家飲み簡単ワインペアリング~ソムリエ直伝!家飲みワインの楽しみ方~
日本では料理とワインを合わせることを結婚という意味のフランス語「マリアージュ」という言葉がよく使われていたが、最近は「ペアリング」と言われている。ワイン用語も時代やトレンドを反映して変遷している。
ワインに合わせてフランスのビストロ的な料理を考えるもの楽しいが、普段の食卓に並ぶような日本の家庭料理とワインのペアリングができるようになると便利!すぐに使える簡単ペアリングのコツをご紹介!
目次
簡単ペアリングのポイント
1. 色
食材とワインの色を合わせる。どんなワインが合うかわからない時には、まずは色を考えてみるとヒントになる。例えば、「魚=白、肉=赤」だけでなく、鶏肉のような白身、ピンク色のポークには白ワインもGood。冷やした白が飲みたい気分の時など、肉料理にも白を!
2. 格
料理とワインの格を同等レベルに合わせる。ブルゴーニュのワインを例にとると、高級素材を使った料理にはグラン・クリュ(特級)やプルミエ・クリュ(1級畑)の高級ワインを合わせ、カジュアルな料理にはAOCブルゴーニュのような地方名ワインを合わせるような具合である。
3. 風味
料理とワインのもつ風味を合わせる。これは料理の風味とワインのアロマや口中に広がるフレーヴァーを考え、「同調」あるいは「補完」というテクニックを使う。
同調:料理が持つ風味と同じようなアロマやフレーヴァーを持つワインを合わせること。同じ要素同士なので、しっくりくる組み合わせになる。例えば、アスパラガスや草のようなフレーヴァーで爽やかな酸味をもつソーヴィニヨンブランは、野菜の風味と同調する。さらに相乗効果で風味が際立つことも。口中でワインと野菜の風味が合わさって効果倍増。
補完:料理にない要素をワインが補完し、より良いバランスになる。塩辛いブルーチーズなどに、真逆の甘口ワインを合わせる。私がイタリアでホテル従業員の賄い飯を食した時、パスタや生ハムと一緒に出てきたのが、パルミジャーノ・レッジャーノのハチミツがけ。チーズの塩味と甘いハチミツが補完しあって見事なハーモニであった。
4. テクスチャー
料理とワインの柔らかさを合わせる。同じ肉料理でも、ステーキのように分厚い肉もあれば、牛のたたきのように薄切りにしたものもある。ステーキのように身質がしっかりしていて咀嚼回数の多い料理には、ワインもしっかりしたものを合わせる。反対に、牛のたたきのように薄切りの肉には、ワインにも柔らかさのあるものを合わせる。例えば、ボルドーワインでペアリングを考えると、ラム肉には力強いカベルネ・ソーヴィニヨン、柔らかい和牛にはまろやかなメルロを合わせる。
5. 郷土料理からのヒントソムリエ直伝!家飲みワインの楽しみ方 ~家飲み簡単ワインペアリング~ | Firadis WINE CLUB
料理とワインの故郷を合わせる。ワインと郷土料理の関係は非常に親密。歴史や食文化が育んできたペアリングだからである。各国の郷土料理からペアリングのヒントを得ることができる。ワイン産地の郷土料理と和食が同じ食材を使っていることもある。そんな時は、その地方のワインを探してみる。
家庭料理とのペアリング実践編
では、簡単ペアリングのポイントを馴染みのある日本の家庭料理とワインを合わせてみよう!
