウ品種からもイメージできるボディの大きさ
ワインのボディを決定しているもうひとつの大きな要素はブドウ品 種です。 ボディとブドウの関係を覚えておくと味わいがイメージ出来ます。 それぞれのボディを生み出す主な品種をあげてみましょう。
フルボディとなる品種
カベルネ・ソーヴィニヨン
フランス・ボルドー地方の高級ワインを筆頭に、 世界中で幅広く栽培されている品種。 濃厚な果実味としっかりとしたタンニン、 ピーマン香と呼ばれる青々しい香りが特徴。
メルロー
カベルネ・ソーヴィニヨンと同じく幅広く栽培されている品種。 カベルネ・ソーヴィニヨンに比べてタンニンはやや穏やか。
シラー
ブラックベリーやカシスのなどの黒系果実、 黒こしょうを思わせるスパイシーさが特徴。フランス・コート・ デュ・ローヌ地方やオーストラリアで多く栽培。 オーストラリアでの名前は「シラーズ」。
ネッビオーロ
イタリアワインの王様バローロを生み出す品種。イタリア・ ピエモンテ州をはじめ、北イタリアで多く栽培されていて、酸味・ 渋み共に力強いのが特徴。
タナ
フランス・南西地方で栽培されている品種。 AOCマディランの主要品種で、タナ(Tannat) という名前はタンニン(Tannin) に由来しているとの説があるほど豊富なタンニンが特徴。
ミディアムボディとなる品種
これはどの品種でしょうか?答えは画像をクリック。
ピノ・ノワール
代表的産地はフランス・ブルゴーニュ地方。 冷涼な地域での栽培に向いていて、 渋みが穏やかで豊かな酸味が特徴。 カジュアルなものから世界最高峰1本100万円以上するワインま で生み出し、ワインラヴァーを虜にする品種。
グルナッシュ
南フランスではグルナッシュ、スペインではガルナッチャ、 イタリア・サルデーニャ島ではカンノナウと、 様々な名前を持つ品種。 ラズベリーのような赤系果実のニュアンスと糖度が高いのが特徴で 、他の品種とブレンドされることが多い品種。
モンテプルチアーノ
代表的な産地はイタリア・アブルッツォ州。 イタリアでサンジョベーゼに続いて2番目に栽培量が多く、 果実味豊かでスパイシー、 酸味が柔らかくコストパフォーマンスに優れたワインを多く生み出 す品種。
ライトボディとなる品種
ガメイ
それぞれ代表的な品種をあげてみましたが、 必ずしも完璧な方程式が成り立つわけではありません。カベルネ・ ソーヴィニヨンで造られたワインでもライトボディだったり、 ガメイで造られたワインでもミディアムボディだったり。。。
ブドウ品種だけでなく、 産地や醸造方法など全てがボディの決定に影響しているからです。 でも、大きな指標の1つであることは間違いありません。 ぜひワイン選びの参考にしてみて下さい。
美味しく飲むための最適温度と料理とのマリアージュ
ワインの味わいは飲む時の温度によって感じ方が違ってきます。 ちょっと気にしておくだけで、 より美味しく楽しめるので触れておきましょう。
そして、ワインを楽しむのに欠かせないのがお料理。「 マリアージュ(mariage)」とはフランス語で「結婚」 を意味する言葉ですが、ワインの世界ではお料理との「相性」 を意味します。 ワインとお料理のマリアージュがベストマッチした時は、 お互いの相乗効果でより美味しい時間を過ごすことが出来ます。 それぞれのボディにはどんな料理を合わせたら良いのかも探ってみ ましょう。
フルボディ
温度:16〜18℃
料理:ステーキ、ビーフシチュー、牛肉の赤ワイン煮込み、 ジビエ、ラム肉のロースト、すきやきなど。
フルボディのしっかりとしたタンニンは冷やしすぎると渋みが強調 されてしまいます。少し高めの温度で飲みましょう。 またタンニンは口の中に広がったお肉の脂っぽさを洗い流し、 逆にお肉の脂はタンニンの渋みをまろやかにしてくれます。 これぞ「The 相乗効果!」がっつりとしたお肉料理と合わせてみましょう。
ミディアムボディ
温度:13〜16℃
料理:トマト系のお料理(鶏肉やサバなどの煮込み、パスタ)、 焼き鳥(たれ味)、酢豚、ピザなど。
ミディアムボディはその心地良い渋みを目一杯楽しみたいところ。 フルボディよりも低めの温度で楽しみましょう。 穏やかなタンニンはどんなお料理にでも合わせやすい万能選手です 。煮物やおでんなどの和食とも合いますよ。
ライトボディ
温度:10〜12℃
料理:生ハム、ソーセージなどのシャルキュトリ、 鶏肉のロースト、焼き鳥(塩)、赤身魚(マグロ、鰹など) のお刺身やソテー、カレー。
渋み控えめのライトボディは温度が高すぎるとぼやけた印象の味わ いとなってしまいます。フレッシュ& フルーティーな個性を引き出すために、 低めの温度で楽しみましょう。 軽やかな味わいはお肉料理の枠を超えて魚料理やスパイシーなお料 理にも合わせられます。「お魚に赤?」 と思われるかもしれませんが、 赤身魚の脂と意外な程に相性が良いのです。 お醤油にほんの少しワインを垂らしたり、 ソテーする際の味付けにほんの少し加えればさらに相性アップ。 是非お試しを。
温度は正確に計る必要なんてありません。飲んでみて「 ちょっと渋いな」と思われたら、 温度が少し上がるまではゆっくりと楽しんで下さい。逆に「 何だかはっきりしないなぁ」と思われたら冷やしてみましょう。「 美味しい」と感じられる温度を飲みながら探してみて下さい。
白ワインにも使われる「ボディ」という表現
白ワインの味わいは一般的に「辛口」「甘口」 と表現されることが多いのですが、赤ワインと同じように「 ボディ」を使って表現することもあります。
濃い黄色から金色に近い色調をしていて、 樽熟からくる芳醇な香りのする果実味強いコクのあるどっしりとし た味わいはフルボディ、反対に、 色が淡かったり緑がかった黄色で、 柑橘類や白い花が軽やかに香る喉越しがスーッと爽やかな味わいは ライトボディ、そしてその中間がミディアムボディとなります。
白ワインの味わいについては、またあらためて詳しく触れますね。
今回は「ボディ」という言葉について見てきましたが、 いかがでしたでしょうか?
ワインを選ぶとき、飲むとき、語るとき、 ちょっと思い出していただけたら嬉しいです。
楽しいワインライフをお過ごしください。
ライター紹介:新井田由佳
大手総合商社在職中にワインに魅了され、退職して渡仏。ブルゴーニュを中心にフランス、イタリアの数多くの生産者を訪問し見聞を広める。
知れば知るほど魅了されるワインの世界について、もっと知りたい!が現在進行形で継続中。
ワイン通販Firadis WINE CLUBは、全国のレストランやワインショップを顧客とするワイン専門商社株式会社フィラディスによるワイン直販ショップです。
これまで日本国内10,000件を超える飲食店様・販売店様にワインをお届けして参りました。
主なお取引先は洋風専門料理業態のお店様で、フランス料理店2,000店以上、イタリア料理店約1,800店と、ワインを数多く取り扱うお店様からの強い信頼を誇っています。
ミシュラン3つ星・2つ星を獲得されているレストラン様のなんと70%以上がフィラディスからのワイン仕入れご実績があり、その品質の高さはプロフェッショナルソムリエからもお墨付きを戴いています。
是非、プロ品質のワインをご自宅でお手軽にお楽しみください!
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