寿司
ネタの色とワインを合わせる。鯛や平目のような白身魚には白ワイン。赤身のマグロには赤ワイン。そしてピンクのサーモンには、ロゼを合わせる。高級食材の エビや蟹には「白ワインの女王」と称されるシャルドネで、格を合わせる。
生魚にワインを合わせると生臭さが気になることも。そんな時は醤油の代わりに、オリーブオイルと塩で食べみて。オリーブオイルが生臭さをマスキングして、ワインに合うようになりますよ。
天ぷら
ギリシャ・エーゲ海のサントリーニ島のアシルティコは、フレッシュなレモンなど柑橘類の爽やかな酸味を感じるワイン。海の潮のようなミネラル感もあり、微かな塩味も特徴。天ぷらに塩をつけて食べるように、ワインの塩味が天ぷらに塩味を補完してくれる。比較的ボリューム感もあるので、揚げ物の重さにも負けない。
ハンバーグ
挽肉の柔らかな食感とワインのテクスチャーを考える。果実味豊かなグルナッシュで造られたワインはハンバーグのジューシーな食感との相性がよく、おすすめ。また、ハンバーグを作る際にスパイスとしてナツメグを使う方は、スパイシー感のあるムールヴェードルやシラーで造られるワインもGOOD。
カレー
スパイシーで味わいも強いカレーのペアリングは、繊細すぎるワインだと釣り合いが取れず、かといって力強いワインを合わせるとヘビーになりすぎる。オススメはヴィオニエやゲヴュルツトラミネールといった白のアロマティック品種。コリアンダーシードや砂糖漬けのジンジャーのようなスパイシーな風味があり、カレーのスパイスと同調。ゲヴュルツトラミネールの特徴香ライチは、カレーのエキゾチックさを盛り上げてくれる。ヴィオニエやゲヴュルツトラミネールは、酸味が中〜低めでほんのりとして甘さを感じるワインも多く、カレーと少し甘味のある福神漬けが合うようなイメージでペアリング。
うなぎ
まずは色合わせ、うなぎの白焼きには白ワイン、タレには赤ワイン。うなぎが持つ土を感じる風味と同調するワインのフレーヴァーを考えると、土やゴボウのような風味のあるカベルネ・フラン。他には、ボルドーの郷土料理「ヤツメウナギの赤ワイン煮込み」のヒントから、ボルドーワインをペアリングしても良い。
ソーセージ/ホットドック
カジュアルな料理には、ワインも格を合わせて、軽めでカジュアル感のあるボージョレのガメイを。赤味の肉と赤ワインで色合わせも。
その他、おかきやスナックをつまみながら歓談する時に活躍してくれるのが、イタリアの発泡性ワインのプロセッコ。気軽に飲めるカジュアルスパークリングワインなので、軽食と相性がよい。最近では、自国のワインしか飲まないと言われてきたフランス人でさえ、シャンパーニュの値段高騰もあり、プロセッコ人気は上昇中。
【当店のおすすめ】料理と一緒に楽しみたいワイン
ワイン専門商社 株式会社フィラディスが直営するFiradis WINE CLUBより、お料理と一緒に楽しみたいワインをご紹介。
ワサビを添えた牛のタタキと一緒に赤ワインを楽しむのはいかが。完熟したフルーツの旨味と程良い渋み、料理の味を引き立てるバランスの良さをお試しください。
フランス・アルザスのワインはやはりフレッシュな白身魚や貝類に合わせたい、フレッシュ&ミネラル溢れるタイプ。揚げたてのアジフライに中濃ソース&レモンと一緒に楽しむのはいかが。
ガーリックソースやドゥミグラスなどお好みのソースと一緒にハンバーグステーキを楽しむ時に、ボリューム感と果実味がバランス良く兼ね備わったスペイン生まれの赤ワインをお楽しみください。
アスパラの使った料理を、香り華やかで上品なスタイルの白ワインと一緒に楽しむのはいかが。シンプルな美味しさのバランスに重きを置いたワインだから、リラックスして気楽に楽しめる1本。
ライター紹介:近藤美伸(Kondo Minobu)
Dip WSET
J.S.A.認定ソムリエ・エクセレンス、ワインエキスパート
イタリアNative Grape Odyssey マエストロ
International Wine Challenge (IWC) associate judge
Japan Wine Challenge(JWC) 認定ジャッジ
第9回サクラアワード審査員
サーブルドール騎士団叙任
Les Piliers Chablisiens シャブリ騎士団叙任
大学卒業後、航空会社のフライトアテンダントとして国際線ファーストクラスや日本政府の特別フライトを担当。サービスインストラクターとして、外国人CAに接客マナーの指導を行う。世界各国の滞在先で数々のワインや郷土料理に触れ、食文化に深い関心を持つようになる。ECC外語学院英語講師、日本や欧米誌のエディター・ライターの経験を経て、現在は日本のワイナリーの業務に携わっている。
パリとLAに長期滞在した経験と世界中のワインや食体験を元に、ワインセミナーを開催している。ワインを学ぶ事により、自分自身が感じた「世界を旅するような感動」を伝えて行きたいと思っている。2022年に英国WSET®最難関の国際資格WSET Level 4 Diplomaを取得。
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